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【詩など】苦しみの産物

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人を喰う詩らしいので、閲覧注意です
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#日記

【詩】有無

【詩】有無

よく見るとその目玉には無数のヒビがあり
表面の厚い鱗の様なものが剥がれかかっている
瞬きなんてものは恐らく
一時も逃さず凝視し続けるという
そいつのレゾンデートルの中で
永いこと封印されていた無駄な術なのだろう

しかしその目は衰えてなどいない
彼女が決して幸福などという
虚ろな道に迷い込まぬよう
片時も目を離さない
彼女が己の罪を忘れ
人になれると思い違いをした時には
如何なる倫理も内臓から少し

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【詩】奴

【詩】奴

ざらついた舌で脳を舐めるような唸り声
「如何なる時もお前と共に」

私の中にそいつは棲みつき
決して逃れられないその手は
粘液に塗れていて
強かに肉に食い込む骨の枝
引き千切られるのは
私の誰か