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2021/07/31 今どきの夏休みの自由研究

先日、近くの図書館へ寄ったら、夏休みの自由研究コンクールの入賞を紹介する企画展が開かれていたので、何気なくのぞいてみた。

マイクロプラスチックの行方、マンホールの秘密、カブトムシの飼育など、どといった環境問題や生き物に関するテーマが目立った。原本のレプリカが並んでいたので、手に取ってみると、グラフや図表、写真などビジュアル化が進んでいた。ネット時代ならでは。私が子どもだった頃は、全部手書きだった。

演劇ファンの私の目を引いたのは、歌舞伎の研究。「なぜ男性だけが演じるのか」「隈取(くまどり)の下地をなぜ塗るのか」「つけうちは何のためにあるのか」…。書いた男の子は実際に隈取やつけうちの体験会に参加して、その感想もまとめている。特に面白かったのが隈取。ふだんメイクなんてしたことのない男の子が、水で練った白粉を塗って、紅を重ねていく過程が写真で紹介されていた。白粉がだまになっていて、まるで粘土のようにゴテゴテになっているのもご愛敬。ご満悦の表情で写真に収まっているのが、何ともほほえましかった。

はて、この写真は、一体誰が撮影したのだろう? 「自撮り」であるわけがない。やはり、お母さんか、お父さんが撮影しているのだろう。

親子で挑む夏休みの宿題。そういえば、私も小学校4年生の時、8月末になっても工作が一向にできず、半べそをかいた。

「前もってやっておけと言っただろう! もう、自画像でも描いておけ!」

父に怒られ、慌ててコンテで描いた。そこへ陰影を加えたのは、絵心のある父だった。どう考えても、小学生による手とは思えない。バレやしないか、内心おそるおそる提出したけれど、先生からは何も言われなかった。

期限に追いまくられて、親が総掛かりで夏休みの宿題に取り組んだ家庭は、結構あったのではないだろうか。今は、ネットで検索すると、「宿題代行屋」なるものが出てくる時代。ちなみに読書感想文(400字詰め原稿用紙4枚)や自由研究・レポートの平均料金は15,000円前後。フリーランスのライターの原稿料の相場を考えると、なかなか強気の料金設定である。しかし、代行屋が書き手とばれないように、小中高生に扮して書くのは難しいと思う。

宿題代行業の利用は近年、高い伸びを示しているそうだ。だとしたら、夏休みの宿題は、無効化されているのではないだろうか。とにかく量が多すぎる。夏休みぐらい、自由に伸び伸びと過ごさせてあげたらいいのに。

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