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No.1《気になる!keyword》情報銀行とはいったい何なのか?

人材ビジネスに身を置くこと18年のキャリアを持つ筆者が、これまでの経験から今後、人材ビジネスに影響をもたらすであろうキーワードから書籍やWebサイトの情報を自分なりにまとめています。今回のキーワードは「情報銀行」です。

今回読んだ本

情報銀行に関する書籍は私の知る限り今のところ、この2冊のみです。

情報銀行とは何か?

日本生まれの個人情報預託の仕組みで、個人情報は企業が持つのではなく、個人が所有し、個人の判断で情報提供することを選択するための仕組みであると書かれています。「データは21世紀の石油」といわれるように、私たちの様々なデータが今後大きな価値を持つため、それを個人や企業、社会がどのように管理し利活用するかという大きな構想で、産官学がこの構想に参加し実現に向け取り組んでいます。

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なぜ私が情報銀行に注目しているのか?

人材ビジネスでは多くの個人情報を取り扱うため、常日頃からこの類の情報にアンテナが立っているのですが、特にここ最近以下のような問題や課題があることを認識しているからです。

1.リクナビの「内定辞退率」販売問題

個人情報が本人の同意を得ずに利用されていた問題が発生したことにより、個人情報は一体誰のもの?あるべき管理方法とは?という課題を解決する必要があります。

2.サイトやツールが多くて管理できない問題

HR-Techと認知されているように、HR領域にも多くのテクノロジーを活用したサービスが増えています。リクナビやマイナビなど代表的な就職サイト以外にも、ダイレクトリクルーティングと呼ばれるようなスカウト型の求人サイトが増えたり、どれか1つだけ利用した就職採用活動ではなく、いくつもの求人サイトに登録するのが当たり前になっているため、求職者はアカウント情報を管理するのに大変な煩わしさを感じています。

3.HR領域でDX(デジタルトランスフォーメーション)が進まない問題

個人的にHR領域でDXが進まない原因の1つは、個人情報が起因していると思っています。求人サイトそれぞれに個人情報入力フォームがあり、入力項目のデータ型などばらばらで、データとして扱いづらい構造になっていたり、私たちが日常使っているSNSに実装されているようなOauth認証がなく1つ1つ個人情報の登録をしなければならないなど、ユーザーはとても不便でストレスを感じています。

本を読んでどうだったか?

人材ビジネスに長いこと携わって感じる多くの課題を解決できる可能性を感じる構想だと思います。しかし浸透させるためには、ビジネスモデル、セキュリティに関する課題など多く、あと5年~10年はかかりそうな印象を受けました。また、情報銀行の構想に政府が関与していることから、政治的な意図に巻き込まれ、あるべき姿を見失ってしまうのではないかという懸念も抱きました。

そして、私が読んで感じた一番の壁は、既存のデータを保有する企業がこの構想にスムーズに移行できるか?という点が大きな障壁となりそうです。

情報銀行・PDS(パーソナルデータストア)が早期に確立され、マーケットに浸透していくことを強く望みたいですね。私は人材ビジネスの視点からこの情報銀行の仕組みがどのようにHR領域に影響を与え、どのような未来があるのかをイメージし、この時代の流れを読みながら、DX推進するビジネスを立ち上げていきたいと思います。


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