VCと面談する前にスタートアップが知るべき6つのこと
VCとの最初の面談はスタートアップにとって緊張するイベントかもしれません。面談を有意義なものにするためには相手が求めている情報や、事前に把握しておくべきことを準備することが重要です。
そこでHAXの運営母体であるSOSV InvestmentsでHAX Tokyoを担当するミキ・ワタナベに、スタートアップがVCとの面談前に準備しておきたいことについて聞きました。
自分の製品について知る
スタートアップは自分たちが作ろうとしている製品やサービスについて、誰よりも理解している必要があります。そして、技術に疎い人や業界外の人でも理解できるよう説明するよう準備しておきましょう。これは簡単そうに見えて、実は難しいことです。
テック系のスタートアップは技術面に目が行きがちですが、既存の製品との比較や市場に提供できる価値を簡潔に説明できるよう準備しておくことをおすすめします。VCとの面談では技術面だけでなく市場やビジネスなどの面から説明する必要があります。
そのためにも自身の製品を多面的に知るようにしましょう。
市場を知る
VCをはじめとする投資家を説得するには、市場に対する理解が不可欠です。
具体的には以下のような質問に対して回答できるよう準備しましょう。
・狙う市場はどこか
・その市場のペインポイント(課題)とソリューションを提供することの市場価値
・最初の顧客は市場のどこにいるか
・顧客へリーチする手段は何か
スタートアップは技術に詳しいだけでなく市場に対する理解があってこそ、初めて投資家の信頼を得られます。なぜならば、VCは将来の可能性に期待して投資します。その可能性を示さないことには判断ができません。
数字を知る
製品と市場に対する理解を下支えする情報として、自分たちのビジネスにまつわる数字を把握することも重要です。
製品に関する数字で言えば原価や想定販売価格、既存の競合製品の価格が考えられます。また、すでに一定の顧客がいる場合には既存の売上高や発注数、問い合わせから売上までのパイプラインの数値などが該当します。
また計画上の数字も求められます。ここで重要なのは数字の正確性よりも方向性と想定するスピード感です。3年後の市場価値は2倍か、10倍か。5年後に狙う市場シェアはどの程度かといったように時間と成長度合いの2つの軸が伝われば問題ありません。
自分達の現状と市場に関する数字と、将来の成長速度と伸びしろを示す数字が話せるようにしておきましょう。
資金調達の目的を知る
次のステージに向けて必要なリソースを金額換算して、投資家から理解を得ることが資金調達の本質です。「使い道は決まっていないが、資金が欲しい」というロジックでは資金調達はできません。
具体的には今回のラウンドで必要な資金と使用用途、そして売り出す自社株の割合は資料として用意するようにしましょう。例えば5000万円を調達し50%は社員採用に、残り50%はMVPの開発費用に充てるといったようなシナリオが必要です。
オーディエンスを知る
ここで言うオーディエンスとは、スタートアップがピッチや面談する相手である投資家を指します。相手に合わせた話ができれば、資金調達の確度が上がるだけでなく、自分達にとってベストな調達先か判断する材料を集めることもできます。
訪問先のVCが過去に投資したスタートアップや業界、ステージを調べることは当然のこととして、当日会うキャピタリストの経歴や過去の投資先はウェブサイトやメディア、SNSを通じて把握しておきたいところです。
また、訪問先がCVCであれば本体である企業とのコラボレーション案をいくつか用意しておいたり、政府系ファンドであれば社会に与えるインパクトを中心に話をまとめるといった作戦を練っておくことも重要です。VCにも投資先がソフトウェアメインかハードウェアメインかで話す切り口も変わります。
VCがスタートアップを選ぶと同時に、VCもスタートアップから選ばれる時代です。双方にとって良い関係になるよう、調達以外で得られるシナジー効果やメリットについてスタートアップから質問するのも良いでしょう。
自分の野望を知る
そもそもどういう目的で起業したのか。目指すのは次世代のビッグテック企業、あるいはテスラのような存在なのか。それとも別の企業か。ゴールはIPOなのかM&Aなのか、事業売却なのかといった創業から将来までの計画を話せるようにしましょう。
こうしたストーリーを面談時に話すことで、VCから具体的なフィードバックを受けたり、最適なVCの紹介を受けたりすることもあります。VCとスタートアップとの結びつきは結婚に似ています。結ばれる前にお互いのことをよく知り、お互いがどうありたいかを話し合うことで、その後の不一致も避けられるのです。
HAX Tokyoとは
HAX TokyoはSOSV、SCSK、住友商事の共同運営による、ハードウェアに特化したアクセラレータープログラムです。
採用されたチームには、米国シリコンバレー発、世界的に実績のあるハードウェアアクセラレーター「HAX」にて蓄積された知識やノウハウが提供されます。また、ハードウェアに特化したコミュニティが提供され、ビジネスおよび製品開発の分野で世界をリードする専門家や、住友商事をはじめとする日本のパートナー企業とのコラボレーションの機会が得られます。
さらに、3ヶ月後のDemo Day後には、HAX Shenzhen(中国)、HAX San Francisco(米国)に参加し、ベンチャーキャピタル等から資金を得て事業を拡大できる可能性があります。
詳しくはウェブサイトをご覧ください。
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