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多様性の先にあるもの

筑波大学蹴球部の2019シーズンのハイライトムービーが公開されました。いつも以上に最高な映像作品です!ぜひご覧ください!

もはや僕はそれだけで満足です!このnoteを最後まで読まなくても大丈夫です!!

同日のシーズン報告会をもって、筑波大学蹴球部の2019年の活動は締めくくられました。僕にとっては蹴球部での最後の1年。大学1年生から7年間。お世話になりました。

このnoteは部員ブログのつもりで書きます。ただ、別に誰にも頼まれてないので勝手に書きます。僕からみた筑波大学蹴球部の強みとその先を考えてみました。

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増し続けてきた多様性

筑波大学蹴球部の部員は1~4年生までを合わせおおよそ160名。そのほとんどが「体育専門学群(体専)」という体育・スポーツを勉強する学部に所属していると思われがちですが、実際はそうではありません。

全体の5分の3くらいが体専の学生で、残りの5分の2が体専以外の学生。その中には、社会、国際、理工、教育、情報、医学など様々な所属の学生が在籍しています。出身地も北は北海道から南は沖縄県まで様々で、このあたりからすでに蹴球部員の多様性が垣間見えてきます。

ただ今回話題にしたい多様性はこの点に限りません。

蹴球部にはいろんな人がいます。

めちゃくちゃサッカーが上手い人、

対戦相手を細かく分析する人、選手の身体のサポートに徹する人

スタンドから全力で太鼓を叩いて歌いチームを鼓舞する人、

チームや試合の運営に尽力してくれる人、

イベントを企画して盛り上げてくれる人、

スポンサーを獲得してくる人、子どもたちの指導に熱い人、

留学する人、会社を立ち上げる人

かっこいい広報用の映像や画像を作る人、


あげはじめたらきりがない。この数年で、部員一人ひとりの長所を発揮できる場所が増えてきたと思う。

みんなの良いところがどんどんと掛け合わさって、ここ数年の筑波大学蹴球部は、試合の結果に限らない多方面でこれまでになかった成果をあげているのだと思います。

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多様性の先にあるもの

ただ、筑波大学蹴球部の強みは多様性だけではないです。というよりむしろ組織論として、多様性だけではチームは強くならないんじゃないか。

多様性、最近はダイバーシティともいいますが、

ダイバーシティとインクルージョン、この2つがあることが今の筑波大学蹴球部の強みだと思っています。

インクルージョン(inclusion)は直訳で「包含」。その対義語は「除外、排除」で英語だとexclusionです。ただし今回は、もう少し踏み込んだ意味でこのインクルージョンという言葉を使っていこうと思います。

ここでのインクルージョンとは、

「集団の中の多様性を、それぞれが認め受け入れること」とします。そしてそのような状態を「インクルーシブ(inclusive)である」とも表現します。

いまの蹴球部は、何か新しいことを始めようとすることへの受け入れ態勢がすごいんです。

さまざまな方面にアンテナを張ってる部員たちが、

「スポンサーを獲得してこよう」とか

「ファン感謝祭をしたい」とか、

「新しいグッズをつくろう」とか、「マッチデープログラムをつくるぞ」とか、

「テニス部と対決企画をYoutubeでやろうぜ!」とか、

「子供たちや留学生と交流するイベントやりたい!」とか、

いろいろ言い出すんですよ。そしておおよそこういうものは、ピッチの上でサッカーをプレーして勝つっていうことと、直接は関係のないことだったりするんですよね。

でもそれを多くの人が受け入れて、協力者が集まってきて、実現させちゃう。組織の誰かが始めることを、ほかのみんなが認めて、受け入れて、そして一緒に頑張れる。いまの蹴球部では普通のことも、数年前はどうだったか、筑波のほかの体育会はどうだろうかって思うと、やっぱりこれはすごいなあと思うんです。

だいたいどんな組織にもそこに属する人の多様性はあるはずで、その発揮には多様性を認めてくれる周囲の存在や組織の雰囲気が必要です。

「意識高い系」とあえて言いますが、そういう人たちの中には「チームにはいろんな人がいて多様性があった方がいいよね」とか「変わった考えを持っている人が組織にいた方が刺激があって良い」っていう人たちがいます。でもそういう人に限って、本当に自分が関わるチームにそういう「異分子」が発生すると、全力で排除しにかかったりするんですよね。「君には協調性がない!」とか言って。あくまで経験上の話です。

いまの蹴球部には、ゼロとは言えないかもしれないけど、そういう風に多様性が排除される可能性が低いのかなと思っています。(ゼロになるのがいいのかはまた別のお話。)

ダイバーシティがあり、そしてインクルーシブであること

それが近年の筑波大学蹴球部の強みのように思っています。来年以降も大事にしていってほしい。

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さらにその先に

このダイバーシティがあってインクルーシブな状態の、さらに先には何があるのかなあと想像してみました。もしかすると、あまり良いことばかりではないのかもしれません。

いまの蹴球部では、ひとりが発する言葉をちゃんと受け止めて認めてくれる人がいます。でも「受け入れる」とか「認める」が過度に当たり前になっていった先にあるのは「不干渉」だけではなく、もしかしたら「無関心」なのかもしれないと思ったのです。


部員の誰かが何か声をあげる。やり始める。

それを否定することはないけど、特に興味を向けることもない。やりたいやつがやりたいことをやってるけど、詳しいことは知らない。

「不干渉」だし「無関心」。

そこに、今ある熱量はもうないと思う。勝手に悪い想像をして、そんな風にはなってほしくないなあと勝手に願っています。


別にね、何かを始める時ってそれは自分のやりたいことだし、誰かに褒められたいわけじゃないんだよ。でも、見ててはほしいなって思うんですよ。

「ねえ俺頑張るからね、見ててね」って思える相手がいる時、人ってすごく力を発揮できると思う。たとえ一人で立っていても独りじゃない。

親子とか家族の関係もこんな感じだと良いんじゃないかと思います。そういえば僕の同期が4年生の頃の学年ミーティングで「おれ、ほんまにみんなのこと家族やと思ってる」って言ってた。ああ、やっぱりそうだ。あいつは仲間のこと、ほんとによく見ててくれてた。

自分のやっていることや役割を『語る』ばかりじゃなくて、誰かに『語られる』ということ、「おれの仲間、すげえんだよ」って熱っぽく語ってくれるのはやっぱりうれしい。

蹴球部では隣にいるやつはライバルであってほしいし、でもやっぱり僕らはチームで、そしてもしかしたら家族みたいなところもある。だからこそ、いつでも隣のやつには負けられないって切磋琢磨して、同時にお互いを応援し合えるような場所であってほしいなと思っています。

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時間は限られてるから、加速していくんだ

今年ももう終わってしまう。ものすごい勢いで時間が流れていく。終わってみると大学の4年間は瞬く間に過ぎ去る。

『はやく行きたければ、ひとりで行け。
遠くまで行きたければ、みんなで行け。』
(If you want to go fast, go alone. If you want to go far, go together. )

というアフリカのことわざがあるけれど、大学サッカーは4年間と時間が限られているから、遠くまで行くには「みんなで速く」進んでいきたい。

思えば、僕が見てきたこの7年間だけでも筑波大学蹴球部はものすごい変化をした。

大学1年生の時にTwitter実況を始めたり、4年生の先輩がひとりでiMovieでハイライト映像作ってたんだよ。今や10人以上のチームでFinal Cut ProやPhotoshopを使いこなしている。

大学2年生の時に今の監督が来て、スカウティングってのに学生たちも関わり始めて、手書きのレポートをコーチに持っていってたんだよ。今では経験を積んだ自慢の分析隊が選手の前でプレゼンしてるし、先輩が後輩の指導までしてんだ。

大学3年生の時の開幕戦が初めてのホーム開催で、てんやわんやだったんだよ。負けたし。それが今年はあのサッカー場に1200人も集まって、やっぱり大変ではあるけど、新しいことにもいつもトライして大勢の人と最高の時間を共有してる。

すごい。7年間の変化がすごい。びっくりだよ。

でももっと遠くまで飛ぶために、さらに加速していくんでしょう。

「みんなで速く」

ひとりで進んでいっても疲れて減速しちゃったりするけど、その時にはほかの誰かが引っ張ってくれて、みんなで加速していってほしい。その先に、僕らOBが想像もしてなかった景色があるんだろうな。

ああ、俺も負けずに頑張らなきゃな。頑張ろう。

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7年間という他の人より長い時間を選手として、コーチとして、あるいは学生としてこの筑波大学蹴球部で過ごさせていただきました。

筑波大学蹴球部を通じて出会えたすべての人を感謝しています。

そしてお世話になった先輩方のみならず、一緒にサッカーをしてくれた後輩たちのことを心から尊敬しています。

最高の同期たちのことはいつまでも愛してます。


愛すべき筑波大学蹴球部の、今後のさらなる活躍に期待しています!

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

2019年12月27日






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これまで書いた筑波大学蹴球部に関するnoteです。もしよかったらお時間のある時にご覧ください!

▼グラスルーツの話


▼コーチをしていて思った話


▼ファン感謝祭が最高だった話


▼大学のサッカー場がスタジアムになった話


▼2019シーズン開幕の時に書いた話


▼B2チーム(4軍)の監督をした僕の備忘録



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