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牛乳か相談だ

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牛乳ができるまでの十勝の牧場のとある日常をご紹介。牧場で働く前に読むと、どんな仕事なのか、牛乳の選び方等もわかります。
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2021年5月の記事一覧

牛の健康は足が基本です

牛の健康は足が基本です

この牛、右前脚を痛めててうまく立てない。

消毒してるけど、こうなるとなかなか時間がかかります。

脚の調子が悪いと乳量も落ちる好きな時に立ってみたり水を飲んだりするのに不自由になるからか、こうして脚を痛めてしまうと乳量も落ちることが多い。
かと言って搾りは止められないので、搾乳前にはかなり手間がかかるのですが立たせて搾ります。

牛の体重は500kg〜700kgぐらい。この重さが4本脚にかかって

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身体は鍛えないと鈍る

身体は鍛えないと鈍る

昨日までは牧草スタック

デントコーンのサイレージ

2つを混ぜたエサを給餌してたのが約7ヶ月。

牧草スタックを使い切ったので今日からはデントコーンのみの給餌。

重さが腕に「ズシッ」とくる以前同様にデントコーンをホックで掬い上げようとすると「ズシッ」と重さが腕にくる。

以前は全く気にならなかったのに、明らかに身体は軽いエサに慣れてしまっていた。

負荷をちゃんと自分にかけておかないと身体は退

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牛がうるさい朝には

牛がうるさい朝には

今朝、いつも通りに牧場で車を降りると牛舎の中が牛の声で騒がしい。

あ〜、って思うつつそのまま牛舎の様子を見に入った。

普段と何か違うと牛は騒がしい

この通路の奥で逃げた牛がぼーっとしてました。

周りの繋がったままの牛達は

「逃げてるよー」って教えてくれてた訳です。

2人で挟み込んで捕まえる1人だとどうしても逃げられるので、スタッフ2人で必ず挟み込んで逃げ場をなくしてからこんなの牛に引っ

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ばあちゃん、立てた!

ばあちゃん、立てた!

昨日、分娩した後立てなくなっていたベテラン牛。

今朝見てみると元気そうに立って餌食べてる!(喜)。

搾乳も問題なく搾れます。

牧場のみんなが元気になって欲しいと願っていたからか、特に問題なさそうな感じ。

よかったっ!

搾乳量はベテランほど少しずつ増やす初産の牛はいきなり全量搾り切りますが、経産牛はいきなり搾り過ぎると本来は身体に回すべきエネルギーまで乳に回してしまい、低カルシウム症になっ

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8回目の分娩、迎えたけど。。。

8回目の分娩、迎えたけど。。。

昨日の夕方、8回目の分娩を無事済ませた母牛。

高齢出産の部類に入るので、何も起きない事願っていたんだけど、今朝から様子を見ても一向に立てない。

早朝でも来てくれる獣医さん朝、早い時間でしたが当番の獣医さんを呼んで診てもらった。

カルシウム剤とか点滴で処置したので後は回復を待ってみるしか無い。

仔牛は元気だし、多分大丈夫産まれた仔牛は首輪つけ忘れたら牛舎の中を勝手にうろつくほど元気。

親牛

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仕事 = 作業✖️意味 です

仕事 = 作業✖️意味 です

ここ最近分娩の牛も少なく、至って平和な日常が続いているので、ネタが少ない(笑)

たまには酪農の仕事への哲学みたいなのを書いてみます。

全ての作業に“意味"があるここでの仕事は

給餌や除糞、牧草の積み込み、牛の面倒をあれこれ。。。

様々な作業がありますが、これらの手順や餌のやる順番、道具の場所なども含めて全てに“意味“があります。

この意味を理解して初めて酪農の「仕事」ができるようになって

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“しっぽ” は生き物です

“しっぽ” は生き物です

きっと酪農に携わっている人なら99%理解してくれるはず。

牛のしっぽは生き物 牛のしっぽは搾乳で横に入ったり、後ろを通る人をものの見事にヒットします( ; ; )

昨日、休憩中に出たキーワードが

「牛のしっぽは生き物」

というフレーズ。

もう、間違いない!! って全員納得。

ひとの目を的確に狙いすますあの鋭さ。

たっぷりと汚れたう◯ちを染み込ませた尻尾をぶん回して周囲にいる僕達の目

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怪しい時はまず調べる

怪しい時はまず調べる

今日明日は僕が搾乳担当。 

50mくらい向こうからずっと搾る。

拭きながら気づくことタオルで乳頭を1本ずつ拭いてから機械をつけるんだけど、その時に乳房に触れた感覚がおかしな牛が1頭いた。

怪しきはまず調べる直感力直感力がこの仕事は通用する現場です。牛の乳頭や乳房の状態、その他、言語化しづらい違和感を感じる時があって、その直感が牛の不調を掴む予兆だった、というのはよくあります。

今回も気にな

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たった1人の心強さ

たった1人の心強さ

仕事中、たった1人で作業をしている時も多い。

デントコーンの給餌、糞かき(牛のウ◯チを掻き落とす)、痛んだ餌を取り除く、重たいものを運ぶ、etc....

1人でやってるとどうしても時間がかかったり、なかなか上手くできなかったりする。

たった1人加わるだけで変わるそんな時、誰かがスッと手伝ってくれると作業効率は2倍どころか3倍、4倍、10倍近くにもなることが少なくない。2本の手が4本になるとで

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デントコーン開封の儀

デントコーン開封の儀

昔はデントコーンを貯蔵・発酵させるために縦型のサイロを用いるのが当たり前でした。

いまは多頭飼いが主流なので、縦型のサイロでは小さいのと、ガス発生時の事故も多く危険なので、ええいまはバンガーサイロを使うのが標準になりました。

いまはバンガーサイロで発酵させる

いまはこうしたコンクリートの壁で仕切ったバンガーサイロを使ってデントコーンや牧草を発酵させます。

見ての通り、もうほとんど残ってない

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ワクチン注射、牧場では日常です。

ワクチン注射、牧場では日常です。

ワクチン注射がある朝毎朝の仕事の1つに、分娩予定日に前後して行うワクチン接種がある。
ボビバック、スタートバック、下痢5種という3種類。
分娩予定日の前後でそれぞれスケジュールが決まっていて、それに合わせて打つ。

親牛の病気を防ぐものもあれば、初乳を通して、仔牛の下痢を防ぐといった目的のワクチンもある。

首筋に打つ緊張感牛のお尻からの筋肉注射ならいいんだけど、首筋に打つのがあって、これが慣れな

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安定して搾ること

安定して搾ること

今日は従業員のN君が休む。

週休1日制です僕がいる牧場は基本的に週に1回のお休み。

僕はN君が休む日は彼の仕事を全部カバーするために1日牧場に入ります。

搾り手が変わってもストレス感じさせずにN君がいない分、当然搾乳も僕が担当。

出荷NGの牛は搾らない、クセのある牛はそのクセに合わせて搾る。

etc....

普段のN君以上に牛へストレスをかけないようにリズミカルなペースで搾っていきます

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あさからさかさあ

あさからさかさあ

回文にできなかった(^◇^;)

逆子(さかご)が出てきた今朝、出勤すると経産牛から仔牛が足が出た状態に。

とりあえず、両足に紐をつけて力みに合わせて引っ張ってみた。

が、すぐに頭が見えるはずが、でているのは尻尾(泣)。

逆子なので無理せずに気をつけたら2,3回の力みでスルッと出てきた。

さすが、ベテラン牛。逆子なのにスルッとでてきた。

でも、仔牛の性別を確認したときにへその緒がなく、赤

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美味しくな〜れ、ショベルから愛を込めて

美味しくな〜れ、ショベルから愛を込めて

いよいよ。春。
牧場の仕事も畑仕事真っ盛り。

デントコーンの播種は牧場の仕事デントコーン(=飼料用とうもろこし)は、牧草とともに、牛達の餌として欠かせない重要な作物。この出来・不出来が来年の乳量や乳質を大きく左右します。いまは、農協へ委託される牧場も増えてきましたが、僕たちの牧場は餌は基本、自前で作ります。
耕し終わった畑に種を撒いていきますが、僕はその間牛達の餌作り。

良質な粗飼料が牛の健康

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