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福岡戦プレビュー~偉大なキャプテンのためにも……サポも含めて一体感を~

ここを転機にしなければいけない

ついに5連敗まできた。試合後チームはミーティングを行ったそうでサポーターは当然のこと、選手たちもこれまでにない並々ならぬ危機感を抱いているのは間違いないだろう。加えて今日発表されたのは今季のキャプテンで、山雅を象徴する選手・田中隼磨の長期離脱。まさに泣きっ面に蜂といった状態であるが嘆いていても何も変わらない。まずは連敗脱出である。

幸い今節は福岡をホームで迎えられる。選手・監督・スタッフだけではなく、サポーターも一つになって目の前の相手に勝つことに全力を注ぎたい。

■今年のアビスパ福岡

5年に1度のペースで昇格を果たしてきた福岡のいわゆる「5年周期」に当たる今年。監督には水戸から長谷部監督を引き抜き、各ポジションに"大型補強"を行ってきた。

ここまでは4勝3分2敗と昇格ペースには乗っていないものの、手堅くしぶとく勝ち点を積み重ねる。特にその手堅さが顕著に出ているのは「複数得点が1度しかない」こと。得点数は山雅と1つしか変わらない10ながら勝ち点で上回っているのは「守備の安定感」と「勝負強さ」といえるだろう。(ただし、最近は大量離脱のせいかやや安定感には欠ける)

サッカーのスタイル的にはオーソドックスな442でFWが縦関係気味になるのが特徴。全員が攻撃・守備ともにアグレッシブに行っており、トラジション・ネガトラとも意識が高い。複数で囲んでボールを奪い(プレスのかけ方は相手によって何通りかある)、時にはロングボールも織り交ぜながら幅・深さを作るショート/ロングカウンターがメインのパターン。そういった意味では序盤の山雅の442にスタイル的には近いか。ただし、ゲームメイクに長けた鈴木が起用されだしてからは最終ラインまで鈴木が下りて輪湖やサロモンソンらSBを押し出すような形も増えてきている。

また、どこのチームにも言えることだが……徐々に離脱していた選手が戻ってきた山雅とは対照的に他チームの主力にもケガ人が増えてきた。福岡も最近では重量FWファンマやMF前、重廣、石津ら複数の主力選手が離脱している模様。そのため若手の起用も目立つ。そして、序盤はファンマ・遠野の関係でシュートまで持ち込むことも多かったが、ファンマ不在のここ数試合は特にサイドを起点にしたり、セットプレーやパワープレーで点をもぎ取ったりという違ったバリエーションでの攻撃が増えている。

・キーマン

攻撃でチームを牽引する遠野が脅威。シュートパターンも多いが、とにかくゴールへの意識が強い。ちょっと強引じゃないかと思うところも打ってきたりする。ただゴール前ではやはりそういうタイプのストライカーは怖い。リフレクションもあるのでコースを消しきることは徹底したい。

守備では185cmの高身長イケメン(?)上島の評価が急上昇中。9節以外は全てスタメンとして出場中だが、「ウノゼロ」が得意なチームで守備の要・セットプレーのターゲットとして活躍。その体つき・チームとしての立ち位置は飯田真のよう。高さで真っ向勝負するよりも彼を困らせるような攻撃に持ち込むのがベターだろう。

■予想スタメン

フォメ

(サブ)村山・常田・吉田・久保田・鈴木・イズマ・阪野

<松本>

3バック、4バックどちらかはそれほど重要ではない段階に入りつつあるが、セルジを中心にする基本系に立ち返るなら4バックに戻すのも一つの手。

メッセージ性の強いスタメンになってしまい恐縮だが、もしもミラーゲームを選択するなら目の前の相手に絶対に負けないという意識が重要となる。

<GK>

3失点をうけて村山の奮起に期待するという考え方と替え時と見て圍にする考え方がある。セットプレーが狙われていることも加味すると個人的には後者。

<DF>
左から高橋・森下・橋内・前。橋内は時間限定になるかもしれないがとにかくCBの負の連鎖を断つことを優先。単純な高さ勝負よりもマークを外されてフリーで打たれることの多いセットプレーはDF陣のところでは絶対にやられてはならない。

<MF>
杉本も使われるとしたら時間限定起用になるか。中2日ということも考えて右はアウグストに。ボランチも非常にチョイスが難しいが復帰の塚川を軸にして相方には藤田を選んだ。

<FW>
セルジはいつも通りフリーマン的な立ち位置置くとしてCFWが本当に悩ましい。榎本・高木彰・アウグスト・中美・服部……一長一短だがバランスや連携面を考えて自分なら中美をチョイスする。

<福岡>

中2日の長距離アウェイ。ほぼ確実に出てきそうなのは守護神セランテス、CBドウグラス・上島、手薄なボランチの鈴木惇、前節温存のサロモンソン・遠野あたりか。最近当たっているキング・城後、(離脱組が戻ってこなければ)手薄なままのボランチの起用は注目したい点。

■福岡戦の3つのポイント

①何を捨て何を残すのか。自分たちの得意な戦い方は何か。

緊急事態になっている。ここで何とか持ち堪えることが出来るかどうかで今季どころか向こう数年を左右することになっても不思議ではない……。まずなにより相手よりも自分たちがどれだけ戦えるかにかかっている。

そうはいっても中2日でできることは少ない。いくら危機感を高めても連戦中の疲労ダメージが消えるわけでもないし、チーム力が急激に上がることは無い(あるとしたら離脱選手の復帰前倒しくらい)。

何ができるかと言えばまずは選手・監督・スタッフ、そしてサポーターが1つになること。当たり前のようだがこのハードルがとにかく高い。ここがバラバラだと仮に勝てたとしてもチームは変わっていかない。
そして、個人的に大切だと思うのは「何を捨て、何を残すか」の選択だと思う。

それは例えば「残りの試合を考えずここにベストメンバーをぶつけるのか、質を捨ててでもフレッシュな選手を起用するのか」「3バックによる展開は残すのか、4バックに戻すのか」「相手に合わせた柔軟なサッカーをするのか、自分たちの元のシステムに戻すのか」などなど……。

惨敗したからといって全てを捨てるのは悪手である。ただ、福岡戦に全てをかけるなら捨てないといけない部分も間違いなくある。

そこの擦り合わせがチームでどれだけで来ているか……。
どれが正解かは蓋を開けて見なければ分からないが、僕の場合は相手に対しての戦術的合理性を捨てて、まずはセルジ中心の「基本形」に戻した。

もちろん意見はそれぞれあるだろう。分析よりもチームの肌感でシステムは決める可能性が高いが大事なのは「チームでそれを統一すること・サポは結果が出るまでそれを信じること」になってくる。

②お互い総力戦。終盤まで僅差で争う覚悟も。

2つ目。ここ最近満足に得点を取れていない山雅だが、福岡も複数得点は一度のみ。その一度も終盤のパワープレーでもぎ取った点であることからも分かるようにそもそも得点を取り合うようなサッカーはしていない。

山雅が大崩れしない限りはほとんどの時間、同点もしくは1点差で進んでいくというのが濃厚になってくるだろう。となれば5人交代のレギュレーションを考えても後半の途中投入メンバーが"高い試合の強度"、"チーム力"を保てるかは大きなポイントとなってくる。

福岡はその点山雅よりやや分がある。
ここ最近負傷者が続出している中で192cmの大型DF三國ケネディエブスをFWで途中投入する、言うなれば"三國大作戦"によって3試合1ゴール1アシストの結果を残している。短時間の出場時間を考えれば完全にこの采配は当たっており、山雅が前節のように自由にやらせてしまえば終盤で悪夢を見ることになるだろう。

対して山雅は……ここ数試合特に途中交代がなかなか当たっていない。改善点は色々あるが一番の問題は服部にしろ、イズマにしろ、個人に依存していて負担が大きすぎている点か。

服部を生かすならばセカンドは周りが拾ってサポートするか、ゴール前まで他の選手が運ぶかをしなければいけないし、イズマを生かすなら構えている相手の密集に突っ込ませて独力でゴールまで繋げようとするのではなく、ドリブルが効いて来るようなポジション取り・お膳立ての仕方を考えていかねばならない。

個人の力やイメージに頼るのではなく、終盤のメンバー全員がいかにイメージを共有できるか。個々の質・量だけでなく、チーム力が試される。

③突いていきたい2つのDHエラー

さて、ここまではチーム状況を踏まえて自分たちメインの「戦い方」「チームに必要なこと」の提案になってしまったが、3つ目は相手の戦術も踏まえた狙いたい攻撃について。(「自分たちの得意な戦い方で」というポイントに矛盾しているようだが、相手がいる以上最低限「狙い」は共有すべき)

良いバランスを保ってここまでのリーグ戦を戦ってきた福岡が最近崩れつつある要因として中盤の選手の大量離脱があげられる。それは疲労の蓄積の問題もあるが、ここまで起きていなかった2つの大きなエラーが発生しだしている点だと考える。

一つは鈴木惇が左CBに下りてきた際のビルドアップの迷い。

福岡ビルドアップ

鈴木が下りてくるまではよいのだが、そこから中でボールを受けて捌くことができずにピンチを招くシーンが少なくない。この鈴木惇システムを取る際はWBをより高い位置に取らせているので奪われると両WBは戻るのが遅れてしまう。さらに鈴木は対人が強いタイプではないのでスペースがある中でショートカウンターを仕掛けられるとなかなか潰し切れないというのも構造的な弱点としてある。

最終ラインからはほとんどが鈴木惇がスイッチ役になるので守備側もそこをスイッチに出どころを潰していけばショートカウンター→数的有利を作りやすくなるだろう。

また奪えなくても中盤のコースが消されると一度は高い位置を取ったWBが下りてくるシーンが見られるので、鈴木惇から中に誘導して中盤で囲みこむのは狙いとして持ちたい。

さらにもう一つ、ここまではそれほどなかったエラーとしてあげたいのはCB-DH間の守備でのギャップ。

例えばクロスのシーンなどでサイドを突破された際にはDFは当然ゴール前を埋めるのだがそれに連動してDHがそのスペースを埋めきれておらず、マイナスに入れられると対応する人がいなかったり、CBが弾いたこぼれ球を押し込まれたりするシーンが増えている。

福岡弱点

元々CB2枚は空中戦が強いこともあるので、(例のように)"CFを囮にしておいてのマイナスのクロス"や"FWの位置から下りてくるセルジにボールを当てる"となぜか余裕を持ってプレーできるという現象は起きやすい。

とにかくDH間ではやや"エラー"が起きやすい状況になっている。

■注目選手

442システムではほとんどの攻撃の起点となり、間受けの技術ではJ2トップクラスのセルジに期待したい。なかなか中盤のフィルターがかからない福岡のチーム状況も相まってDH-CB間が得意ゾーンのセルジを捕まえられないシーンは出てくるだろう。まずはチームとして勇気をもってそこを通せるか、そこからのシュート・ラストパスが決まるかどうか……そのパフォーマンスは試合を大きく左右する。

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プレビューは以上です。

勝手に戦術分析しておいて無責任なようですが、今節に関しては相手がどうこう以上に戦術を超える"一体感"や"熱量"を出せるかどうかがほとんどだと思っています。

キャプテン・田中隼の長期離脱という大変ショッキングなニュースも流れてきましたが、ここで下を向いてしまっていても余計に責任感の強い隼磨を苦しめるだけであり、チームができることは「勝利を届けること」、サポーターにできることは「その後押しをすること」でしょう。

偉大なキャプテンが怪我したからというわけではないですが、こういう時こそチームで一丸となって隼磨の分まで闘志をむき出しにして闘いましょう。まだまだ僕らは挑戦者。今こそ一つになろう Onesou1!

END

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