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千葉戦レビュー~見せられなかった「昇格争いへの意地」あっけない終戦~

メモリアル弾で先制も…

悔しすぎる逆転負け。前節のJ100試合出場に続いて、山雅での200ゴールというメモリアル弾をセルジが記録して幸先よく先制したものの、前半のうちに逆転を喰らい、千葉の得意パターンにはまりかけたが再びPKで同点に。良い流れができたかと思われたが、その後も新井の好守もあり、川又にAT弾を決められて逆転負け。

この敗戦によって、目標の1つだった「昇格」の可能性が途絶えたことをチームがどう捉えているかは少し見えてこない点ではあるが1サポとしては非常に悔しい。やりきったというよりチームが「何を狙っていたのか」がイマイチ見えてこないまま、このような形になったのが残念で仕方ない。(仮に3年計画などがあれば今年の失敗も悲観はしないが……)

しかし、嘆いていても仕方はない。今季1つでも上に、そして来季に繋がる戦いを残りの試合でも期待していきたい。

~個人的チームMVP~

チームMVPは2得点をあげたセルジ。ロストも多く、正直プレー自体はそれほど良くなかったが最も多くのシュートを放ち、可能性は感じさせた。

次点では途中から入ってパスコースに頻繁に顔を出し、良い流れを作った前貴之。前半は苦労し、後半も間受けでうまくさばいていくタイプではない中だったが……PK奪取の起点としても活躍した塚川をあげたい。

~戦評~

■「想定外」はあったが……

まずはまずい入りをした立ち上がり。特に「先手を取ること」でゲームを優位に進めることが多かった柴田山雅としては押し込まれた状態でゲームが進むというのはあまり好ましくない状態であり、結局HTまでは明確な修正もできないまま2失点を喫してしまう。

ここまで442を基本システムとして闘ってきた千葉だが、この日は4231気味で工藤が神出鬼没のプレーを何度も見せた。前節不在だったクレーベ、そして工藤の2トップは確かに想定していた形ではなかったが、それにしてもここまでうまくいかなくなるのはピッチ内外での修正指示が必要だったと思う。大前提として千葉はミッドウィークでのメンバー変更はこれまでも何度も行ってきたチームであり、この程度の変更であれば想定はしておくべきだったかもしれない。

加えて、フレッシュな選手が多かった千葉に対して山雅の選手のコンディションはホームとは思えないほどの差があった。セカンドボールへの対応の遅さからファールも多くなり、裏への動きなどアグレッシブさが感じられなかったのでロジックでもパッションを支えるコンディション面でも後手を踏んだ印象を受けた入りとなった。

■前節との違いは守備対応よりも失い方

・悪い流れになった原因は審判より自分たちにある

敗因の1つであったセットプレー。不要なファールをしないというのはMTGでも話があり、審判の判定の傾向は試合中も感じていたことだと思う。それなのになぜこんなにも福岡戦と差が出てしまったのか。

守備対応はむしろ福岡戦とそれほど変わらず、流れの中ではおおむね粘り強く守れていたほう。審判にチームがアジャストできなかった点は残念だが、激しさ・粘りは(疲れはあれど)やれることはやっていた。この試合に関しては守備対応や審判の差ではなくて、自分たちのボールの失い方の悪さからリズムが生まれず、焦って遅れて対応、相手に良い形を作られてしまったことが原因だと感じる。

・うまく攻撃を組み立てられなかった要因

まず一つは配置の問題
相手の442に対して3421で回していた山雅だが、プレスの早さやサイドにこだわったことからこの日は佐藤or塚川を落としてビルドアップを4141に⇩

システム

(常田→鈴木のパスの線抜けてます。すいません。。。)

サイドバック化する常田・大野に攻撃の始点を置くという判断からだったようだが、解説の飯尾さんも話していたように4バックにしてしまうと配置上の優位性はないため、回していても後ろに下げるしかない状態に。

さらに、選手起用の面でも要因はあった。左サイドで右にボールを持つスタイルの鈴木、WBで多くを求めるのは酷な浦田の組み合わせなのでベクトルが前に向かない。

本当であれば組み立ても行える鈴木が前向きでボールを受けられるような受け方をして、ゲリアの裏をセルジや杉本ら前線の選手が突くような動きを見せられれば相手のプレスも慎重になってくるが、逆足で持てば視野は狭くなる。これに対して「鈴木が左で持つようにする」という修正は起用意図と矛盾しているので「左ライン際でのプレーもうまい浦田とポジションを変える」「鈴木が中に入り、セルジが左でもらう」などの修正を行ってサイドに起点を作らなければいけなかったわけだが、HTでの交代で何とかするという手が打たれている。鈴木の壁にぶつかっている感じから左サイド起用されているが、解決策になっているのかは疑問に感じてしまう。

また組み合わせという意味では、シャドーのセルジ杉本は2人ともボールを迎えにいくような貰い方で相手を背負った状態でプレーをするのを得意としているので、深さも取りに行けず、ボールが前に進められないという時間帯が続く。柴田監督としては2点目に繋がった塚川のプレーのように引いた千葉に対してセルジ杉本が間受けするイメージでの起用だったと考えられるが、ここは(不運さもあるが)裏を取られてしまった。

■運べる2人の投入と同点弾

そこで、後半頭からは鈴木杉本に代えて中美と前を投入。左の攻撃が上手くいかなかったところを戦術的な変化ではなくて、属人的な形で修正してしまったのは今後に繋がりにくいように感じてしまうが、相手の疲労と中でボールを貰い、独力で突破できる中美によって左サイドの閉塞感はいくらか修正された。

そして、もう1人の前もさすが山口、横浜とやってきただけあってボールを回しながらスペースに走り込んで優位性を作り出す動きがうまい。WBはプレスを受け、シャドーも捕まっている状態でも前が顔を出すことによって数的優位性を生み出すことに成功していた。

ビルドアップもCBとDHの31の形に戻したことにより前の選手へのパスルートも増えた。

得点シーンはまさにというような3421と442のギャップを見事につき、佐藤から空いてくるWB浦田にそして4人の間に入るシャドーの塚川へと鋭い角度からボールが入ることによってDFのベクトルが定まらなかった。

ギャップpng

この流れから同点弾を決めて逆転も見えてきたが……ここでシステムを変更。千葉はメンバーを入れ替え、互いにメンバーを変えながら攻撃の活性化を目論む雅は米原を入れて塚川・阪野(ハン)の2トップの352に変化、千葉は川又・見木と攻撃的な選手を入れてお互い前線へのパワープレー気味の展開に。

■終盤の「あと一押し」の差はどこに

結果は周知のようにこちらがチャンスを決めきれず、川又の1点に泣いた。山雅は中盤を3枚にすることでセカンド回収を強化、塚川を前線に専念させる狙いがあったが、狙いがハマったのは千葉の方。残り10分を残して5枚を使い切った山雅はまたしても"勝負の策"を繰り出すことはできなかった。

以前、書いたように後半30分以降の得点に着目すると水戸戦で後半31分に得点をとったのみで一番の勝負所で力を出し切れてない。

理由はいくつか考えられるが、今日の場合は連戦メンバーの疲れ、そしてそれによる交代枠の消費は影響は大きかったと考えられる。「5枚替えることは前提としてあった」と明言されており、次節も見越して……という計画的なメンバー起用だったが、この試合においてはデメリットは当然大きい。目の前の試合で何とか悪い流れを止めようと全力を注ぐ相手に対して「相手や試合よりも自分たちを見て」の交代になってしまったのが終盤のあと一押しに表れてしまった感は少し感じる。

改善点としては今の日程・戦術に対して使う選手の枠・起用法が狭すぎて逆に自分たちの首を絞めているというところはあるだろう。多くの選手を使うのが正解ではないのであくまで1つの例だが、戦略的に何かしらのテコ入れは必要である。

■次はセットプレー要注意の町田戦

だいぶ省略して短くなってしまったが、レビューは以上。昇格の可能性は絶たれてしまった山雅だが日曜日にはまた試合がやってくる。ここまで町田とは4勝4敗1分、アウェイでも2勝2敗と互角の成績だが、不思議と苦杯をなめるような試合が多い。

僕自分自身もどしゃぶりの野津田ではこてんぱにやられ、平戸には目の前で見事なFKを決められたのは記憶に新しい。今年はかなり転換期でスタイルにもやや変化はみられるが、激しい寄せと多くのパターンがあるセットプレーは健在。千葉戦ではセットプレー絡みで失点を喫しているのでここの修正は急務である。

「昇格」が無くなって何かを変えるということはないと予想するが、千葉戦の動きの重さを見ての変更はあるかもしれない。いくら調子がいいチームでも過密日程でメンバーを固定して安定したパフォーマンスを発揮するのは難しいのでチームの進化のためにも敗戦をうけての「変化」は期待したい。


現地行かれる方、よろしくお願いします!!!!

END

(画像は松本山雅公式より)

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