会社を辞めたいのですが、なかなか踏ん切りがつきません。(『おはなし仙人の勝手に人生相談』その6)

相談者(自称 会社員):やりたいことが見つかったので、会社を辞めようと思っていて、辞めることはもう自分の中で決まっているのですが、今辞めると同僚にも会社にも迷惑をかけることになりそうで、タイミングを見計らっているのですが、なかなかいいタイミングが来ず、踏み出せずにいます。自分のやりたいことで生計を立てていけるのかまだ確信を持てず、もしかしたらこのまま会社員を続けたほうが無難なのではないかと思えてくることもあります…。すぱっと辞めてしまえばいいのかもしれませんが、どうも優柔不断で…。

おはなし仙人:そんなの、明日にでも辞めてしまえばいい。今から会社に電話したっていいしね。あ、辞表ってのが必要なのかな? それなら今すぐ書けばいい。

会社に迷惑をかけるとか、同僚が困るとか、そんなのは半分、自分に対する言い訳に聞こえるね。たしかに、会社や同僚が困ることもあるだろうけど、そんなのは一時的なもので、あとのことは組織がどうにかすべきことじゃ。こう言っちゃわるいが、あなたは組織の雇われ人に過ぎないのだから、抜け出すのはあなたの自由だよ。あとのことは組織がどうにかする。また誰かを雇えばいい話じゃ。あなたの自由が一番大事なんじゃよ。

辞めたら同僚が困るとか、お互いに遠慮しあってるんじゃ、得するのは組織ばかりじゃ。その組織ってもんは、オーナーがいたり、株主やらがいたり、権力をもっているヤツがいたりするわけだが、そういうエライさんばかりが得するってことじゃ。末端の人間が自由を奪われて、組織の手足になってこき使われて…ってな構造は気に食わんね。

あなたが抜けて困った思いをする同僚がいれば、直接相談してみるといい。案外、応援してくれるかもしれないよ。「今抜けられたら困るじゃないか!」なんて言って怒ってくるようなヤツなら、そんなヤツの言うことを気にする必要はない。あなたが本当にやりたいことを見つけて、それをやろうとしているのに、組織の一員としての自分の都合を優先して、あなたのことを応援してくれないような人間なら、今後もろくな付き合いはできないってもんじゃ。それがわかればスッキリするしな。相手に対して正直になると、真実が見えてくるってもんだね。

自分の自由よりも組織の都合を優先するなんてことは、わしには到底できないことじゃ。仙人の世界でも、「世界仙人連盟」とか「国際仙人学会」とか、「仙人語りの会」とか、あるのか無いのか知らないが、そんなところから誘いがきても完全にお断りだね。仙人が徒党を組んだり、規則をつくって組織に従ったりし始めたら、もはや仙人とは言えんだろうね。一度自由を味わったものは、わざわざ不自由な世界に足を踏み入れようとはしないものじゃよ。

毎日のように同じ組織の中に埋もれて過ごしていたら、その組織の価値観や思考パターンや行動パターンに知らずしらずのうちに染まってしまうものじゃ。どんな組織とどう関わるかは、よくよく考えるべきことだ。これは大げさではなく、自分の魂が生きるか死ぬかの問題じゃよ。

さあ、答えを出すのはあなた自身じゃ。おはなし仙人に言われたから会社を辞めた、なんて言ったり思ったりするもんでないよ。優柔不断な自分に見切りをつけるかどうかも、あなた自身の判断じゃ。組織がとるべき責任は組織がとる。あなたがとるべき責任はあなたがとって、自分の行動の結果は自分で受け入れる。その決意ができたなら、踏み出せるはずだよ。焦る必要はないが、好きなようにやるのが一番じゃ。


(おしまい)

※架空の人物「おはなし仙人」が架空の人生相談に答えるシリーズです。
筆者はおはなし仙人と同一人物ではありません。

※なお、おはなし仙人は修行とお昼寝でいそがしいため、コメントをいただいても返事ができません。コメント自体は歓迎で、いただいたコメントはおはなし仙人にお伝えしておきます。

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