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ラクロス部が就活に強い理由 ・・・令和ver.の体育会論

スポーツ経験はビジネス界で武器になる。それは日本企業が体力根性なブラック組織だからでは な く て 世界のどこでも同じ。ただし、ビジネス環境が変われば、その理想形も変わってゆく

2020年2月に書いた「個人種目アスリート、ビジネス界での弱みと強み」では、個人かチームか、の視点から説明した。

・チーム競技出身: 競技-就活-20代-30代とストレートに有利
・個人競技出身:  入社後にチーム競技に転向する感じ

なぜならビジネスとは状況が刻々と変化してゆくチーム競技だから。そしてチーム競技とは「近代ビジネスマン育成シミュレーションゲーム」のようなものだから。

ビジネス向きスポーツの例に「伝統のラグビー、新興ラクロス」を挙げた。その後に入った話がインパクト大。就活人気の最高峰、5大総合商社での採用で、ラクロス人気が急上昇中 ↓

名門体育会の強みの1つはOB/OG人脈だけど、新興のラクロスにそんな人脈は存在しない。「就活力」を純粋に高められる活動であるといえるだろう。

そこでこのnoteでは、ラクロス出身の強みを分析することで、

他の競技(やスポーツ以外の活動)で、どうすれば、
ラクロス部的なメリットをパクれるか?

を考えてみよう。(高校生に「大学でラクロスやれ」と言うのではなく笑)

結論を先に書くと、ラクロス部は、

就活で重要な、「チャレンジ、組織貢献、スポーツだけの人でないこと、社会との接点・・・」などの条件をクリアしやすい

のだと思う。これら条件とは、今のビジネス環境で求められる能力でもあり、就活の先でも重要なものだ

野球サッカーラグビーのような伝統があり競争も激しい人気競技のアスリートから見れば、「ラクロスなんて新興マイナー競技なのに…」と意外に思うかもしれない。しかし、そんな違和感の中にこそ、時代の変化が現れることだって多いもの。

といって僕(水泳部と陸上部長距離)が過去を振り返って、何かのメリットのためにチームスポーツした可能性があったか?と考えるとそれはゼロ。(球技とかの才能が全〜〜〜く存在しないから!)大事なことは、強みと弱みを客観視すること、それらふまえて、どう行動するかだ

ラクロスとは1つの例であって、ここを出発点に、令和バージョンの体育会論を考えてみたい。(2021/3/5更新)

ラクロス部出身者の強みとは

上記noteに9月に追記した項:「追記:ラクロス人気の謎」 から、就活目線での特徴を整理すると:

・ 大学生から横一線ではじめられる(サッカー・バスケのような高度なボール扱い技術が不要)
・ 戦術・チーム連携・個人フィジカルなど、いろんな能力を組み合わせることで、独自の強みを創造できる余地が大きい
・ 練習では、パスワークとポジションチェンジなどで、連携相手との要求や議論などつっこんだコミュニケーションが常時必要
・ 慶應高ラクロス部に3代目J Soul Brothers岩田剛典もいた(この眩しさは違法だ!キラキラ度規制しろ!怒!w

これらはアメフト部などもほぼ同じだろう(※伝統強豪私大の組織体制ができたところは別かも)。こっちは高位安定してるだけ。岩田くんのようにキラキラしてないだけ笑

さらに、先のツイート主、国立大ラグビー部出身の総合商社転職者アカさんがラクロス出身者の強みを出身者から聞き出している。整理すると

<みな大学デビューでフラット>
・ 経験者少なく、初心者もチャレンジできる
・ チヤホヤされず勘違いする学生少ない
<主体性が必要>
・ コーチ少なく学生主体での練習&組織運営
・ 学内ヒエラルキー低く、グラウンド確保など各種交渉必要
<普通の学生生活との両立>
・ 朝6時〜 の練習多く授業・バイトもキッチリ
・ 寮なく社会との接点多い
・ スポーツ推薦なく原則受験入学で地頭がいい

練習は早朝になるのは、グラウンドが空いてる=夕方は学内ヒエラルキー高い部活が優先されるからかな。逆に、終了を区切り短時間で済ませるのは今のビジネスっぽい。市民ランナーやトライアスリートがやってるのと同じだし。

まとめると、チャレンジ、組織貢献、部活以外のPRポイント、社会との接点、と就活に必要な要素が揃っている。実際に、

「実際の面接ではラグビー部員にないクレバーさも感じるんです」

とのことだ。

いただいた感想追記:営業力・マーケティングの基礎力だな。

「みな大学デビューでフラット」ということは、「これまで全くこの競技を知らなかった人」の目線に立てるということ。2年生になれば「初心者」を勧誘する。就活では面接官に対してゼロから説明することになる。そのためには、「みんな知ってて説明不要な競技」にはないコミュニケーション能力が求められる。(マイナー競技の人「みんな知らないんです」とかいいがちだけど、チャンス逃していることがわかるよね)

これら能力は、ビジネスでは、営業とかマーケティングの基礎力だ。

では、どうすれば、パクれるのか?

その方法を他人に頼らずに自分で考えることが「主体性」であり「チャレンジ行動」だ。まずはその姿勢からパクってみようか。

2021/1/20追記:Number Webにも "【なぜ就活に強い?】「ラクロス部の学生はいますか」企業が求めるマイノリティー競技の強みと利点とは" との記事が:

3/5追記:日本ラクロス協会主催の就活イベントの内容 ↓

1)「ラクロスに優秀な人材がいることを企業に説明せよ」のグループディスカッション。12の基礎能力(たぶん社会人基礎力)から、ラクロスで最も伸びる要素を3つ選択、ラクロス経験を踏まえて、理由を企業にプレゼンテーション

2)参加8企業による学生へのプレゼンテーション

3)学生が、40の価値観カードから自分が大切に思う3つの価値観を選択。その理由、ラクロスをする中でその価値観の大切さを実感した瞬間を、企業に伝える個人ワーク

つまり、「個人の経験」「企業が求めるもの」「そのリンク」を考え、伝える、的確なトレーニングをされていてさすがだ。

さらに、2021年11月11日(木)ラクロスコミュニティ向け総合学習プラットフォーム「Musha」開設

①ラクロスを魅力的に表現するためのクリエイティブスキルの向上:全国の大学ラクロスチームが活用できる、2022年度新歓用ポスターとムービーを制作
②ラクロスにおけるデータ収集・分析手法から、スポーツ界におけるデータ分析のトレンド・他スポーツでの利用方法まで、実践的なノウハウを習得できるプログラム
③新入生勧誘活動:自らのチームの魅力を言語化し、他チームの魅力を聞いて新たな気付きを得て、仮想の1年生像に対して反復したアプローチを行う、実践形式のプログラム

追記:「主体」と「自主」の違い

上記Number2021.01記事でも挙げられる,、

「大学ラクロスの伝統として、毎年、部の主将と幹部たちが、誰に監督とコーチを頼むのかを決めることが多いんです」

とは、メジャー競技では監督やコーチが決めることを、学生側が決断する場面が多いということ。その決断に責任を持っているということ。

つまり学生が「主体」であるということ。

日本のスポーツ指導では「自主性」という言葉がよく使われる。「主体性」とはここでは別の意味で、

・自主=レールは大人が敷く(エンジンだけ学生が動かす)
・主体=ルートから自分で決める

この違いだ。

学生が「主体」な例といえば、西薗良太さんなど学生がスポンサーからコーチからかき集め、インカレ王者、複数プロも輩出した2009年頃の東大自転車部もそう。

制約は、乗り越えることで、最強の武器になる。

ラグビー部就活の真実

じゃあラグビーは実際どうか、というと、有力大ラグビー部の進路はネットにも出ている。慶應2020年はこちら:

早稲田:

まあ、2019ワールドカップの影響もあり、トップ層が実業団でプレーしたいとかあるかもだ。あとラグビー部は、早慶にかぎらず、いわゆる大学ランクと関係なく幅広く就職がいい伝統があると思う。他大学ふくめ、年度をさかのぼって調査すると、傾向でてくるだろう。

つまり、ラグビー就活が低迷したわけでもない。ただ、ラクロスがこれだけ伸びているということは、その「裏」を探ることで、新たな活路がみえてくるだろう、という話をしている。

ラグビーは、高校あたりから始めた部員が多いかと思う。成り立ちからしてエリート養成競技のようなもので、イギリス貴族の子供を教育する中高一貫エリート校と、かれらが進学するオックスフォード&ケンブリッジ的な大学あたりから生まれて育っている。昔の貴族は軍隊のオーナーなので、当初は軍隊幹部の育成、後に近代ビジネスマンの育成シミュレーションとして、ルール設定され運営されていると思う。

そしてラグビーに限らず、人気競技の有力体育会では、アスリートとしての鍛えられ方なら、ラクロスあたりを全体的に上回るだろう(かなり)。なんであんなやつらに負けるんだ?くらい思ってるかもだ。

にもかかわらず、ラクロス就職がよくなっているという現実がある。そこから何を学べるか?

ちなみに大学野球も公表されてて、早稲田慶應、と全体に就職良い。プロ+トップ実業団にも結構いってる。こんな人たちと同じリーグに入れられてるのが罰ゲームのようにおもえる東京大学。。

陸上だと長距離の実業団行きだけなので(箱根でて三菱商事に行くと中継で紹介してもらえるが)、これがメジャー競技とマイナー競技というものか。。

伝統的部活の弱点とは?

前のnoteでも書いたが、野球サッカーのような人気競技では、大学のサポートが厚く、経験豊富なコーチも付き、マネージャ陣も豊富だ。

さらに伝統がある分、学年ヒエラルキーが強いことも多いだろう。

同学年でも、大学入学時点で既にヒエラルキーがある。超トップは既にプロ野球やJリーグにいっている。残りでも、スポーツ推薦からプロ志望を狙うトップ選手が有力大学には学年数名くらいいるだろう。

これら要素は、今のビジネス界に必要な、良質なチームビルディング経験をつくりあげにくくさせる。

実際、ビジネス界からは、こんな意見 ↓ 多い。 

ただ、「上からの圧に強い」のはやはり武器。無条件にいうことに従うのではなく、使い分けができれば、凄い武器になる。

既にそうしている&できている部も最近は増えてきて、2018年まで全国大学ラグビー選手権9連覇の帝京大学ラグビー部は好例。岩出雅之ヘッドコーチによる『常勝集団のプリンシプル』はその極めて優れたマネジメントを解説している。

大事なことなので繰り返しておくと、「ラクロスが有利」といっているのではない。「ラクロス出身者が発揮している強みをパクろう、活かそう」という話だ。

結論

どんな競技でも、またスポーツ以外の活動でも、それぞれの強みがあるのだから、使えるものを徹底して活かしていけばいい。

その際に、就活なら相手の会社が求めているものがあり、そのゴールを〜たとえば

チャレンジ、組織貢献、「スポーツだけの人」でないこと、社会との接点

といった要素をただしく理解し、むかっていく必要がある。

これら条件をクリアしてきたのが、最近のラクロス部ということだ。大学内の競技としては恵まれてはいない。だからこそ、ある種の逆境が発生して、乗り越える必要があった。

こういうものが評価されるが、今のビジネス界。

どんな活動にだって応用できるだろう。

ちなみにラクロスという競技について

ついでに参考知識を。

そもそもラクロス/Lacrosseとは、wikiの通り、北米先住民族の遊びが19世紀カナダで競技化、20世紀はじめには五輪競技にもなっていた。21世紀に入り、学生専用競技としてアメリカ中心に人気だ。US Lacrosseによるアメリカ国内競技人口は2001 年25万人、2018年83万人と急増。過半数44万人がYouth=14歳以下。団体登録者ベースの信頼できる数字のようだ。(日本だと競技人口は根拠不明な推計値で多すぎると感じることが多いのだが笑。画像は2018REPORT p3)

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プロリーグはほぼ兼業専用で、2018年記事ではリーグ最高年俸は1万6000ドル。トップスターのポール・ラビルは2013年からスポンサー契約が100万ドルだそうだが、80万のコアな競技人口あれば広告効果もすごいわけで、ある種の広告業=インスタグラマーのような収入であって、チーム成績に対する報酬ではない。

だから最高峰は全米学生選手権だろう。
男子はタックルもあり(させないようにボール回してるけど)激しいというか先住民族の殺し合い回避のためのエネルギーぶつけあい的な笑
動画:2019 NCAA Lacrosse Championship, Virginia vs. Yale = 名門 or お坊ちゃん対決 

女子はコンタクトがない分、スッキリして美しい笑 
動画:Top 10 plays from 2019 NCAA women's lacrosse championship

こっちはプロリーグの方:

画像正面のガタイの良さはラグビー・アメフト級だ。ただアメリカでトップ層のパワーアスリートなら、ハイスクールではアメフトやベースボールで学校代表チームを掛け持ち、大学ではアメフトで奨学金もらい、NFLを目指すだろう。NFLのルーキー最低年俸は2020年で$510,000、5年目からFAで青天井。

対してラクロスは、はじめから卒業後はビジネス界でがんばります!という優良家庭出身の良い子のスポーツな雰囲気

ここまで書いて、僕自身、「へー」て思う。

ということは、ラクロス出身者は自分なりに説明する必要があるということだろう。説明しないとわかってもらえない状態、とは、放ってくと全然ダメだが、説明力を磨けば強い。相手が「へー!」と思ってもらいやすいから。

たとえば、「地上最速の格闘球技」というラクロスのキャッチフレーズも、独自のポジショニングを成功させてて上手い。

ちなみに総合商社就活について

ついでに書いとくと、商社は特に近年は人気トップレベルの最難関。比較的世代が近いと思われる商社アカウントさんによれば(多少の誇張は感じるが笑)

1990年代の東大だと、入学時点から三菱商事いく!といいながら世界中を遊び回りながら英語勉強とか通関士取得とかは続けてたようなタイプ、成績上位で行動できるタイプ(これを天才系といってるかも?)は多い。あ、そういえば留学してたなとか、そういえば親がどうのこうの、とかもあるか。。あと首都圏の有名高出身が多かった。

東大かよ!と思った方へ、地方出身で首都大学東京(就活前に半年留学)から伊藤忠&丸紅内定の女性のnoteご紹介:

このnoteで最大の注目点はここだと思う:

「あなたの所属する学群の中で最上位に位置するように戦えばいい
 東大、京大、慶應体育会〜とは同じ戦場にいない
 椅子は少ないけど、敵もそこまで強くないフィールドで戦えます」

この出発地なくしては何も始まらない。その先の戦略的手法の数々はリンク先ご参照。「Fラン大学でも試験さえ突破すれば面接にたどり着ける、旧帝大でも足切りされる」という会社は最近多いはず。ただ高偏差値組は「試験ならオレしか勝たん!」という気合いで筆記に通りがちだ。苦手意識あればメンタルブロックはずそう。

・・・

アメリカで21世紀から人気になった競技なので、特にアメリカ駐在や留学などで、人気急上昇しているのを肌で感じた、大手企業の家庭などが多いという面はある。世帯年収が高い=高収入の仕事の内情がよくわかっている、ということだから。

家庭環境なら追いつけない!と悲観するかもだが、むしろ、自分にはなかった価値観とか行動とかを学ぶチャンスだと捉えたほうがいい。どうせ会社に入ればまずはその会社の価値観とか行動パターンとか、つまりは文化を学んでゆくことになる。

地方格差の本当の正体は、東大進学数とかよりも、こういう複雑な文化的なところこそ出てくるものだと思う。ただ有名大学とは、こうしたアッパーな世界の価値観に触れるチャンスが転がっていることが多い場所。だから、いつまでもオンライン講義だけでは不十分。

・・・

この系統の話は今度も、マガジン「就活&キャリア論」で書いて行く予定。関心あればnoteフォローくださいな。

・・・

< 最近のお買い物 >

ついでに。先日スポーツ用のTifosiサングラスを失くして、Marsquest のGravity買った。「非球面」=直角なのでスキマは気になり、スポーツ用なら「momentum」3,280円の方がオススメかな。まあ安いんで許すw

あと最近買ってよかったのがバランスボード。(僕のはポイント消費目的でAlpenの、コスパもデザインもAmazonベーシックで十分)

メモ取るほどでもない本読んだりネットサーフィンしたりするのにちょうどいい。この上で包丁握る気は(いまのところ)しないけど皿洗いくらいはチャレンジするかも?

<Photo by Jeffrey F Lin on Unsplash>

サポートいただけた金額は、基本Amazonポイントに替え、何かおもろしろいものを購入して紹介していきたいとおもいます