Whyとは何か

Whyとは何か?を言語化してみる


Whyとは一体何なのか 🧐

近年、多くの会社で聞かれるようになった「Why」の重要性。
Goodpatchも例に漏れず、会社のカルチャーの根底に「Why」があります。

今となってはWhyって大事だよねーと抽象的概念で重要性が伝わりますが、実はWhyとは何かという言語化はあまりされてないことが多いと思っています。

今日はそんなWhyを少しだけ深掘って自分なりに言語化してみたいと思います。

Goodpatchが創業期から大事にしているWhyから考える文化

GoodpatchがWhyという言葉に触れたのは創業から2年ほど経った時期でした。当時は会社のビジョンもミッションもまだ明文化されておらず、社員は30名近くになりつつあり、メンバーがこの会社はどこに向かっているのかという声がが聞こえ始めた時でした。

そんな時にある人からサイモン・シネックの「優れたリーダーはどうやって行動を促すか」というTEDの動画を教えてもらいました。

今となっては世界中で4780万回再生されているとても有名な動画ですが、当時はまだ日本ではそこまで知られていなかったと思います。

この動画を見た時の衝撃は今でも忘れられません。

動画の中で語られているWhyの重要性、ゴールデンサークルの腹落ち感。

僕はその時にこの動画を何回も何回も繰り返し見て、
- なぜGoodpatchを始めたのか?
- なんのために会社をやっているのか?
- Goodpatchの存在意義は何なのか?

をひたすら自問自答しました。

その中で言語化したのが、Goodpatchのビジョンとミッションです。

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このサイモン・シネックの動画に出会っていなかったら今のビジョンとミッションは出て来なかったかもしれません。

それから、入社するメンバーには必ず入社時にこの動画を見てもらうようになり、「Whyから考える」はGoodpatchのカルチャーの根幹となりました。

なぜWhyが重要なのか

- 人は感情で意思決定をする生き物
今さら言うまでもなく人間はロジックで意思決定をするわけではなく感情で意思決定をします。

脳外科手術で「感情的部位」を失った人は、一分の隙もない論理的な人間になるわけではなく、「決断を下せない人」になる。
参考:30秒で読む「意思決定の脳科学」

論理的、合理的に見える人もその意思決定の下地には必ず感情があります。
人間というのは感情的な情報インプットが生み出す「動機づけ」や「目的」がなければ、効果的な意思決定ができない生き物なのです。

- 生物学的に人はWhyに動かされる

Whyとは何か.001

サイモン・シネックの動画でも語られていますが、人間の脳は3つの主要部位に分かれいます。外側を覆う大脳新皮質は合理的分析的な思考と言語を司り、「What(何を)」の層にあたり、内側にある2つは大脳辺縁系という感情、信頼、忠誠心を司る脳で、「Why(なぜ)」の層にあたり、ここで意思決定と行動を制御します。しかし、言語能力はありません。

人の「Why(なぜ)」はこの大脳辺縁系で制御される直感や信念、価値観などの感情的な面に影響を与え、意思決定や行動を促せるとサイモン・シネックは言っています。

ロジックではなく直感に訴えかけるWhyが強い共感と行動を生みます。

- Whyの違いが優位性のポイントになる時代
今の時代のように社会が成熟してくると機能などの要件で差別化が図りにくくなります。機能はコモディティになりやすいのです。しかし、「なぜやっているのか」「なんのためにやっているのか」「何を信じているのか」などのWhyに共感してもらえると顧客と感情的な繋がりができ、機能などの要件と別の土俵で戦えることになります。

サイモン・シネックの動画でも語られたAppleとDellの事例などまさにそうです。人々はできることはほぼ一緒なのになぜAppleの製品を買うのか。Appleに熱狂的なファンがいるのはなぜか。

Appleという会社が強い哲学や価値観を持っているからに違いありません。

これからの時代、自社特有の価値観は武器なのです。


Whyの構成要素

Whyとは何か.001

では企業のWhyとは何によって構成されているのか。実際、Whyという言葉は便利過ぎて、相当に解釈の余地が広く、文脈によってWhyの意味合いが違ったりします。

ざっと、Whyの構成要素を上げるだけで上の図くらいの意味合いが出てきてしまいます。

弊社の社内のコミュニケーションでもWhyを考えると言った時に、文脈によってはビジョンだったり、目的だったりします。

結構、定義が難しいので会社によってはWhyは曖昧だから使えないという声もあるかもしれません。

GoodpatchはValueの中に「Whyが人を動かす ( Inspire with Why )」が入っているのですが、昔からWhyという言葉が浸透していたのと、解釈の余地(余白)がある方が良いのでそのままWhyで使っています。

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共感されるWhyの5大要素

そんな解釈の余地が広いWhyですが、共感される企業のWhyにはある程度法則性があると思っていて、その要素を絞ると以下の5つです。

- 物事の本質を捉えていること
- 唯一無二の原体験(ユニークなストーリー)
- 信念(強く変わらない思い)がある
- 社会的な大義がある
- 魅力的なビジョン(夢)がある

少しだけ図解するとこんな感じです。

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まず重要だと思っているのが、原体験と本質です。どんな企業にも必ず創業者がいるはずで、その創業者の原体験が企業のアイデンティティの根底にあるはずです。その原体験の中に本質的に大事な事(課題or価値)が含まれているはずです。

例えば、僕の事例で言うと2008年にiPhone3Gに出会った事と2011年にサンフランシスコに行き日本と海外のスタートアップのギャップに気が付いた事が今のGoodpatchのビジネスを始めるキッカケになっていて、その原体験の中にその後価値が上がっていくUI/UXデザインとの出会いと創業者の中にデザイナーがいるなどの本質的価値に繋がる重要なことが含まれていました。この原体験からビジョン・ミッションへの流れの図解を弊社のデザイナー米ちゃんが整理した図がこちら。

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Whyにビジョンや大義や信念があるのは当たり前で、そのビジョンなどをより強固な価値のあるものにしてくれるのが、原体験と本質です。なぜなら原体験はその企業の創業者のユニークなストーリーだからです。

ビジョンや社会的な意義なら誰でも言える。しかし、原体験に紐付いたストーリーの中で語られるビジョンと大義はその企業のWhyを唯一無二のものにします。

Whyの輪郭を磨く

企業のWhyをどのように伝えていくのか。自分たちの信じるものや目指す世界をどのように社会に伝えて共感する人々を巻き込んでいくのか、とても難しいところです。Whyの輪郭をよりシャープに磨いていかないといけません。

大事な点を上げるとすれば4点あります。

1 - 心に引っかかりを生む言語化力
2 - 人を動かすストーリーテリング力
3 - 企業の姿勢とメッセージングの一貫性
4 - Whyを伝え続ける事をやめない   
※追記

1 - 心に引っかかりを生む言語化力

やはり、ビジョンやミッションステートメント、企業理念の言語化はこだわりたい部分です。どこの会社でも使われているような在り来りな言葉では刺さりませんし、自社ならではの言い回しやその企業の価値観や姿勢が伝わるような言葉が入ると良いと思います。創業者の言葉から持ってくるのも良いと思います。

僕がパッと思い浮かぶのはGoogleの10の事実です。

ex)
悪事を働かなくてもお金は稼げる。You can make money without doing evil.
スーツがなくても真剣に仕事はできる。You can be serious without a suit.
「すばらしい」では足りない。Great just isn’t good enough.

など、Googleの創業者の価値観がよく表された言葉の言い回しです。こういう言葉使いがユニークネスを生み、人々の感情の琴線に触れるのだと思います。

2 - 人を動かすストーリーテリング力

言わずもがなですが、人を導けるリーダーは優れたストーリーテリング力を持っています。語りかけで、人の感情を揺さぶり、内側からやる気を起こさせてくれるようなストーリーテリング力を多くの企業の経営者や創業者たちは持っています。その力がないと組織を成長させ続ける事はできません。

ストーリーテリングでやはり真っ先に思い出してしまうのが、Steve Jobsです。特にこの動画。

1997年、瀕死のAppleに戻ってきたSteve Jobsが一番最初に手掛けたマーケティングキャンペーン「Think Different.」を社員に説明する時の動画です。

Appleのコアバリューは何なのか、自分たちは何者なのか、誰のためにプロダクトを作っているのかを語っているのですが、とても惹き込まれます。

Think DifferentのCMはその後伝説のCMとなり、多くの人々にAppleの哲学を伝え、瀕死のAppleはそこからiMac、iPodと快進撃を続け、大復活を遂げました。その起点はこの動画からスタートしているのです。

あの時にAppleの社員たちにAppleの原点及び信念に立ち戻らせる事ができたのは間違いなくSteve Jobsしかいなかったでしょう。

Whyを社内外に伝えて大きな影響を及ぼした歴史に残る成功事例です。

3 - 企業の姿勢とメッセージングの一貫性

透明化されていく社会において、企業の姿勢とメッセージングの一貫性は重要です。言っている事とやっている事を合わせないと内部から崩れます。

企業の姿勢とメッセージングの一貫性がある企業として真っ先に思い出すのがPatagonia(パタゴニア)です。同社はミッションステートメントとして「最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」を掲げ、環境保護活動に取り組み、製品の環境負荷を下げる取り組みだけでなく、社外にも働きかける各種の環境保護キャンペーンも行なっている。売上の1%を米国内外のそれぞれの地域で活躍する草の根環境保護団体に寄付を続けているのです。しかも、35年に渡って。

パタゴニアは今年ミッションステートメントを刷新したらしく

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」

というWhyだけを設定し、Howはスタッフ各々が自ら考えて行動して欲しいという気持ちが込められているようです。パタゴニアの一貫した姿勢は多くのファンを作り強固なブランドとなっています。

4 - Whyを伝え続ける事をやめない

そして、最後にWhyを磨く上で最も重要なのがWhyを伝え続けることです。Whyの輪郭を磨くには1回の発信ではダメで、何回も繰り返し、色んな角度から発信を続ける事が大事です。そうやって、Whyを色んな角度で受け取った消費者の心の中にWhyの輪郭が形作られていくのです。

Whyを大事にしたいのであれば伝え続ける事を諦めてはいけません。
※2019年12月26日追記

消費者は本質まで見ないという逆説

消費者はほとんどの場合、企業のWhyまで気にしていません。多くの消費者は表層で意思決定します。「あのアイドルがCMしている」や「流行っている」などで購入の意思決定をする一方で、多くの人が利用するマクドナルドやdocomoのビジョンや理念を言える人はほぼいないはずです。

だからといって、経営がそういった消費者に踊らされて、本質的ではないマーケティング施策を連発していいというわけではなく、企業は常に自分たちのWhyと消費者の深層にあるコアニーズに紐付いた本質的な施策を考えるべきです。

本当にエンゲージメントの高い顧客(ファン)を作るためにはWhyとHowの一貫性はとても大事です。顧客は企業のビジョンや理念を知らなくても、タッチポイントでのメッセージングやサービスの内容、従業員の行動で言語化できないWhyを感じ取るものです。

社員をWhyの内側へ 🎯

社員をHowの層からWhyの層へ

これからの時代、自社のWhyを社員一人ひとりが理解している会社が強いブランドを築けると思っています。経営層が決めたことを指示通りに社員が実行するだけ、社員は戦略実行の一つの駒のような考え方の会社はこれからの時代では淘汰される可能性が高いです。

AIによる自動化が進むこれから時代でも必要とされる優秀でクリエイティブな人材はそんな考え方の経営陣の元では働きません。優秀な人材は自ら会社の進む方向性を確認し、Whyと照らし合わせながら自分の頭で自社にとって何が最善か考えるのです。Whyが明確であれば、社員が自発的に動けます。

卒業したマネージャーが語ったGoodpatchのWhyカルチャー

今年の秋に、弊社を2年前に卒業したマネジャーがGoodpatchの毎月の締め会Pizzapatchに来て、「辞めてから分かった外から見たGoodpatch」というテーマでLTをしてくれた事がありました。

その中で言っていたのが、「GoodpatchはみんなWhyから始めている」という事。

Whyのカルチャーは自分がGoodpatchでマネージャーをやっていた時は実は辛かった。Gpのメンバーは上で決まった事でもしっかりとWhyを伝えないと動かない。なぜやる必要があるのか聞いてくる。でも、そのWhyに納得して腹落ちしたら120%のパワーでやる。外に出てよく分かったけど、多くの会社では上で決まったことに誰もWhyを問わない。ちゃんとなにごとも自分ごとに消化して、行動に昇華するメンバーが本当に多いのがGoodpatchの強さに繋がっている。

Whyを問うカルチャーは主体性と強いコミットを引き出すのです。


メンバー全員がWhyを語れる会社は強い

改めて思うのが、経営陣だけでなくメンバー全員が自社のWhyを語れる会社は確実に成長しています。弊社のクライアントでもMTGやインタビューの度に自社のビジョン・ミッションをメンバーが語る会社があり、非常に強いカルチャーと業績を上げていました。

Goodpatchも社員一人ひとりが自社のWhyを語れる会社の一つだと思っています。例えば、Goodpatchでは売上の事を「顧客のデザイン投資額」と呼ぶのですが、これは社員が考えたアイデアでした。

自社のWhyを意識して仕事をしていないとこういう発想は絶対に出てきません。

Whyを内在化させれる会社の強さは今後もっと目立つようになると思います。

Whyはインサイドアウト 内から外に

この1年で組織崩壊ブログのお陰か、僕も講演などの露出が増えたのですが、それ以上に大きな変化を感じているのが、社員が自社の事をSNSなどでオープンに発信する頻度が圧倒的に増えたことです。社員の登壇の数も圧倒的に増えました。上記の元マネージャーから言わせると「ブランドが漏れ出している」と表現していました。

色んな場所でGoodpatchのストーリーとミッションを伝えることが増えて、ここ最近はWhyの内側に社員以外の周りにいる人達が入ってきていると感じます。それこそ、Goodpatchのミッションである「デザインの力を証明する」や社内でよく使われる「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」を社外で耳にすることも多くなってきています。

Whyに共感する人たちが社外に広がっている感覚がありとても嬉しいです。

まとめ

Whyの言語化に挑戦してみましたがいかがでしたでしょうか?正直、苦戦しましたw

今後、ますます自社のWhyが明確化されない会社、自社が「なぜやっているのか」「なんのためにやっているのか」「何を信じているのか」を社員が語れない会社は人も集まらず、成長することができなくなります。

反対にWhyへの共感で巻き込める会社はどんどん成長できます。皆さんの会社のWhyはどうですか?

そこにWhyはありますか?


Goodpatchの採用スライドが出来ました!😎

弊社のデザイナーとPRチームが気合を入れて作った採用スライドぜひ見てください!スマホでは見づらいのでPCの全画面で見てください!

Join the mission.
さぁ、一緒にデザインの力を証明しよう。

Goodpatchはビジョン・ミッションに共感する仲間を探しています。最高のチームで、ビジネスに成果をもたらすデザインを生み出したい方をお待ちしています。募集内容の詳細はこちらをご覧ください。

この記事は "Goodpatch UI Design Advent Calendar 2019" 最終日の記事です。今年のAdvent Calendarもめっちゃいい記事ばかりなので見てね

Twitterもやってるよ

2019年最後のインタビュー記事。こちらも合わせてどうぞ。


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Founder, CEO of Goodpatch Inc. 東京、ベルリン、ミュンヘン、パリにオフィスがあるデザインカンパニーの社長です。 Goodpatchのpは小文字です。
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