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自閉傾向を持つ子供の不安・恐怖への向き合い方

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自閉症の理解と支援 2

自閉傾向を持つ子供の不安・恐怖への向き合い方


子供たちは不安や恐怖の中に生きている

自閉症の特性、傾向をもつ子供は、常に不安や恐怖にさらされていると考えられています。

前回のコラムで、自閉症の子供は細かな差異によく気づくことから、同一性・連続性を重要視しているために、物事のスケジュールを変えたがらなかったり、物の置き場所を変えたがらなかったり、新しいことに挑戦しようとしない、というお話をしました。

つまり、変化や予測の立たない新しいことはすべて、不安や恐怖の対象であるということです。

”安心”の外側に”不安”、”不安”の外側に”恐怖”

子供にとって、絶対的な安心の存在は母親です。
その周りにのみ、安心が存在します。

母親から少し離れると不安が生じます。しかし多少の不安は楽しむこともできます。
挑戦、です。

道路で大人は歩かないような凸凹したところ、線のひかれているところ、段差、水たまりなど、好奇心旺盛なお子さんにとっては、その不安を乗り越えることで得られる達成感を楽しみながら、少しずつ安心の世界を広げていきます。

しかし不安は大きすぎると、恐怖の感情を産みます。
恐怖は体を前には進めてくれません。むしろ逃げたり、攻撃をしたり、思わしくない行動を惹起します。

自閉特性を持つお子さんは、安心から広がる不安の世界が大きく、またその不安は乗り越えようと挑戦する気力も怒らないほど強大な恐怖の世界であるということが言えます。

不安・恐怖を取り除くためのこだわり行動

自分が、安心だと感じられること以外は、すべてが不安や恐怖の対象です。
また、こまかな差異に気づくことができるという特性も相まって、今自分の見ている世界が本当に同じなのか、連続して続いているものなのかということに確信が持てません。

だからこそ、
ものの位置は変えない。スケジュールを変えない。
 →変えると同じではなくなり、安心・安全な世界かどうかがわからなくなるから。
安心できる行動、あそびをやめない。
 →安心できる遊びをやめてしまうと次は不安や恐怖の世界が押し寄せてくるかもしれないから。
新しい場所には行かない、新しい遊びをはじめない。
 →それが安心できるものかどうかわからない。

というこだわり行動が出るのだと考えられます。

常同行動もその一つ。
頭を振ったり手をひらひらさせたりする行動は、自分の世界に没入できる動きをすることで、不安の世界に注意を向けなくて済むから、なのかもしれません。

こだわり行動は、一見すると不自然で、修正が必要と思われますが、本人たちにとっては、安心できるための唯一の手段だということは忘れてはいけません。

安心と思える世界を作り出す支援

かといって、こだわり行動をずっとさせておく、というのもその子のためになるかと言われると、NOです。

自分にとって、完全に安心安全の世界というものは、本当に限られます。
社会の中で生活をしていく上では、不安の前に立ち、自ら道を開いていく必要があります。

だからこそ、療育を提供する側としては、そのこだわりを不安・恐怖からくるものだと理解したうえで、少しずつ本人が安心と思える世界を、本人の中に作り出していく必要があると思います。

こだわりを解いていく、エクスポージャー法(暴露療法)

不安や恐怖に立ち向かっていくには、逃げていてはいつまでたっても解決しません。

少し酷ですが、不安や恐怖には、真正面から相対するしかありません。
やりたくない、いやだ、怖い、ということを、あえて経験させるのです。

本人の尊厳を尊重して、やりたくないことはさせない、という方針をお持ちの方もいらっしゃるとは思います。
一つの考え方として、尊重いたしますが、わたしはそれが最善の方法かと言われると、違う見解を持っています。

その子の将来を考えると、安心の幅を自ら広げていくために、必ず不安や恐怖には自分で、立ち向かっていかなくてはなりません。

わたしたちが支援できる範囲、守れる範囲だけ守っていては、その子のためにはなりません。

たとえば、いつものスケジュールと違うから、○○はやりたくないというお子さんに対しては、「今日は○○をします。そう決まっています。」と言っていつも通り過ごさせます。

そこで癇癪が起きてしまったり、逃げてしまったりする場合もありますが、支援者側がそれを「やる」ときめたなら必ず最後まで、少しでも出来たで終わらせるようにしなければなりません。

でなければ、やらなければいけないことに対して恐怖や不安が勝利してしまったことになり、さらにそのスケジュール変更に対しての不安や恐怖が強化されてしまいます。

大事なのは、支援者が”ぶれない”こと。
これがとても重要ですが、難しいことです。。。

やり始めるまでは激しく抵抗をしますが、やってみればなんてことはなかった。むしろ苦手なことを頑張ったことで、たくさん、たくさん褒められる経験をすると、徐々に安心の世界は広がっていきます。


今日の内容はここまでです。

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