マガジンのカバー画像

サッカーやスポーツの話

37
サッカーやスポーツに関連したnoteを集めています。仕事でサッカーしてるのに関係ない話ばっかり書いちゃって埋もれるので、サッカーやスポーツに興味がある方はこちらからどうぞ。
運営しているクリエイター

記事一覧

またスタジアムで会いましょう

今年も1年間、Jリーグクラブの一員としてサッカーに携わらせてもらいました。昨年までと少し働き方が変わったので回数は減ったけど、ホームゲームの日にはそこそこスタジアムにいます。見つけて声をかけてくれる皆さん、いつもありがとうございます。 スタッフといえども、自分は試合中にあまり仕事がない(特に今年は本当になかった)ので、試合をゆっくり見ていられます。そしてサッカーコーチという仕事をしているけれど、試合と同じくらい、もしかしたらそれ以上にスタジアムのお客さんの様子を見るのが好き

意志を形にする背中 -筑波大学のサッカー部にあるもの-

昨年、2022年の最初に観たサッカーの試合は、天皇杯でもJリーグでも、高校選手権でもなく、西が丘で行われた女子サッカーの大学選手権(インカレ、全国大会)の準決勝、筑波大学と早稲田大学のゲームだった。 筑波大学女子サッカー部にとって、自分が大学1年生の頃以来、数年ぶりになる全国ベスト4、インカレでの大学サッカーの聖地『西が丘』。1月4日、帰省を早々に切り上げて新幹線に乗った。 僕が学生時代に選手・コーチとして所属していた蹴球部(男子サッカー部)と女サカ(女子サッカー部)は別

元サッカー日本代表選手が子どもたちに語った言葉が、大人にも響いた理由

子どもたちに向けた言葉が、自分の胸中に響いた。それがどういうことなのかを数日のあいだ考えていた。本人が自覚的かはわからないが、きっと言葉は発する人の想像以上に、人となりや姿勢を表すのだと思う。 ・・・ 先日、自分が所属するクラブ、水戸ホーリーホックのホームゲーム(JリーグではなくJエリートリーグという試合)が茨城県日立市で開催されて、その試合後には日立市出身で水戸ホーリーホックにも所属した元日本代表、鈴木隆行さんをゲストに招いたサッカー教室イベントが開催された。 イベン

サッカークラブの週末は、誰かの「ハレの日」に

ゴールネットが揺れる瞬間に、思わず腰を浮かす観衆。試合終了のホイッスルが響く時の拍手、選手の挨拶を迎えるサポーターの表情。涙を流す営業担当に声をかける選手やコーチ、もらい泣きするパートナー企業の方々。 こんなにも、スタジアムから離れたくない。もっと余韻に浸っていたいと思える日はこれまでなかった。 ・・・ 2021年10月10日、J2リーグ第33節 水戸ホーリーホックvsザスパクサツ群馬。 水戸ホーリーホックにとって、勝負のかかったホームゲームになっていた。 今シーズ

最近、書いたものが紙になっていまして

noteを始めてインターネットの海に書いた文章を垂れ流すようになってから、3年とちょっと。 純粋に「書く」ということであれば、それはもう小学生の頃から、ABCラジオの「おはようパーソナリティ道上洋三」のコーナーに作文を送り込んだり、捻りに捻った結果ほとんどあらすじに触れない読書感想文を夏休みに提出したり、高校入試では特色試験の小論文でサザエさんのイラストから核家族が増える社会について語り文字数に収まりきらず、残り15分で「サザエさんからみる環境問題」に論点をずらして書き切る

チームを牽引し、そして卒業してゆく後輩たちへ

「後輩たち」とは、僕が選手・コーチとして2013年から2019年まで所属した筑波大学蹴球部の後輩たちのことである。 つい先日この春の卒業生と話すことがあって、「この代がもう卒業か」なんて話をしていたら、 「隼さん、この学年の半分以上は自分のチームで指導してるんじゃないですか?」 と言われた。 ああ、言われてみればたしかに。 ちょうど僕が大学院1年生、つまりコーチ1年目の年に彼らは入学してきて、そのシーズンは僕が一番下のチーム(5軍)の監督をしていたので、まだまだこれ

あなたのコーチング哲学を漢字一つで表したら

どうも、板谷隼です。 今回の記事では、自分のコーチング哲学について考えた話を書いていきます。スポーツ現場での指導に関わらず、様々な場面で「コーチング」という言葉が聞かれるようになっていますが、やはり自分なりの軸が必要だなと思うのです。それがいわゆる「哲学」といえるのでしょう。 ・・・ 2年とちょっと前に代々木であったコーチングのセミナーに参加しました。その時のテーマがまさに「コーチング哲学」。 セミナーの冒頭、参加者同士のアイスブレイクも含めて問われたのが、記事タイト

¥100

選手はクラブの『フォワード』

Jリーグの2020シーズン全日程が終了した。 僕が(端くれ中の端くれではあれど)Jクラブの一員となった初めてのシーズン、前例のない事態に先が全く見えなかったあの時期を越え、きっと僕みたいなぺーぺーの目には見えないようなところを含む、本当に多くの方々の力によってなんとか、なんとかシーズンを終えることができた。 思うように声も出せない中、スタジアムでピッチへ拍手を送ってくれた皆さんには、感謝の気持ちしかない。 そんな1年のなかで、ある日のスタジアムで交わした言葉のひとつが印

子どもたちのサッカーで怒っている大人のことがよくわからない【ひとり議事録 vol.14】

久々にサッカーの話をさせてください。実はサッカー指導者として働いています。もっとサッカーやスポーツの話をした方がいいですね。 指導している子供たちと遠征に行くことが増えてきてるんですが、最近対戦させていただいたチームの監督さんの、ベンチでの言動や振る舞いが気になってしまいました。 何だかずっと怒っているように見えて、声かけも厳しいというより、怒鳴ったり、否定的だったりで聞いてるだけでかなり「精神的にくる」感じでした。 でもこういうの、その方に限らず子供のスポーツ現場でま

¥100

「語られる」ことを目指したい ~”専門性”ってなんだ?という話~

すごく真剣に自分に向き合っていて、自分の目標のためにアフリカでプロサッカー選手になったりYouTubeを始めるたり、とにかくチャンスに飛び込むというか常にこじ開けていくような、かっこいい後輩がいる。 とても活発で魅力的な動きをするのでメディアに取り上げられたりもしていて、そんな彼と話したことがある。 「おれも取材とかされたいなー。」 すると彼は言うのだ。 「いやいや、こういうのは自分で売り込んでいくんですよ!」 わかる。わかるんだが、少し引っかかるんだ。 それは「

フィールドに出れない時、現場のコーチの”専門性”を考えていた

新型コロナウイルスの影響によりクラブとしての活動自粛期間を越え、6月から徐々に活動を再開してから2か月が経った。 フィールドで集まってサッカーができるのは、本当にありがたい。端的に言うと、サッカーコーチという自分の専門性を活かした仕事がしやすい。そんな当たり前のことに気づけたのは、「当たり前じゃない」時期が2か月近くあったからだ。 フィールドに出れなかった2か月ほどの活動自粛期間。その期間に自分の中で言語化できた、現場のコーチの”専門性”について書いておきたい。 ・・・

僕が住む街にはJリーグがなかった 〜クラブが街にある意味〜

Jリーグは僕より1つ年上だ。つまり発足してから25年以上が経っている。最初は10だったJリーグクラブは、J1からJ3まで含めて全56クラブとなった。 ただ一方で、まだJクラブがない県が8つある。そのうちのひとつ、奈良県で僕は育ち、サッカーを始め、18歳まで過ごした。 僕が住む街に、Jリーグはなかった。 ・・・ 昨年、縁あってあるJ1のクラブでインターンシップをさせてもらった。1週間、トップチームの活動に帯同させてもらうことができて、それ自体が貴重な経験となった。プロサ

スポーツファンは、フィールドに近づきたいのだろうか。/ 【アフターコロナのスポーツリノベーションVol.2】イベントレポ

以前noteに書いたオンラインイベント『アフターコロナのスポーツリノベーション』のVol.2が開催されました。 ▼Vol.1のイベントレポ ・・・ スポーツイベントの再開に向けて トークテーマとして事前に設定されたのは上の通り。「ここから始めると話が繋がっていきそうだよね」といって最初の話題になったのは、スポーツイベントの再開に向けての話だった。 「いろいろなことが、徐々に再開までのカウントダウンをする雰囲気になってきそうだよね」 しかし、例えばJリーグを例にとっ

あとがき-いまスポーツが「あなた」にシェアできるもの-(長尾彰×冨田大介のはなし)

「そんなに綺麗にまとめなくていいからね」 そういわれたものの、なんだかしっかりと、みっちりと、いうなれば「仕上げた記事」を書こうとしてしまう。 件の対談から2週間が経ち、2本のnoteを公開した。 冒頭の言葉を発したのは、この企画の言い出しっぺである長尾彰さん。そしてこれは、この対談の「聴き手」であった僕へのオーダーである。 この対談企画、結果的に第1回となるらしい今回は、「訊き手」の長尾さんが冨田大介さんの話を引き出すことがほとんどだった。冨田大介さんは水戸ホーリー