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山口戦プレビュー~ロマンVSリアル、苦戦する両チームの明暗は・・・~

メンタルの変化をピッチで体現できるか…?

前節、大きくスタメンを入れ替えて勝利を掴んだ山雅。引き続き中3日の試合で前節の根幹にある戦い方は変わらないor変わってもそう簡単にうまくはいかないかもしれないが、これによっていい雰囲気・メンタルで試合に臨めるはずだ。

メンバーも前節とは大なり小なり変更することが濃厚でチームとしての一体感が試されることになるが、粘り強く戦い、維新の地で今季初の連勝を掴み取りたい。

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今節の相手はレノファ山口。対戦成績は1勝1敗4分と点は取れてもなかなか勝ちきれてない印象だ。順位は最下位に沈んでいることもあり、同じく下位に沈む山雅と不本意ながら6ポイントゲームということになる。どちらもここで勝っておきたいというのが本音のはず……。改めて言うことでもないが気持ちの勝負でも負けてはいけない。

■今年のレノファ山口

霜田体制3年目になる。(途中でマジョールを挟んだが)「殴られても殴り返す」と言わんばかりの上野、霜田体制の攻撃的なスタイルが色濃く、スコアの動きやすいサッカーが定着している。その影響もあってか、この短期間で小野瀬、オナイウ、小池、菊池、三幸、前ら多くの選手をJ1、さらには海外にも排出してきた。

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チームを成長させる戦略は反町山雅の真逆と言っても過言ではないが、まだまだチーム作りの面で監督の影響力が大きい点やサポーターが熱く、ポジティブな点は恐縮ながらどこか山雅と似たような部分も感じる。自分自身毎年山雅との試合以外もチェックすることが多いが、応援したくなるような熱さを感じ、うまくハマればクラブとして大きく飛躍しそうな雰囲気はある。

ただ上位を目指すためには、引き抜きに補強や成長が追いついてないのが少し痛い。霜田監督は理想を貫くタイプの監督で要求は高く、なおかつ後ろの負担が大きいサッカーをするので今年のオフシーズンではようやく育ってきた菊池や山下はもちろん、後ろからゲームを作れる三幸や前を抜かれたのは今の低迷には確実に繋がっている。

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そこに加えて山雅と同様、頼れるベテランの不在、怪我も響いている。クラブの象徴的だった岸田や元日本代表・坪井がチームを離れ、実力者のサンドロや菊地も離脱中。山雅はそこで少しずつ割り切ることを選択したが、山口(というより霜田監督は)驚くほど守備的に入った山形戦を除いてほぼやることは変わらず。ボールは握れているのにその先にうまく運べず、中盤でノッキングする現象を繰り返している印象はある。

山雅に対してもやることはあまり変わらないとは思われるが、こちらとしては相手に合わせすぎず、うまくいなして効率的にゲームを進めていきたい。

・キーマン

中心選手は高宇洋。最近はやや疲労感はあるだろうが、去年ガンバからレンタルで加入すると持ち味のボール奪取力や状況判断能力を発揮。山雅で言うと藤田のような選手のイメージだったが、霜田塾にて「縦」への勝負のパスの意識が格段に向上したように感じる。タフな日程の中でもチーム最多出場を誇るなど監督の信頼も厚い。山雅としてはここのフィルターをうまくかいくぐればチャンスが作れるだろう。

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そして、ルーキー・浮田健誠もスーパー外国人イウリと同じチームトップの4Gをあげ、飛躍を予感させる。185㎝と大柄な選手だが柏レイソルユースらしいしっかりとした足元の技術を持ち合わせていて、ウイングストライカー的な役割を与えられている。左利きでありながら右サイドで多く起用されている点からも巻いてシュートという形を期待されているのだろう。シュートのパターンも多いことからもゴール前で仕事をさせたくない選手である。

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■予想スタメン

フォメ

<松本>

駒は再び揃いつつある。しかし、前や森下の怪我?は気がかり。重くはなさそうだが、今節は回避する可能性はある。CBはまた動かさざるをえないかもしれない。
気になるのはボランチの組み合わせ。序盤戦は藤田が欠かせない存在となっていたが米原・塚川・アウグストも徐々に持ち味を出せるようになってきた。塚川が一歩抜けている感はあるが……指揮官の評価はいかに。
FWは前節出場のなかったジャエルが再び脅威になれるか。フィジカルの強い相手のヘニキ、ヘナンらとのバトルは楽しみ。

<山口>

先ほども書いたが怪我人も多く、選手層も厚いわけではないので連戦に出続けているメンバーも。また、蓮が今節は契約の関係で不在。出てくるメンバーは限られてくる。4213(4231)が多かったが、ここ2試合では「勝負の結果を掴むために」3バックに変更しているが結果が出ているとはいいがたい。一応3バックを予想したが、点を取りたいときには4バックに戻しており、本来の形に戻す可能性も考えられる。

■レノファ戦の3つのポイント

①霜田式ポジショナルプレーの良さを出させない

磐田、徳島ら同様に霜田レノファのサッカーも5レーンを意識したポジショナルプレーが実践されている。

理想

☝霜田流ポジショナルプレーのテーマは「3トップ(まれに2トップ&2SH)に得点を取らせる」こと。そのための配置として2枚のWBもサイドレーンで高い位置を取って、3CBも広めに幅を取ってビルドアップを行い、3トップは中央のレーンで入れ替わりながらゴールを狙うことがほとんど。

理想

山口がうまく行ってる時はHVからサイドにボールが入ると、前線の偽WG、DHの一角と共にひし形を作る。あるいは前線3枚の関係で中央を崩すというプレーが多くみられる☝。WBがWG並みに高い位置を取って5トップ化することもあるので、徳島同様ひし形の頂点にボールが収まるとWBや前線3枚の関係で崩されてしまうことになる。そこに簡単に入れさせないようにできるかがポイントとになる。

さらに前線3枚は強力な個を持っている。性格的にも個で持って行きたがる選手が多いので蓮のような選手が入るほうがうまく回るということもあるが、とにかく個VS個の勝負になる形では持たせたくない。WGは利き足とは逆脚の配置になることも多いのでそこは意識したい。

このひし形での崩しを持ってるのにも関わらず、現在その形に持ち込めるシーンが少ないのは「最終ラインの持ち運びがそれほどスムーズではないこと」や「前3枚の連携があまり取れてないこと」などがあげられる。山雅としては片方のサイドに誘導してしっかりと圧縮して奪い取りたいところ。

②広すぎる距離感とノッキングを狙え

では、チームとしてうまくいってない要因はどこか。山雅側はどこを狙い、ポジトラからのカウンター攻撃を仕掛けるか。

霜田監督の理論は一通り叩きこまれ、選手は実行しようとしているが、要因としてはその理想にパススピードや判断力、もしかすると選手適正がついてきていないことかもしれない。

ポジショナルプレーを実践しようとしている途上のチームにはありがちだが、攻撃に移る配置を取った時に不用意なプレーで奪われるとネガトラ時に非常に穴ができやすい。良い攻撃ができていないことがそのまま守備の乱れにも響いていると言える。

ここからは具体的にチャンスとなりやすいシーン。

・「アンカーの準備が整っていないときのパス」

ロングボールをほとんど使わず、CBもしくはGKから組み立てを行うのがレノファのスタイルだが、選手間の距離が長いこと、地上戦を見越した相手のプレスを上回れないことでうまく回らないシーンが多く見られる。

その中で預けどころになっているのはアンカー役として下りてくるDH。中盤は特に非常に技術のある選手が多いが、前節福岡戦ではここが奪いどころとして狙われていた。DHがミスをしたというよりはその前のパスの時点で意図とずれている、パスが来る前に出しどころがないというほうが正しい。

プレス

ボールは人よりも走るといえど、人が走れる序盤は特にこのようなシーンが何度かは作れるのではないかと予想している。下位に沈んでいるチーム同士ということもあり、当然ながら先制点を取れるとこの試合も大きい。積極的に狙っていきたい。

・「前線のノッキング」

レノファの前線をノッキングさせるというのは"守備の狙いどころ"ではあるが同時に"奪って攻撃を開始する"ポイントとなってくる。

攻撃のうまくいかない時はだいたい3トップが全員マークに付かれ、2WBもWG化してしまって出しどころがない、いわゆるノッキング状態になり、ボールホルダーの中盤の選手が困っている間に囲まれるという現象が起きている☟

奪いどころ

ミドルサードではミシャ式のような前に人数をかけた3トップ+2WGのような形になるため、ここから3トップがいい形で受け、前の連携で分厚い攻撃を仕掛けるというのが理想としてあるのだが、その裏返しとして前でボールが受けられないと後ろは薄く、非常にリスクはある。

ネガトラ時に陣形を戻すのが難しく、カウンターで数的不利になってしまうこともあるのでこの瞬間を見逃したくはない。

③攻撃の狙いどころはDH脇

攻撃同様、守備でも前に人数をかけるのが特徴的。3421時の基本陣形は523、4213時の陣形は4213と442を使い分ける。その狙いは徳島、磐田、もしくは北九州のような「ボール保持」と共に「トラジションの支配」になるがその分、DH脇は空きやすくなっている

(上が山雅の攻撃方向)

守備

それをさせないためにはCFWがしっかりボールホルダーのコースを限定しながら背中のDHへのパスも消さなければならない(専門的に言うならカバーシャドウの動きをする)のだが、これは蓮の得意としているプレー。イウリのような得点王争いできるポテンシャルの選手とポジション争いができるのもここでの貢献は大きいだろう。

今節は恐らくイウリが先発になるので山雅のDHのところは空きやすくなり、そうなるとレノファのDHの守備しなければいけない範囲は広くなる。元々相手の弱点だったDHがさらに空きやすくなるので、こちらのCB~DHのボール回しはポイントになってくるだろう。

全てを地上戦で仕掛けようとすると相手も的を絞りやすくなるのでロングボールも織り交ぜることにはなると思うが、ビルドアップではCBからしっかりとボールを保持し、システマティックに相手の弱点を突いていきたい。

■注目選手

ここ最近注目選手がことごとく試合に出ないので……(笑)
連続にはなるが、前回出番のなかったジャエルをあげたい。

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前節は塚川、アウグスト、阪野、鈴木、前らとともに休ませながら勝利を手にすることができた。今節ではこの選手たちが中心となって結果を残す番だ。特にジャエルはベンチ入りして、出番ももうすぐというところでアクシデントにより出場できなかったのでモチベーション的には高いだろう。オープンな戦いを好む山口は相手としては悪くない、まずは初ゴールをあげてその存在価値を高めていきたい。

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プレビューは以上です。
レノファの理想・弱点にフォーカスして書きましたが、目指すサッカーの志やサポーター熱は非常に高く、ノらせたら怖いチームです。やろうとしていることは面白いので相手の意図に着目して見るのも面白い気がします。

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対して山雅。前節はだいぶ"リアル"を追い求めて結果に結びつけました。布監督自身は少なくとも反町さんよりはだいぶロマン派の監督のはずですが、若いチームということもあり、かなり柔軟にやっている印象です。この試合では山口VS山雅という意味でのロマンVSリアルという意味もありますが、松本山雅というチームの中でのロマンVSリアルもどう変化していくかという意味でも変化は楽しみです。

今季まだ超えられていない連勝の壁。現地にはいけなくてもできることをやって、みんなで乗り越えましょう。Onesou1!

END

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