ギラヴァンツ北九州戦プレビュー~泥臭く、一丸となって~
■3連敗を避けたいところで最悪の相手
現在、連敗中の山雅。3連敗、ホーム連敗を避けるためにも絶対に負けられない。チームの背景、今の状況への考えについては前回書いたので割愛するが、昇格のためというよりはまずはこの局面を打開するためにも勝ち点3は欲しい。
今節の相手は愛媛以来の西日本のチーム「ギラヴァンツ北九州」。北九州との対戦自体も久々となるが、歴代最強といっても不思議ではないかなり成熟されたチームになっている。それを示すかのように現在4勝3敗1分の順位は5位。特にここ5戦は3勝1敗1分(勝ち点10)でなんと自動昇格ペースのかなりの成績を残している。
そして、そこを無視しても前節のプレスのかからなさ、繋げなさを考えると上位に位置する長崎よりも大宮よりも福岡、徳島よりも「最悪の相手」と言ってもいい。
■今年のギラヴァンツ北九州
去年のJ3優勝チームの北九州だが、草刈り場となった群馬と異なり、流出は最小限に抑え、レンタルと大卒で大変有望な若手が揃っているチームとなっている。山雅からも永井堅がレンタル移籍し、守護神として好セーブを連発。今節は契約上出れないが、代わりに去年の正GK高橋が出てくるはずなのでそこをつけるかでいうと少し難しそう。
チームは深いJ2ファンなら誰もが知ってる小林伸二監督が率いており、ハイプレス&長短のパスを主体にしたショートカウンターを得意としている。しかし、後ろからの組み立ても相当うまくて縦に早い。守備も攻撃もすぐに敵陣で行いたいというのが表れた超攻撃的サッカーとなっている。
それでいてただ攻めるのではなく、ゴールキックはリスクは冒さない、守るときは守るなど勝つためのリスク管理なども徹底されているのも特徴的。
・キーマン
キーマンは絞るのが難しいチームだが、1人は心臓的な存在・國分 伸太郎。これまでは1列前のイメージが強かったが現監督のもと、ボランチにコンバート。さらに細分化すると"レジスタ(演出家)"的な役割の選手としてとにかくボールを受けては捌き、時には運ぶこともできる。山雅でいうと久保田だが、さらにチームの軸として役割が明確にされている。
もう一人は"今熱い"という点でディサロ燦シルヴァーノ。175㎝と意外にもサイズはそこまでないが(もっと大きい印象だった…。)、法政大時代からクロスに合わせるのがうまく、とにかくボックスの中では脅威。数歩対応が遅れただけでやられてしまうので注意。
■予想スタメン
復帰する選手はいるのかいないのか…。仮にいなかったとしても相手に合わせて変えていくのが布監督。相手に合わせて柔軟にシステムやメンバーを変えていくはずだが…。まずは自分たちの誰がいい状態なのか・(精神面で)戦えるのかを優先していかねばならない。
(控え)村山・服部・高木利・田中隼・久保田・セルジーニョ・中美
<GK>
連敗中だが、替え時ではない。攻撃の第1歩として存在感は増している。
<DF>
誰が戦えるで決めるとはいえ、選択肢は多くない。復帰組次第で前線を増やす可能性もあるが3バックで、長い目で見る監督のことを考えると乾・森下・大野と予想。
<MF>
WBは右の隼磨、鈴木の連戦が気になる。まだJ2経験は浅いが去年の北九州を知る吉田を推したい。
左は序列に異変?期待値も含め、山本龍の出場時間が増えてきた。もしかするとスタメンも……?
ボランチはなかなか悩ましい事態に。久保田がガス欠をおこすとまた中盤省略のサッカーになりかねないので途中から出す意味でも中美をボランチ起用したい。
<FW>
阪野はスタートから出れるのではないか。2シャドーは高木・鈴木の元山形トリオ(在籍は被ってない)で先制点を取りに行きたい。
<北九州>
前節は何人か入れ替えていたが元に戻すか勢いのまま続けてくるか……。チームマネジメントもうまい監督ではないため、そのまま元の形に戻しはしないと予想。
■北九州戦の3つのポイント
①整理しなければならないプレス
前節、それほどポゼッションを重視しない町田に回され続けた問題点として前線からのプレスの連動のなさがある。2トップが追ってるのに後ろがついてきてない。そこでプレスが遅れたところに回される→結果的に体力を余計に使うということを繰り返し、中2日と中3日の差は簡単に埋められてしまった。同じことをしていると同じことを繰り返すどころか、もっとやられ続けてしまうため、まず最優先の優先事項といえるだろう。
北九州のビルドアップは「最終ラインにおりる(主に)加藤、その広大なスペースを使う(主に)國分」「サイドバックの高い位置が特徴」。この形で攻めてくるチームはJ2には増えてきたが、とにかくビルドアップのルート・繋ぐパターンを臨機応変に変えてくる。
それに対する対策として……
例えば、山口はイウリとSHで相手の最終ライン3枚を小松が國分を監視してある程度相手のやりたいことを消してきていたが、
途中からはこのパターンなどスライドのずれ、キーパーとの連携も使いながら結局國分を使ったビルドアップを使われるようになってしまう。
山雅を始め、ビルドアップがそれほど得意でないチームは前線からフルにプレスをかけられると蹴ってしまったり、1つ前の選手が下りてきそうなものだが、基本的には後ろの4人+GKは繋げてしまう。その理由はいくつかあるが、一番は國分のポジショニング・動き直しが非常に巧みだからだろう。
そこで今節はこのようなやや下がっての圧縮が望ましい。シャドーの二人に加え、阪野の位置からも國分を意識したポジショニング。CBが上がってくれば阪野が迎撃、高木と鈴木で國分を見る。そして、最終ラインもハイラインとまでは言わないが、とにかく中にスペースを与えないで押し上げ。仮にサイドチェンジをされても逆WBがスライドできるようにする。
実際のシステムは読めないがこれは442でも3421でも変わらずやっていかなければならないだろう。
②押し込みたいサイドの攻防
そして、守るだけではない。北九州を相手につきたいポイントでいえば高い位置をとったSBの裏。ある程度、高い位置を取れると北九州は2CB2ボランチのような形になるので当然サイドは空く。
そこを突く選手は2人のシャドー。どちらがサイドで起点となっても中は阪野+鈴木or阪野+高木彰で十分に強さはある。繋ぐのは大事だが、まずはサイド裏を狙って、WBがそれをフォローし、シンプルに上げる形を作れれば得点のチャンスは十分ある。相手のSBは高い位置を取りづらくなってくるはずなので「押し込むことでSBの上りを自重させる」選択をさせたい。
③最大の付け入るスキは……
以上の2点はやり続けていければ良いのだが、相手のストロングポイントでもあるため、なかなかプレスで取り切るのは難しいし、サイドをやられることもあるだろう。
北九州の弱点と言えば後方の高さ・強さではJ2の中ではやや劣る点か。CBの村松(171cm)、岡村(180cm)、SBの福森、永田(ともに169cm)、ボランチの加藤(178cm)、國分(172cm)と高さがそれほどない。その1点突破で勝てるとは思わないが、阪野や鈴木らにシンプルに当てて起点にするのも戦い方の1つ。
ハイプレスをかけてくる北九州を引き付けるだけ引き付けて圍のロングフィードでも(理想的な攻め方ではないが)有効かもしれない。
「ディレイ圧縮」「縦1発」、提言させてもらっているのは綺麗な形ではないし、俗に言う"弱者の戦い方"かもしれないが、要はチームとして1つの形を共有していくことを改めて大事にしていきたい。それが何よりも最大のポイントに感じる。
■注目選手
注目選手には阪野をあげる。
ここ2試合はチーム全体で無得点。今節…というよりもここからはFWの得点を増やしていかなければ浮上はない。メンバーは流動的でいい形は少ないが、劣勢でも決められるFWがいるチームは当然安定して勝てる。
厳しい状況であることも十分に理解できるが、徐々にサイドプレイヤーの駒は整いつつある。この状況を打破するエースの一発を期待したい。
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以上がプレビューです。
こういう時期だとこれまでには出てこなかったような意見が出てきたり、ガセネタと分かる話題だったりが多く出てきます。しかし、負けてる時こそ1つになって後押しするのが"サポーター"です。
現地にも参戦できないので偉そうなことは言えませんが、誰が出ても絶対勝ってくれることを信じて試合を見守っていきたいと思います。ひとつになろう、Onesou1!
END
(画像は松本山雅・ギラヴァンツ北九州公式、エルゴラTwitter、Sports naviより)
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