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私の恋はかなわない Version2.0 第2話

登場人物 琴音:今作の主人公であり、信康の正妻。徳川家に嫁ぐとある子に出会う。 徳川信康:江戸幕府の将軍になる若殿。琴音の夫でもある。 幸次:琴音が出会った不思議な子。 前回のあらすじ 信康の元に嫁ぐことになった琴音。唐突に告げられたことにより彼女はまだ心の整理がついていないが、前を向いた。そして、結婚が迫りついにその日を迎えたのであった。 そして次の日の朝。予定通りに信康さまの代理の方がやって来て、私は信康さまの元へとお輿入れすることとなった。 「はぁ~……」 信康さま

    • 私の恋はかなわない Version2.0

      登場人物 私(琴音):今作の主人公。いきなり江戸幕府将軍の信康の妻になるように告げられ困惑している。 徳川信康:江戸幕府の将軍になる予定の人物。強い精神力の持ち主。琴音の夫となる人物。 後陽成帝:後陽成天皇であり、国の最高権力者。 満月がきれいな今日、私はある坂を駆けていた。 「はぁ、はぁ」 「姫様!もう少しですよ!」 「えぇ、わかってるわよ」 後ろから私を追いかける女官たちの声に答えながらも足を動かす速度を上げる。 (あーもう!どうして私がこんな目に合わなきゃいけないのよ

      • 私の恋はかなわない

        あらすじ 私は今、葵祭に参加している。源氏物語の世界などを模した行列や神輿なども練って歩くお祭りである。さっきまで私と一緒にいるはずだった彼の姿はそこになかった。 私は一人、目の前に佇んで、目の前を通り過ぎて行く人々の姿を見つめていた。 そしてなぜか急に寂しさを覚え始めたその時、一人の青年の姿が目に入ったのだ。 第1話 https://note.com/hayato_0307/n/n520d9c9a1563 第2話 https://note.com/hayato_0307

        • 私の恋はかなわない 第3話

          「お前みたいな奴がいるから、いつまで経っても夕霧が調子に乗るんだよ!」 「……どういう意味ですか?」 「そのままの意味だよ! お前さえいなければ夕霧がこんな風にはならなかった! 全部あんたがいけないんだ!」 「……それは逆恨みというものではないですか?」 「うるさいっ! お前がいなきゃ、夕霧はもっと幸せになれていたんだ! なのに……なんで……なんで……!」 怒り狂った様子で、彼女は夕霧に詰め寄ってきた。 「……そうやって感情のままに行動している時点で、あなたは夕霧ではないです

        私の恋はかなわない Version2.0 第2話

          私の恋はかなわない 第2話

          ーーーーー 『好きだ』と言われた日から数日経ったある日のこと。 私は庭を散歩しながら、ぼんやりと考えごとをしていた。 『――私、夕霧様と結婚できないかもしれないの』 『どうして?』 『だって、光君が結婚することになってるんだもの。もし私が結婚したら、きっと邪魔になってしまうでしょう? だからこのままだと私、夕霧様と結ばれないと思うの……』 『そんなことはないよ。夕霧はそんなことであなたを嫌ったりしないさ。それに光君なら、あなたを受け入れてくれるはずだよ』 『そうだといいけど…

          私の恋はかなわない 第2話

          私の恋は叶わない。

          小説 雪が降る今日この頃。私は普段上る紀尾井坂を駆けていた。 「……はぁっ、はあっ」 息が上がり、肺のあたりが苦しくなる。 足に疲労感が溜まり、もうこれ以上歩けないと思うのに、それでも足を動かすことを止めない私がいた。 ――私は今、葵祭に参加している。葵祭とは源氏物語の世界を模した行列や神輿などが練って歩くお祭りだ。 平安時代の貴族のように優雅な衣装に身を包んだり、お姫様のような髪型にしてみたりと様々な姿になれるこの祭りは、毎年多くの観光客で賑わっている。 しかし今年は例年と

          私の恋は叶わない。