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なつまよ

夏はどうにもストレスが多い。体のリズムがおかしくなって、思い出したような腹痛で目が覚めた今日は1日じゅう体が重い。ろくに動けないまま夜になった。

花火大会の今夜、あの子はすきな人と花火を見に出掛けた。夏だ。

花火好きだけど 泣いてしまうので得意じゃない。目の前で、大きなスクリーンで見ると感動してしまうよね。いくつもの手とか思いが加わった火花がぱっと咲くのは、本当にきれいで刹那的。

わたしは遠くからとどいた音を聞きながら、扇風機の前でラムネを飲んだ。フィナーレの、一層はじけた音を聞きながら。部屋にはひとりだったけど、ひさしぶりに点けたテレビの向こうに沢山人がいて賑やかだった。

細かい丁寧な仕事を感じることがとても好き。刺繍のハンカチとか、手作りの人形の。あとはドラマや映画のなかの小さな設定とか、目を凝らさないと気づかないような作り込み。まじまじと見つめちゃいたいような。じっくりと何度でも見たいような。

花火もそれと似ている気がする。手元に置いてはおけないし、リピートできないけれど。一瞬の夜のために、一体どれくらいの人の時間や手が関わっているものなのだろうなぁ。未知だ。壮大な作品だな。最後に見たのは3年くらい前。夜中まで、音と光の余韻が長く続いた思い出。


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