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映画「マイ・フェア・レディ」感想

時間:3時間12分
ジャンル:ミュージカル
視聴媒体:U-NEXT

あらすじ

ロンドンで花売りをしている生意気な娘・イライザ。傲慢なヒギンズ教授と出会い、彼女は礼儀作法など一流のレディになるためのレッスンを受けることに。社交界デビューを果たすまでに成長するが、実は教授の賭けの対象にされていたと知りショックを受ける。

ストーリー

引用した文章にはそう書いてあるがこのあらすじは嘘。最初から本人の前で賭けの対象にすると宣言してるし、賭け云々でショックを受けたりはしてない。さてはこのあらすじ書いた人、本編見てないな?

ネタバレあり感想

 下流階級の花売りイライザが将来のために傲慢な言語学者ヒギンズ教授に言葉を習い、ヒギンズ教授は面白がってレディに仕立て上げて王室主催の舞踏会に参加させバレないか、友人と賭け事をするところから始まる物語。
そして半年間の特訓の結果、舞踏会では大成功。「彼女はハンガリー王国の王女なのでは」という噂まで流れる。しかし舞踏会後にイライザをねぎらうわけでもなく、ヒギンズ教授は友人と楽しくはしゃいでたことによりイライザは疎外感を感じ、家を飛び出してしまう。その後よくわかんないけど仲直りしてハッピーエンド。

 オチがあっさりしすぎてちょっと気に食わないけど、めちゃくちゃ面白かった!イライザが疎外感を感じて外に出たくだり、正直よくわかんなかったけど面白かった!
視聴前は単純に「下級階層からの成り上がりもの」という印象を抱いていましたが、全然違いました。キャラの掛け合いも可愛くて面白い。ミュージカルとしても良い。ただかなり長い。映画で幕間が入ってくるの、初めての経験でした。

 個人的にはイライザとヒギンズ教授は恋愛ではなく師弟愛(もしくは親子愛)だろうと解釈してました。さすがに恋愛感情を抱くには年の差も含めて諸々微妙すぎる。
イライザはイライザで最初からちゃんと「どうやって生活していくか」を念頭に置いて行動していて、ヒギンズ教授は「面白そうだからレディにしてやろ。バレたら打ち首だけど、まあいいよね!」のノリなので温度差がかなり違います。それも面白い。

 それにこの作品の世界観では差別が当然です。階級が上の人だと認識されないと粗雑に扱われる。ヒギンズ教授の女性差別・階級差別はものすごいけど、恐らく裏表なく正直に接しているのが感じ取れる。友人のピクリング大佐や家政婦はイライザのことを心配しつつもイライザのことを下に見ている感じがある。イライザの下流階層の言葉遣いを面白がって惚れたフレディも、「おもしれー女」現象がなければ目もくれなかったでしょう。現代の価値観で観るとあり得ないことばかりですね。でも面白い。

 その最低な価値観の持ち主たちが登場するこの映画、映画の主人公は恐らくヒギンズ教授なのです。イライザではありません。
傲慢なヒギンズ教授が女を拾い、礼儀作法を教え込んでレディに育て上げ、成功し、なぜか女は飛び出し、「なぜ女はこうも面倒なんだ」と思いつつ探し、見つけたと思ったら冷たくあしらわれ、家に帰って女との会話の録音を流してたら無事帰ってくる。ヒギンズ教授の性格の悪さを打ち消すようにイライザにしてやられますし、教授の母親に責められ、最終的に(恐らく)反省する物語なんです。
ヒギンズ教授の「女は面倒くさい、男と一緒にいる方が楽だ」と言いつつも「君と一緒にいると楽しい」となるコメディみたいな可愛さがかなり好きだったな~!と思いました。一言で表すならツンデレジジイ物語。

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