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「内申点」って何?

我が家の息子は小学5年生。

後2年弱すれば中学校に進学するわけだが、
昨年ごろから彼は中学校の受験を
考えているらしい。

受験と言っても私学ではなく、
公立の中高一貫校が近い場所にあり、
そこに行くことを考えているようなのだ。

私自身中学校は普通に地元の公立校に行ったので
中学受験などというワードは
頭の中に0.1%も選択肢として入っていなかったが、
どうやら息子は友達の影響を受けたらしい。

小学校も然りであるが、
中学校になると子供たちの個性はさらに
明確になってくるので
多様性に触れるという意味では
地元の公立校の方が私はいいと思っている。

しかし、進路ばかりは本人の希望を
可能な限り尊重してやりたいので
私からは何も言わないようにしている。

そんな息子の口から最近しばしば
とある言葉が出てくるようになった。

それは「内申点」である。

私が子供のころからなんとなく聞いたことのある
言葉ではあるが、
正直この言葉が何を指すのかわからない。

そこで調べてみると、
内申点とは通知表に書かれている評点の合計を
指すものらしい。

しかし、一般的にはこの点数と生活態度や
課外活動への参加などがまとめられた
調査表というものが小学校から提出されるらしく
それをひっくるめて「内申点」と呼ぶらしい。

息子がひそかに行きたいと思っている
公立の中高一貫校はこの内申点を重視するらしく、
内申点は5年生と6年生の2年間分が
評価の対象となるので、
最近息子と妻の会話の中でしばしば
この言葉が登場するようになったのだろう。

だが、私はこの言葉を耳にするたび
何となくモヤモヤしてしまうのだ。

先日、同級生のK君について息子が
こんな話をしていた。

「Kは〇〇(私立中学)を受けるっていうねんけど、
あいつ宿題やってこんし、先生の言うことに反抗するし
絶対内申点悪いで」

K君はあまり受験しそうな印象のない子だったので
まずそれに驚いたのだが、
この言葉を聞いて私には息子が内申点を意識して
宿題をしたり、先生の言うことを聞いていると
言っているような印象を受けてしまった。

なので私は
「そういう〇〇(息子の名前)はどうなんや?」
と聞き返すと、
「自分で言うのもなんやけど
僕は内申点がいい自信がある」
と息子はなぜだか自信満々に答えた。

彼が自信を持っているということは
やはり内申点を意識して学校生活を
送っているという証拠であろう。

受験という目標があって、
その目標のために学校生活でも行動を制御するのは
確かにすごいことである。

だが、それと同時に内申点を意識するあまり
息子が本当にやりたいことが
出来なくなってしまうのではないかと
気にもなる。

自分が小学校の頃は内申点など
全く意識したことはなかった。

当時の先生はとても怖かったので
先生に怒られないように行動を選択することはあれど、
何をしたら先生からの評価が良くなるかなど
微塵も考えたことがなかった。

なので、学校では自分が思うように
振舞っていたし、
友達とも色んな遊びをした。

とはいえ、根が真面目なタイプなので
先生からの評価自体は決して悪くはなかったと
自負はしているが、
それはあくまで結果論である。

当然先生から怒られることもあったし、
自ら課外活動に参加したこともない。

だが、息子の話を聞いていると
彼は内申点を意識して行動を選択しているように
思えるのだ。

特に気になるのは彼が関わる友人を
どことなく内申点を意識して
決めているような感じがすることである。

小学校も高学年になると、
なんとなく行動が粗雑だったり
悪いことをする子が明確になる。

そんな中の一人Y君と息子は
低学年の頃から比較的仲良くしていたのだが、
昨年Y君が他の友人ととある事件を起こし
学校でも話題となってから、
息子はY君との距離を微妙に置くようになった。

当時私は年齢を重ねたことで自然と
Y君と合わなくなっていっただけかと
思っていた。

しかし、どうやら息子がY君のことを
微妙に遠ざけるようにしていることが
言葉の中から感じられたのである。

果たしてこれは彼にとっていいことなのだろうか。

これはまさに私達大人が
会社で上司の評価を意識するのと
同じようなものである。

会社の場合は利益を出すという大きな目的があり、
それに向かって進むために
社員の行動やマインドを一つの方向に向けることが
必要となる。

その形の一つとして評価制度がある。

しかし、批判を恐れずに言うならば
評価制度でいい評価をもらおうと行動を決めるようでは
ビジネスマンとしては失格だと思っている。

限られた仕事時間の中で組織が前に進むために
最も重要な業務を確実にこなすことを
自分で考えることこそが何よりも大切なのであって、
本来それを実行していれば上司の評価は
勝手についてくるもののはずなのだ。

そして、これは息子の受験においても
同じだと私は思っている。

先生の評価を意識して行動するのではなく、
目標とする学校に行くためには
何が必要なのかを考えて行動していれば
否応なく先生の評価は付いてくるはずなのだ。
(こればかりは先生次第なので必ずではないが)

他人の評価を気にして行動を決めるのではなく、
自らの行動は自らの意思で決めるように
息子にはなって欲しいと思う。

内申点がどうだからなどと言い訳をせずに、
自らやりたいことがあるならば
それを思いきりやればいいし、
やりたくないことを無理やりやる必要もない。

父親として息子にはこんなメッセージを
それとなく伝えてやろうと思う。

何といっても人の評価を気にして生きるのなんて
どう考えてもつまらない。

彼には余計なメガネをかけずに世界を見て欲しいと
心から願っている。

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