見出し画像

「添削マウントされた」がトラウマだった僕が、動画添削を始めたら一気に気が楽になった話(実践用資料付きだよ)

どうも、初芝です。東京フリーランスというメディアの編集長をしています。

メディアの編集をしている方なら誰もがあれに悩まされますよね。
そう、添削です。
細かく説明しないと伝わらないし、細かすぎると時間がかかりすぎるし…。しかもあまりキツくするとライターさんが離れていってしまいます。

そんな添削に悩む編集者さんにぜひ試して欲しい手法が、動画添削です。
最近これを実践してみているのですが、僕にはバッチリハマっています

この記事では、なぜ僕が動画添削をするようになったのか(≒なぜテキストによる添削に限界を感じていたのか)を説明したうえで、実践してみた感想、実践のコツを解説しています。

僕の抱えていた悩みに共感する編集者さんも多いと思いますので、ぜひご一読ください!

動画添削って?

動画添削とは、「入稿された記事を見ながらコメントする様子を録画し、それを執筆者さんに渡す」というフィードバック手法です。

文章を読みながら
「ここいいですね!」
「ここはこういう表現にして欲しいです!」
みたいに喋っていくわけです。

これまでテキストベースでやり取りしていたものを動画でやろうという、ただそれだけの話ですね。

何故テキストではなく動画にしたのか?

これには三つ理由があります。

①動画の方がたくさんの情報をコスパ良く伝えられる

文章を文章で添削するのってめっちゃ大変です。
紙の編集者は校正記号を生み出すことで添削を効率化してきました。「トル」「モレ」とか見たことがある人も多いと思います。
また、WebでもGoogleドキュメントの校正機能はとても充実しているので、スムーズにコメントや提案を行えます。
文章の校正をするだけなら既存のやり方でも問題なく行えるでしょう。

でも、Webでのライターさんとのコミュニケーションって情報量が多いんですよね。「ここをこうしてください。何故なら~」と説明したり、「それほど大きな問題ではないのですが~」みたいにクッション言葉を入れたりする必要があるので。機械的に赤入れだけをするというのとはわけが違います。

ただそのコミュニケーションを全部言語化するのは非常に骨です。一か所の指摘を書くのに数分使うので、記事一本の添削をするのに数十分はざらにかかります。

そうなると「まぁこれくらいならいいか」という線引きがどうしても甘くなってしまうんですよね。あとは「自分で直した方が速いや」ってなるとか。
けどそれって長期的に見たらクオリティは下がるしライターさんは育たないわでいいとこなしです。

僕は細かく説明したがりなので、コメントに時間がかかることに頭を悩まされてきました。
でも動画フィードバックを始めてみたら、一気にこの問題が解消されました。記事を見ながら思ったことをどんどん喋っていけばいいから、サクサク添削を進められます。「もっと早くやっておけばよかったー」って心から思いましたね(笑)
体感的には倍の情報量を半分の時間で伝えられるようになりました。四倍効率が良くなったわけです(あくまで体感です!)。

②細かいニュアンスを伝えられる

渡せる情報量が増えたこととも重なるのですが、文章だと伝えづらい細かいニュアンスも、動画なら簡単に伝えられます。

文章を書くこととは、無数に存在しうる表現の中から「これだ!」という言葉たちを選び取る作業です。
けれど、一つの表現で自分の考えを正確に伝えることは困難を極めます。上手い言葉が見つかればいいものの、あーでもないこーでもないと悩み始めるとあっというまに時が過ぎていきます。この経験は人に教える立場を経験したことがある人なら誰しも覚えがあるのではないでしょうか。

僕が昔読んだ本で、「何かを理解するということは、そのことを複数の表現で言い換えられることだ」というフレーズがありました。思考や事象、概念は必ずしも一つの文章と一対一で対応するものではありません。無数の言葉を尽くしてはじめて認識を共有できるということはよくあります。
にもかかわらず、シンプルな文章で指摘しなければならない。ここにテキストでのフィードバックの難しさがありました。

動画での添削が楽なのは、色んな表現を次々と提示できるところにあります。
「なんていうか、○○みたいというか……こう言えば伝わるかな……」みたいに自分の思考をそのまま垂れ流して話せます。文章というハッキリとした形を与えられる前の、ぼんやりと頭に浮かんでいる新鮮なイメージを渡せるのです。
これが細かいニュアンスを伝えるのにとても役立ちます。

③冷たい印象を与えない

個人的にはこれが一番大きいかもしれません(笑)
テキストコミュニケーションだと、どうしても冷たい印象になってしまいがちです。絵文字や感嘆符でデコレーションするのも一つの手ですが、全ての文章をデコってたらいくら時間があっても足りません。

僕は昔、丁寧にコメントをしたつもりの相手から「添削マウントをくらった!」と激怒された苦い思い出があります。

これに対して「それで怒るなんて信じられない…」「むしろお金を払ってでも添削を受けたいくらい」といった温かいお言葉をもらったのですが、僕個人としては結構気にしていました。自分のコミュニケーションの方法にも改善の余地はあるなと。

文章への指摘は人を傷つけやすいものです。表現にダメ出しされるのは自分自身を否定されているように感じるし、論理の穴を追及されるのは「お前は馬鹿だ」と言われていると錯覚しやすいので。ともすれば主張を人格と同一視する人さえいます。「文章への指摘を気にするのはプロでない」と一蹴するのは簡単ですが、この人間心理は事実として認識しておくべきだと僕は考えています。

良くも悪くも僕は理を詰めて喋る癖が強いです。学生時代は弁論部で日夜議論を戦わせる毎日を送り、社会に出てはコンサル色の強い部署に配属されていたことがその背景にあります。

でも突き詰めた論理による指摘は一歩間違えればハラスメントです。ロジカル・ハラスメント。すなわちロジハラです。相手の論理にメスを入れることは、「お前は論理的でない」と突き付けることに繋がります。理を徹すれば徹するほど、「論破された」という印象が強くなってしまうのです。

正確に意図を伝えるには、論理を積み重ねて説明しなければならない。
しかし長々と文章で説明していくと相手を委縮させてしまう。
このジレンマにはずっと悩まされてきました。

けれど動画によるフィードバックはこの悩みも晴らしてくれました。
音声なら声のトーン一つで印象をガラッと変えられるんですよね。文章で書くと「冷たく詰められてる」と思われかねないことも、喋りだと「丁寧に説明してくれている」という印象になります。
また、文章のようにきっちりしておらず、ラフに話しているからこそ、「対話感」が出て人間味が出てくるように感じています。

一方的な「指摘」から、同じ目線での「対話」へと印象を変えやすいのは動画の最大の強みです。

実際にやってみてどうだったか?

動画添削をやってみた所感ですが、とても手ごたえを感じています!
より多くの情報を速く伝えられるようになった、冷たくなりがちという悩みも解消された、というのは先述した通りです。

しかしそんな僕の主観より、ライターさんからの前向きな感想が何よりも「やってよかった」と思わせてくれています。

素直にめっちゃ嬉しいですね!

僕みたいにフィードバックの情報量が多くなりがちorロジハラにならないか心配な人は、動画フィードバックを試してみるといいかもしれません!

実践用資料(チートシート)のシェア

「興味持ったけど実際にどうやればいいの?」
という方に向けて、僕がフィードバックする際に注意している点をまとめたチートシートをシェアします。


興味持った方はぜひ実践してみてください!そして実践して得た知見をシェアしてください!

DMやリプなどでコメントをもらえたら紹介します!
一緒にライター業界を盛り上げていきましょう!

・初芝のTwitter

https://twitter.com/hatushiba_ken

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?