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【有償ストック・オプション】 「発行価額(オプションの価値)」って どう決まるか知ってますか?その2

こんにちは、大門(だいもん)です。

前回に続いて、スタートアップのみならず上場企業でもよく出されている「有償ストック・オプション」について、付与時に必要な払込金額(発行価額=オプションの価値)がどのようなロジックで算定されるのか、という点の後半をまとめて行きたいと思います。

そもそも発行価額とは?(再掲)

有償ストック・オプションにおける「発行価額」とは、付与対象者が付与時に払うストック・オプション1個あたりの価値のことです。権利行使時に払う「行使価額」とは異なりますので、ご注意ください。

そして発行価額の算定方法は、①ストック・オプションの公正価値の算定と②条件付けによる引き下げの2つのステップに分かれています。

今回は、②条件付けによる引き下げについてまとめて行きます。

図2

「条件付けによる引き下げ」はどうやってやるのか?

①で計算した公正価値に、様々な条件を付けることにより、実際に支払う発行価額(付与時に必要な払込金額)を引き下げることができます。

業績達成条件(例:●年●月期に売上●億円達成していなければ失効)などのリスク要因を付けると、ストック・オプションが行使できる確率が低くなる(デリバティブにリスクを掛けて価値を圧縮)ため、オプションとしての価値が下がる、という構図です。

厳しい業績達成条件を付ければ、行使できる確率が低くなる分、付与時に必要な払込金額が下がりますし、逆もまた然りとなります。

【上場企業】業績達成条件のトレンド

上場企業が有償ストック・オプションを発行する場合は、2018年4月の会計基準変更から、公正価値と払込金額の差額を費用計上(「株式報酬費用」として販管費に計上)することが求められるようになったことで、業績達成条件として営業利益やEBIT、EBITDA条件を付けるケースが増えています。

このトレンドの背景として、株式報酬費用は、行使可能になった時点で計上されることが一般的であるため、「一定水準まで利益が上がらない=利益条件がクリアされない限り、費用計上が発生しない」という設計にすることで、達成した利益を以て費用計上金額をカバーして大幅な減益を避ける、という会計上の効果が期待できることが挙げられます。

費用計上は、ベスティング条項を付けることで計上時期をずらすなど、テクニカルな論点がいくつかあるので、他の記事でまとめたいと思います。

他にもストック・オプションにまつわる気になることがございましたら、下記よりお問い合わせください。


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