透明なフォークが紙皿に置かれている / 芸術未満 22
下田には幼年時に『勇者ライディーン』や『鋼鉄ジーグ』を一緒にテレビで見た大橋ケンゴという名の友人がいた。彼は下田の数少ない友人であったが、名古屋に引っ越してしまった。その後、下田も西宮に移り住んだが、中学のときに親の都合で横浜にまた戻ることになった。
その教室に大橋ケンゴがいた。
彼はやはり下田と同じように、数年前に戻ってきていたらしかった。
日当たりの良い教室で、大橋は友人らと楽しそうにふざけていた。入学式であるのに彼は女子らと軽口を叩き合って交流している。彼