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2021/07/28 スケボー文化を見直す

今回の五輪の新競技スケートボードで、日本勢メダルラッシュが続いている。男子ストリートで22歳の堀米雄斗選手が「金」、女子ストリートでも13歳の西矢椛選手が「金」、16歳の中山楓奈選手も「銅」を獲得した。紹介されるスケボー文化に初めて関心を持った。今までスケボーは「週末にやってくる厄介者」でしかなかった。

勤務先の会社の正面玄関脇には、大理石でできた三角形のモニュメントがあるが、土日祝日になるとネットがかぶせられている。そうしないと、襲来するスケボー少年の格好のえじきになってしまうからだ。都心の同じ通りにあるビルはどこもやっている。

以前、助走用に玄関マットを外していた少年たちを見かけた。慌てて警備員を呼んで注意してもらったが、少年のうちの一人はなかなか制止を聞き入れない。そのうち、リーダーらしき少年が「おい、いい加減、やめろよ」と声を掛けて、ようやくグループは引き上げていった。リーダーがこうこぼしながら。

「街中にスケボーできる場所がないんですよ。公園とかも禁止されちゃって」

1940年代、米国西海岸のストリートカルチャーから生まれたスケボーは、自主独立と連帯感がポリシー。コーチではなく、自分たちで考えて技を磨き、仲間たちで教え合う。高校卒業後、渡米した堀米選手は、まだ英語が分からなかった時も、スケボーで通じ合えたと振り返っていた。

スケボーが若い世代の心をつかむのは、競技の面白さはさりながら、自由な気風や価値観、失敗を怖れないチャレンジ精神もあると思う。これは今の日本に一番必要なものではないだろうか?

今回の快挙でスケボーが日本にさらに根付くには課題も多い。「パーク」と呼ばれるスケボーができる場所は少ないし、公園は禁止事項だらけ。会社に来ていたスケボー少年の頑な態度も、日頃から邪険にされ、偏見の目で見られていた鬱憤なのかと、今更ながらに思う。ルールはもちろん、遵守されるべきだけれども。

スケボーができる場所をきちんと整備して、スケボー普及を機に、新しい風が日本社会に吹けばいいと願っている。

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