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ジュニアデザイナーが2022年に読んでおいてよかった本を振り返る

今年2022年は、ジュニアデザイナーとして、年の初めには想像もしていなかったような多くの経験を積むことができた1年でした。前半には、所属していたスタートアップでの怒涛のクリエイティブ作成(LPを2日で仕上げるという荒技もやったな…)で色々な筋肉(?)を鍛えられましたし、後半には今の企業に転職したことでPoCの中でインタビューから画面設計まで幅広いUI/UX領域の知見を得ることができたなと感じています。(まだまだこれからですが!)

そんな1年の総括として、今年読んだ本の中から「これは読んでおいてよかったな〜」「自分の業務理解を助けてくれたなあ」というものを『1~2年目のジュニアデザイナーが今年読んでおいてよかった本』としてこの機会にまとめておこうと思います✍️

📕 デザインリサーチの教科書

デザインリサーチの経験がない時に、実践に備えて予習をしておこうと思い購入した本です。特にポイントだと感じた内容を述べていきます。

UXタイムスパン
UXを時間軸で捉えると「利用前(予期的UX)」「利用中(一時的UX)」 「利用後(エピソード的UX)」 「利用全体(累積的UX)」の4種類がある

図で表すとこんな感じ

このUXの分解はサービスの全体設計を考える上での基礎だと思いますが、ここを頭に入れておくことで、全体像を見失うことなくリサーチや画面設計などの目の前の作業にとり掛かることができたように思います。

また、ユーザーインタビュー・アンケート・ユーザビリティテスト・KA法etc…UX リサーチにも様々な手法がありますが、目的と合わせて各手法の差異をこの本の中で押さえておくことができたのも、実際にリサーチを経験する前の予習としてとても為になりました。

📕 WHYから始めよ!

「Whyが大事じゃ〜」というのはサービス検討の際にこれまでもよく耳にしてきたのですが、正直あんまりピンときていませんでした。そんな時にGoodpatch土屋さんの「Whyとは何か」をテーマにした記事を読んだこと・デザインチームのリーダーに勧められたことが重なって、この本に出会いました。

WHYを司る脳の部位
意思決定に影響を及ぼすのは、感情や信念を支配する大脳辺縁系である

「WHY」「WHAT」「HOW」のうち「WHAT」で差別化使用とするとどうしてもコモディティ化してしまうもの。意思決定に影響を及ぼすのは「WHY」であり、ここの差別化できたかによって質の良いプロダクトが生まれる、という話が主題です。

「WHY」が意思決定に影響を及ぼす理由について、生物学的な裏付けをもって説明されている点が個人的にはとても面白かったポイントです。人間の決断を司るのは感情や信念を支配する大脳辺縁系であり、ここは言語機能を司る部位とは別の部位(言語を理解するのは大脳新皮質)のため、言語機能が伴っていません。意思決定は言葉で行われるのではなく、共感や感心などの感情によって行われるので、ビジョンが大事になってくるという著者の考えは非常に腑に落ちるものでした。

📕 UXデザインの法則

「なぜこのデザインがいいのか」を言語化するための視点を得たいと思って購入してから、今年は何度も読み返した本です。

記憶バイアス
感情的な出来事の方が感情的でない出来事より強く認知しており、感情のピークと終わりの瞬間(それがポジティブであってもネガティブであっても)に焦点を当ててしまう傾向がある

UberEatsでは、ユーザーに到着予定時刻を会計時に提示するだけでなくドライバーの動きを可視化することで、待つことに対する感情のネガティブピークを軽減し、リクエスト後のキャンセル率を押さえているんですよね。この例は感情的な苦痛を和らげる良質なデザインアイデアとして紹介されています。

自分もUberEatsを頼んだ時には確かにドライバーさんの動きを追うのがむしろ密かな楽しみになってしまっているのですが(ドライバーさんごめんなさい)、「苦痛を快楽に変えるデザイン」のとても素敵な参考例として、あらゆるタイミングで思い返して参考にしています。

📕 Form Design Patterns ―シンプルでインクルーシブなフォーム制作実践ガイド

先輩デザイナーにお勧めされた、非常に実用的な本です!フォームデザインに関する内容ですが、「なぜこのデザインがユーザーにとって最適か」という観点であらゆる具体例が紹介されており、デザインをみる目を養うという意味でとてもためになる一冊でした。

1つのページにつき1つのこと(タスク)
複雑なプロセスは小さいチャンク(塊)に分け、それぞれ別の画面に配置するべきである

エラーテキストは「エラーの発生箇所」が大切
エラーテキストは、ただエラーが発生していることを伝えるだけではなく「エラーが発生した箇所」までわかりやすく言及することが大切である

フォームという、いかなるサービスにも必ず出現する要素が題材なので、すぐにアウトプットに応用できただけでなく、理由やメリットについて様々な角度から言及されている点が良かったです。

例えば、「1ページの中にあるタスクは1つがよい」のはなぜかという説明についても、下記のように複数の理由を提示してくれています。
・ユーザーは一度にひとつのことにしか集中できない
・コンスタントに一歩ずつ処理を進めることで、ユーザーは進んでいる感覚を得ることができる
・ユーザーが入力するフォームが少ないとエラーは早い段階で発見される

📕 銀行とデザイン

「デザイン経営」「デザイン思考」などのワードがここ最近急に注目されるようになれましたが、デザイナーが企業の中で価値発揮するためのノウハウはまだまだ確立途中であるように感じます。SMBCでの細かな実例を通して、インハウスデザイナーとして働く上でのマインドセットや組織の動かし方を今一度見つめ直すことのできる一冊だなと思います。

・ユーザー層が幅広いプロダクトではハイエンドとローエンドを抑えて大枠のユーザビリティをカバー
・共通言語は明確化しておく( 「デザインする」は抽象度が高く正しく意味が伝わらない可能性があるため「画面設計する」と伝える)
・デザインシステムは「OK例」「NG例」でも提示する

丁寧な実例のシェアは読み応えがありましたし、ミドルストーリーボードの作成方法まで記載があり、そのきめ細やかさに感動しました。


2022年もおつかれさまでした!なかなか日々の生活の中で本を読む時間をとることは難しいものですが、来年も引き続きインプット・アプトプットともに精進していきたいと思います!💪 

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