エムバペはパリでも凄かった話
パリ・サンジェルマン・ジャパンツアーから5ヶ月。思ったよりも早くその時が来ました。
仕事の関係で、日本との時差が大きいところに長期で行けるのは、年末年始くらい。そして、今年はワールドカップがあったため、欧州各国のサッカーリーグは、変則日程になっています。例年なら、英国以外はほぼ休みですが、今年に限ってはスペイン、フランスなど他のリーグも、この時期に試合があるのです。こんなチャンスは、もう二度ないかも知れません。少々の無理をしてでも行く意欲が湧きました。
その中で、まだ一度もサッカー観戦をしたことがない国となると、浮上したのがフランス。そして、パリ・サンジェルマンの日程もありました。
日本から飛行機で約15時間。ワールドカップ後の再開試合を現地28日、パルク・デ・プランスで観戦することができました。
昼間に一度行って、グッズショップは入場待ちの列ができる大賑わい(クリスマスプレゼントの時期でもあります)。スタジアムの壁に描かれた選手たち姿の前で写真を撮る人も途切れません。
試合開始は午後9時からと遅く、その前からスタジアム周辺道路を通行止めにして、お祭り的な盛り上がりになっていました。
グッズショップや飲食ブース以外に 、こんなものもありました。
パッと見でアジア系の人もいますし、中東系、インド系、英語で話す声も聞こえてきます。お客さんも多いですが、セキュリティの人も尋常ではないくらいいます。日本のように並ばせるスタッフはいないので、ごちゃっとなっていますが、人海戦術でこなしています。いよいよ中に入ります。
試合前のアップの様子を見ると、「あっ、これジャパンツアーの時と同じだ」とわかりました。ピッチのどちらのサイドを使うか。選手が走って出てくる感じ。ピッチサイドの看板のすぐ裏に立っている特別なファン前で、まず始めるところ。再現されていたんですね。
一つ日本と違うのは、アップで使うサイドが相手チームのサポーターに近い方を使うのです。従って、選手が出てきた瞬間にブーイングが降り注ぎます。これです。この緊迫した戦いの感じが、ヨーロッパのサッカー場というものです。
とにかくこの日は、ワールドカップで大活躍したエムバペに「おかえりなさい」という雰囲気。ネイマールもいますが、歓声の音量が3倍くらい違いました。残念ながら、優勝したメッシはまだ休暇中でした。
エムバペがボールを持つと、「見逃せない」とばかりに、周りの席の人がみな立ち上がります。椅子がバタンバタンと音を立てます。
エムバペのスピード、動きのキレがジャパンツアーの時よりも、間違いなくワンランク上です。ワールドカップの画面上で見ていた「あれ」です。
「何かを起こすだろう」というファンの期待感が、目に見える形で現れていました。フェイントでかわしたり、シュートが防がれたりすると、思わず声が出る。そのボリュームも、日本とはだいぶ違います。
また、ファウルされた時や審判の判定が納得いかない時の不満や怒りもファンは隠そうとしません。ゴール裏ではなくて、バックスタンドでも叫んだり、挑発的なジェスチャーをしている人が沢山いました。
そして試合は、ネイマールのフリーキックからマルキーニョスが前半に先制点を上げたものの、後半にそのマルキーニョスが、オウンゴールを与えてしまう展開。苦しい時間帯に、ネイマールはイエローカード2枚(うち1枚は、あからさまなダイブといういただけないプレー)で退場。攻めあぐね、流石に厳しいかと思った後半アディショナルタイムに、エムバペがPKを獲得。息を飲むファン。エムバペが自ら決めて勝利に導くと、雄叫びを上げるファン。安堵感を漂わせながら抱き合う選手たち。スタジアムの中にある空気が、わずか数分でがらりと変わりました。
翌日の有名スポーツ新聞、レキップの見出しは
「メシア(救世主) 再び」 みたいな意味でしょう(グーグル翻訳による)。
ワールドカップ決勝での大活躍が記憶に新しい中、所属クラブでもピンチを救うプレーを見せつけました。
試合前に私が感じたようにネイマールとエムバペへのファンの反応に大きな差があったのですが、ワールドカップに加えて、この試合の出来で、立ち位置にさらに差ができてしまった感じでした。
スタンドの反応は、素直で残酷です。そして、それはそのチームのホームスタジアムで試合を見るからこそ、感じ取ることができます。
これがたとえどんなに行くのが大変でも、私が現地観戦をおすすめする理由です。
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