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心配事の9割は起こらないが、、

「データが消えてしまったんやけど」

昨日突然こんなメッセージが妻から届いた。

一体何のことを言っているのかわからないので
何のデータが消えたのかを聞いてみると
どうやら息子が誤ってテレビに付属している
ブルーレイレコーダーの録画を全て消してしまったらしい。

私はテレビを基本的に見ないし、
録画機能は週に一度放送されている30分の釣り番組を
使っているだけである。

その釣り番組にしても視聴したら必ず消しているので
私にとってこのニュースはノーダメージである。

だが、妻にとってはそうではないらしい。

お気に入りのアーティストが出ていた番組などが
そのデータの中に入っていたらしく、
何とかデータを復元できないか私に相談してきたようである。

とは言え、私にそんな知識があるわけではない。

早速Google先生に尋ねてみた。

すると、検索上位から何件もデータ復元方法と書かれた
文字が並んでいるではないか。

案外簡単にできるかもしれないと思いながら
それらのリンクをクリックしてみると、
驚いたことにそれらはどれも有料でデータ復元をする
業者のサイトであった。

今回我が家が遭遇したのはテレビの録画だが、
家族の思い出のビデオ映像などがハードディスクから消えて
それをどうしても復元したいというニーズが
一定数あるらしい。

そんなビジネスもあるのだなと感心しながらも
我が家のトラブルにお金を払うほどでもない。

そこから下位まで検索で引っかかったリンクを
調べてみたが、結局無料で修復できそうなものは
見当たらなかった。

仕方がないので妻にそのことを伝え、
有料でよければ復旧できることを言うと、
妻もさすがにお金を払ってまで必要ではなかったらしい。

結局我が家のブルーレイレコーダーに残された
動画はキレイサッパリ消えたままということになった。

そうして私は帰宅したのだが、
内心息子がシュンとなっていないか心配していた。

数年前ではあるが、テレビを操作していた息子が
妻が楽しみにしていた番組を消してしまったことがあり、
そのことを妻に叱られてシュンとしていたことがあったからである。

シュンとしている息子を励ましてやる言葉を
心の中で想定しながら私は玄関のドアを開いた。

だが、そこにあったのは楽しそうにテレビを見る
子供たちと妻であった。

どうやら息子は昨晩放送されたサッカーの試合が
楽しみで仕方ないらしく、
自分の録画に漏れがないかを確認している最中で、
操作をしながら息子はその試合がいかにすごいのかを
私に説明してくれた。

「あれ?データが消えたのではないのか?」
と不思議に思っていると、妻がこんなことを言った。

「いつか見るかも思って置いていただけの動画が沢山あったから
ちょうどいい機会になったわ」

思っていたのとはあまりに違うリアクションに驚きながらも
私は息子がシュンとしていなかったことに安堵した。

私達はトラブルに遭遇したとき、
ついついネガティブな想像をしてしまう。

それは危機意識としては大切なことであるが、
現実は必ずしもそうではない。

家に帰ってしばらくするとネガティブな想像に
構えすぎていた自分が何だか滑稽に思えてきた。

心配事の9割は起こらないなどという本が
話題になったことがあるが、
まさにそうなのであろう。

そんなことを実感して私は眠りにつくと
全く心配していなかった寝坊をしてしまった。

実に2年ぶりの寝坊である。

朝活時間を削れば別に会社に遅れるわけでも
何か問題になることも何一つないのだが、
心配事の9割は起こらない反面、
心配していないことも時には起こるものなのだと
教えられた。

人生とは面白いものである。

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