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私の聖地、鎌倉②

「鉄は熱いうちに打て」
というので、アドレナリンが出ているうちに続きを書くことにする。

いつ行っても期待を裏切らない和食屋「さらい」でお昼をいただいた私。
小アジやばらちらしの美味しさを噛み締めながらふと外を見ると、雨はザーザー降りになっていた。

鎌倉め。大号泣である(まだ言ってる)。

いつまでも美味しさに浸っていたいところだったけれど、そんな時間はない。
今日の私は時間に追われている。
お店の方に感想とお礼を伝え、早々にお店を後にした。
外に出ると、雨は小降りになっていた。

まあこれくらいの雨なら傘は買わなくていいでしょ。

ドラッグストアを横目に、七里ヶ浜駅を目指した。
しかし、さらいから江ノ電七里ヶ浜駅まではそれなりの距離がある。

無情にも強くなる雨。
雨に打たれる私。

普段はめったに走らないのだけれど、気がつくと走っていた。
雨に打たれる時間を短縮しつつ、駅までも歩くより早く着く。
雨に濡れるなら走ればいいじゃない(誰なんだ)。
濡らしたくないお気に入りの皮の鞄を抱えながら、坂を駆け下りた。
運動など全く好きではないが、今日は特別である。
だってここは鎌倉だから!!!!!!!!

走りながら、思い出したようにスマホで時刻表を確認する。
次の電車の発車時刻は2分後。
私はまだ坂の上である。

こりゃ無理だわ。

私は諦めた。
諦めはいい方である。

その次の電車までは20分ある。
ならば七里ヶ浜の砂浜でも眺めておこうではないか。
そう思い、あれほどがむしゃらに走って目指した七里ヶ浜駅を通り過ぎ、海岸の方に歩いた。
江ノ島が見えた。

七里ヶ浜からの江ノ島

曇天である。
晴れていれば、江ノ島にかかる橋の向こうに富士山も望めるのだけれど、今日は厚い雲で覆われていた。
まあこんな日もある。
何枚か写真を撮ってみたが、全部こんな調子だった。
まあいい。写真が映えないところで、私の鎌倉江ノ島への愛が冷めてしまう訳ではないのだから。
病める時も健やかなる時も愛するのが本当の愛である(何の話)。

江ノ島を程々に眺めたところで時間を確認する。
意外と電車の時刻が迫っている!!!
また駅まで走ることになった。
人が変わったかのように、ことあるごとに走る私。でも不思議と息切れさえ気にならなかった。恐るべき鎌倉パワーである。

そしてまた江ノ電に乗車。
間に合った。

今日の私はのりおりくん(江ノ電乗り放題チケット)を買っている。
乗車して考える。
降りたい駅はどれだろう。
いやいや、全部降りたいでしょうよ!!!
心の中で一人、ノリツッコミをするが、今日はとにかく時間がない。
そして私にはどうしても行きたいお寺がある。そこは鎌倉駅から歩くのだ。
残り時間は確実に少なくなっている。
となると、もう鎌倉に戻るしかない。
途中下車は出来ない。

その時点で、のりおりくんを買った意味がなくなった。

でもいいのだ。
「私の聖地、鎌倉①」でも書いた通り、元の取れなかった分は江ノ電へのささやかすぎる寄付である。(寄付というのも申し訳ないくらいの額だけども…)

気持ちを切り替えて鎌倉駅を目指す。

江ノ電車内より

帰りの電車でも写真を撮った。
帰ってから、この景色を思い出せるように。
今日のこの尊い時間を忘れないように。
その頃になると、空は少しだけ晴れ間を見せてくれていた。

そして鎌倉駅に到着。
さあ、私の行きたいお寺へ!!!
…と行きたいところだったが、素通り出来ないお店を見つけてしまった。

「江ノ電グッズショップ」

である。
江ノ電かわいい…えのんくんかわいい…なんかほしい…

気がつくと私はお店に入っていた。
そして見つけた。
江ノ電ピンバッチのガチャガチャを。
本当は隣にあった駅の看板のガチャガチャを引き「鎌倉駅」と書かれた看板が欲しかったけれど、そちらは倍率的に当たる可能性が低い。
「藤沢」「長谷」と書かれているのもまあいいはいいけれど、やはり私は「鎌倉」が欲しい。
ただ「鎌倉」を引き当てられる確率は低い。
(ここら辺は妙にセコい)

そう考えると、江ノ電の車体がピンバッチになっているタイプのガチャガチャは、どれを引いても江ノ電が描かれている。
こちらの方がどれを引いても納得出来そうだ。

よし!!!!!!

と思い200円を入れた。
近年、子どものガチャガチャが500円のものもあることを考えると破格のガチャガチャである。

取手(というのだろうか)を回そうとすると、いつのまにか隣にいた中国人カップルの彼女から熱い視線を感じた。
どうやら私のガチャガチャの行く末を見守ってくれているようである。
私は彼女に見守られながら、ガチャガチャを回した。

ガチャッ!!!!ゴロゴロゴロゴロ…

うおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!
江ノ電キターーーーーー!!!!!!!!!!!!

一番欲しかった江ノ電ピンバッチ 家にて開封

このガチャガチャならこれが欲しい!!!と思っていた、シンプルな江ノ電のピンバッチが出た。
興奮した私は思わず、中国人カップルの彼女に向かって満面の笑みでガチャガチャを見せびらかしていた。
今思うと本当に恥ずかしい。
でも奇跡的にとても人の良さそうな女性で「Oh!!!!!!」と笑顔を返してくれた。
シンプルに嬉しかった。

テンションの上がった私は、勢いで大仏様のストラップも購入した。キャラクターものは基本的に買わないタイプなのだが、大仏様は別である。(そもそも大仏様をキャラクターと呼ぶのも違和感があるけれど)

なんだかよくわからないノリでお香も買った。

鎌倉大仏ストラップとお香

とにかく、帰ってからも鎌倉を感じたかった。
鎌倉をテイクアウトしたかった。

有意義な買い物をした私は、予定通り大好きなお寺に向かった。

私の好きなお寺の名前は「寿福寺」という。
鎌倉駅西口を出て、市役所前を右にずーっと歩いて行くと、道の左手にひっそりとあるお寺。
いつ行ってもほとんど人がいない、静かな場所である。

寿福寺に向かう途中は、今日も本当に人が少なかった。
数人とすれ違う程度である。
いつも人が溢れかえる鎌倉で、こういう場所はとても貴重だ。

大好きな人と待ち合わせするかのような気持ちで、少しそわそわしながらそこに向かった。

そして、寿福寺は今日も、ひっそりとそこにあった。

寿福寺の参道

この参道が大好きだ。
今日は新緑のモミジがとても綺麗だった。
もう何年ぶりだろう…
前回来た時から、かなり時間が経っている気がした。
でもこのお寺は、変わらずそこにあった。

トンビとウグイスの鳴き声が聞こえる。
雨に濡れた木々の、瑞々しい空気に包まれる。
鳥の鳴き声と風が木々を揺らす音以外、何もなかった。
でも、ただただそれがよかった。

参道に生える苔

参道の横に水路のようなものがあり、そこには青々とした苔が生えていた。
苔の呼吸が聞こえてくるかのような潤いを感じる。

そして今日も誰もいない。
これが最高である。

私は深呼吸をした。
木々に包まれながら空気を思いっきり吸い込んだ。

もう、これだけでよかった。
今回の旅の目的は達成された。

一人で鎌倉に足を運び、大好きな場所でその地の空気をたっぷり吸い込む。
それが一番やりたいことだった。

寿福寺にはどれくらい居ただろう。
しっかり確認していなかったけれど、かなり長い間そこでぼーっとしていた。
何も、誰のことも考えず、ただ鎌倉の、寿福寺の空気を味わっていた。
こんな贅沢な時間はない。
最高だった。

思う存分空気を味わった私は、寿福寺に心の中で丁重にお礼を伝え、そこを後にした。

さて(随分あっさりと切り替えたような書き方になっているけれど、なかなか言い表し難い程にものすごーくしみじみと寿福寺を堪能したので)、そろそろお土産を物色する時間である。
本当は鎌倉駅周辺となれば海蔵寺や妙本寺、本覚寺あたりも行きたかったけれど、なんせ今日の私には時間がない。
でも鎌倉に来たからにはお土産も買って帰りたい。
となるともう、買い物タイムに突入するしかなかった。

でも私には十分だった。
十分だった。(大事なことなので二回言います)

私は歩き出した。
ちなみに、私はどちらかというと賑わいまくる小町通りよりも御成通り派なのだが、今日は時間の関係上仕方ない。小町通りを歩くことに決めた。

ただ、私にはひとつ気になることがあった。

以前は鎌倉駅から寿福寺に向かう途中にあった、大好きなジャムのお店がなくなっていたのだ。

私は信じられなかった。
あのお店がなくなる…?????
あのお洒落で可愛い世界観、どれを買っても確実に美味しいというたしかな実力。
あのお店がなくなるなんてあり得ない。
私はどこか確信のようなものを抱きながら、名前を検索した。
すると、スマホの画面には「営業中」の文字が。

やはり!!!!!!!

お店はなくなったのではなかった。
別の場所に移転していたのだった。

早速調べて新しい場所に向かうと、そこは段葛の前の若宮大路沿いにあった。

Romi-Unie Confiture

なんと…
こんな目立つ場所に移転されていたとは。

以前のお店は人通りの少ない道にひっそりとある感じだったので、私はどこか、インディーズの時に応援していたバンドが知らぬ間にメジャーデビューしていたような気分になった。
いや、でもそもそもこちらのお店は私が出会った時点で既に大人気のお店だったのだけれども…

久々の入店。
ああもう可愛い。
店構えから可愛いのだけれど、商品も本当にどれも可愛い。そして美味しい。

そして発見した。
スコーンがあるではないか…!!!!

私はいつもスコーンに興味津々なのだが、心から美味しい!と思えるスコーンに出会えたことは一度しかない(神戸に行った時に某ホテルでいただいたスコーンは本当に神がかった美味しさだった)。

スコーンは気軽に売られているけれど、美味しい!!!と思えるものには早々簡単に出会えない。
大体パッサパサか、ガッチガチか、ボッソボソなのだ。←
だからいつも買うのを迷ってしまう。

でも今日は迷わなかった。
ここのスコーンなら信頼できる…!!!という想いで、私はティースコーンとプレーンのスコーン(なんか違う名前だったけど忘れてしまった)を一つずつ買った。なんだかスコーン用のプチジャムまで付いて来るらしい。なんてお得なんだ…!!!!
更に、気になったジャムも一つ購入。

こんな無邪気で可愛いラッピングある?

ちなみに先程、このnoteを書きながらひとくち食べてみた。
本当は明日の朝のお楽しみの予定だったのだが、待つことができなかった。

そのお味は…

おいしい…おいしい……うおおおいしいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!
(深夜のテンション)

やはりこのお店のお菓子に間違いはなかった。
程よくしっとり、そしてしっとりの中にあるほろほろ感。最高である。
もうこんな時間(只今23時)なのでなんとかひとくちで留めたけれど、明日プチジャムとともにしっかり味わわせていただく!

…と、このあたりで力尽きて来たので、「私の聖地、鎌倉②」を終わりにする。(毎回急に終わりが来る)

でも、まだまだ私の旅は終わらない(現実では終わっているけれども)。

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興奮冷めやらぬうちに②を書きました。
もしよかったら、続きが書けたら、また読んでいただけると、飛んで喜びます…!
乱文にお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

③…あるかな笑

寿福寺の梅 実がなっていた

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