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きょうだい児だったからこそ今も…

著者:六甲茂子(ロコモコ)

今日はまたまたお仕事ブログから少し脱線してしまいました。重くてすみません。

最近知ったこの言葉

妹が死去してから3ヵ月が経ちますが、未だ自分の中ではうまく消化できておらず、妹の事を思わない日はありません。

気持ちを切り替える為に、色々とリサーチしていたところ、以下のような言葉を見つけました。

【Wikipedia より】きょうだい児(きょうだいじ)とは、病気や障がいを抱える兄弟姉妹を持つ子どものことをいう。「児」とあるが、成人の場合でも同様の問題が成立しうるため、本記事では児童の場合と成人の場合とをまとめて扱う。

私の妹には心身、精神に重い障害がありました。たった一人の姉である私は、「きょうだい児」だったわけです。が、つい最近までこの言葉を全く知りませんでした。

割と新しいコンセプトなのでしょう。たぶん、この言葉が使われ出した20年位前には、すでにハワイに来ていた為、今まで知りそびれていたのだと思います。

きょうだい児の特徴

きょうだい児について書かれた論文や記事、当事者たちによるブログは山程あり、その幾つかに目を通して見ましたが、そのほぼ全てが言及しているのが、きょうだい児の「生きづらさ」。

ふむふむ、確かに生きづらい部分はあったかと思われます。他のきょうだい児の方々と同様、私も母親との絆の薄さや、なぜだか沸き起こる罪悪感、自分が冷たいのではないかと言う日常的な問い、逃避願望、物理的な困難などはひととおり経験してきました。

そして、それらと折り合いをつける為、常に演技を続けてきました。演技する対象は優等生だったり、道化者だったり、捻くれ者だったり。

その底には「妹をバカにしたり、傷付ける事は断じて許さん!」と言う姉としての思いと、「たまには母の注意を惹きたい、褒められたい、可愛がられたい」と言う娘としての思いが両方横たわっていたわけですが、そのどちらもあまりうまく作用する事はなかったかと思われます。

私がどのように接しても、母は妹を胸に抱いて私に背を向けてしゃがみ込んでしまうだけでしたので、中学生ぐらいからは「手のかからない子」一択で演じ続け、それがそのうちに私の本質になってしまいました。

ハワイでやっと本来の自分に

そんなこんなで、決して母親から疎まれていたわけではないとは思うのですが、今の言葉で言うと「生きづらさ」に拍車がかかり、さらに破談になったりして何かと詰んでいた私を、快く海外に送り出してくれた父には感謝しています。

ハワイで一旦妹の事は遠くに置いて、好きな勉強、そして卒業後は仕事に集中する事で、将来へのビジョンもはっきりとしてきました。そしてやはり、妹が好きだと言う気持ちを再確認する事も出来ました。

また、ハワイで夫とその家族と出会えた事も、何よりの僥倖でした。どうせ断られるだろうから深入りする前に…と、夫には会って直ぐに妹の事を打ち明けたのですが、別にそれで逃げ腰になるなどと言う事はなく、むしろ積極的に妹との将来を考えてくれました。

結婚式に家族を呼んだ時、妹は何度もトイレに行くなど奇行を繰り返したのですが、こちらの家族の皆が心から妹を可愛いがってくれ、楽しく輪に入れてくれたので、心の底からホッとしたのを覚えています。

夫は日本語の勉強を始め、ゆくゆくは日本で妹と過ごす事をよく話すようになりました。

きょうだい児でよかった

でも、思ったよりもずっと早く、妹は死んでしまいました。

私にとっては、大きな悩みの一つが去ったことになり、これからはようやく自分の人生を送れる筈なのですが、でも、そのように気持ちを切り替える事は容易ではありません。

なので、このやるせないモヤモヤを(歌詞か!)、誰かに告げるべくもなく、ここにこうして書き綴ったりしているわけですが。

思うに、きょうだい児はいつまで経ってもきょうだい児で、たとえきょうだいが死んでもきょうだい児なわけですよ。少なくとも私は。そして、これはきょうだい児としての宿命でもあり恵みでもある、と。

きっとずっと心の中の多くの部分を占め続けるであろうこの感情は、私の一部であり、だからこそそれなしで歩む事はできず、明日への原動力でもあり続けるわけで。

そう考えると、つくづくきょうだい児で良かったと思います。

もはやきょうだいは居なくなった訳ですが、長いきょうだい児時代に培った事、かんがえた事、そして、たくさんのかけがえのない思い出は、私の吹けば飛ぶような人生を、少しばかり味わい深いものにしてくれたのではないかと思うからです。

そして今日のNoteのように、少しずつアウトプットする事で、色々と中和させていけるのではないかと思っているのです。

ところで、夫の日本語ですが、もはや急務ではなくなったにも関わらず、相変わらずまじめに続けています。日本に旅行して、日本語を駆使して自由自在に動きたいそうで (特にデパ地下)、笑。

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