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リモートワークでの部下との円滑なコミュニケーションのコツ

本記事の監修者紹介

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1. リモートワークのコミュニケーションで生じる予期せぬ「すれ違い」

在宅ワークにおいては顔が見えない、様子の見えないオンラインのコミュニケーションを強いられます。このようなコミュニケーションは、実際にオフィスで顔を合わせてのコミュニケーションと異質であることから、上司と部下という立場の違いから予期せぬすれ違いが生まれてしまうケースが増えています。

例えば、部下がスムーズに業務が進められているか心配な上司と、それを「上司に監視されている」と受け取ってしまう部下。オンライン上で部下に対する配慮をどう伝えるか悩む上司と、自分を気にかけてくれていないのでは?と感じモチベーションが下がってしまう部下。これらは慣れない環境の中、立場の違いから生じてしまう不本意なすれ違いと言えるでしょう。

リモートワークにおいて、お互いが気持ちよく・効率よく仕事をするためには通常時とまた違った意識が必要になってきます。この記事では、上司の立場から見た、すれ違いを避けるための心理的なヒントを述べていきます。

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2. Withコロナで強まる ”監視”→”管理” へのシフトの重要性

「監視」ととられかねないNG行動とは?

上司として、部下がスムーズに業務が進められているかどうか不安に思ったり、確認したいと思う心理は自然なものであり、当たり前のことです。

しかし、顔が見えないコミュニケーションでは、方法を誤ると部下に「自分は監視されている」というプレッシャーを与えてしまい、かえって意図しないパフォーマンスの低下を招いてしまう可能性があります。実際に、弊社(ピースマインド株式会社)には

・業務時間中はずっとモニターのカメラをONにして、姿が見えるようにしておくよう指示する
・突然電話をかけ、出ない場合「どこに行っていたか」などを追及する
・チャットで質問して、10分以内に返信を要求する

など、受け取る側がハラスメントだと感じた行動についての相談も多く寄せられています。部下のパフォーマンスに目を配らなくてはいけない上司の立場として、意識するべきことは何でしょうか。

日誌やミーティングで状況を確認し、「困っていないか」を確認する方法へ

イメージとして、部下を「監視」するのではなく「管理」するのだという気持ちで行動していくことが大切でしょう。「監視」とは、行動をチェックするものです。対して、「管理」とは、部下がどのような業務内容をしているのか、パフォーマンスをあげているのかを確認・把握することです。このような点に意識を向けると、例えば部下のパフォーマンスが落ちていたり納期遅れなど問題が生じているような場合に、サポートをしてフォローアップする適切な姿勢がとりやすくなります。具体的には、定期的にミーティングを開き進捗状況などを確認したり、日報などで1日の業務報告を行ってもらう、などの方法がよいでしょう。

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部下の「心理的安全性」を確保した上でのパフォーマンス管理が効果的です

実際にこのようなミーティングを行ったり日報を提出してもらう場合に、上司としては効果的なサポートに繋がる環境づくりを心がけましょう。部下が「心理的安全性」を感じられるようになれば、こういったツールの効果はさらにアップします。

心理的安全性とは、個人がミスをして責められたり、意見を言うと批判されたりといった防衛心や不安から開放された状態です。この心理的安全性を確保した環境では、ネガティブな情報であっても伝えやすくなります。例えばミスをしてしまった際も、早い段階で日報やミーティングにより把握ができれば、迅速なフォローアップにつながったり、一緒に次のステップを考えることができるようになります。

3. ツールを活用した1on1のコミュニケーションがサポート感を強める

リモートワークは、オンラインツールを使えば部下ひとりひとりと接するチャンスを作りやすい環境である

在宅におけるコミュニケーションの課題として、部下が上司からサポートされているという支えを感じとりにくいというものがあります。これは、オフィスで実際に顔を合わせる機会がないことで、気持ちが伝わり難かったり、全体的なコミュニケーション量が減ることから自然に発生しやすい心理的な問題だといえます。

しかし、web会議システム等のサービスを活用すれば、実はリモートワークにおいて部下と1対1で対話をする環境は通常の出勤時よりも用意しやすいと言えるでしょう。オンライン上で1対1のルームを作るのは、物理的な個室を確保するよりもハードルが低いかもしれません。

ただでさえ孤独感を強める在宅勤務時は、部下とのコミュニケーションにおいての肯定的な態度を心がけましょう。自責感・不安には共感し、課題を一緒に考えます。既にできている事をフィードバックするのも良いでしょう。これらのコミュニケーションは、上司への信頼感を高め、部下の次のアクションに至るモチベーションを生みます。対話によって一度モチベーションを高め、行動のきっかけを用意してあげることができれば、そのあとは本人のやり方で自分なりの業務を構築していくことにつながるでしょう。

コミュニケーションの頻度は部下の特性や社内文化、業態によって調整を

プラスの方向に働くコミュニケーションのためには、部下の特性や社内文化、業態によって頻度等の調整が必要です。例えば、対人サービス業務は、一般的に精神的なストレスが高いと言われています。感情労働に関わる部下や、業務トラブルなどの感情面の負荷が多い場面では、労いを含んだ、顔を見てのコミュニケーション頻度を増やすと良いでしょう。

部下の方から発信しやすいシステムも必要になる

コロナウィルス感染症の拡大により、企業の働き方は大きく変わりました。テレワークなどの拡大により、従来の「部下の様子に素早く気づきケアをする」と言うラインケアの基本対応が困難になっています。また、遠隔であり、業務状態が肉眼で見られなかったり、部下の体調不良にも気付きづらい状況です。

今後は、この遠隔での業務形態の特性を考慮し、部下自身から「最近眠れていない」や「体の不調で通院している」など自分の情報を発信してもらいやすいようなシステムを整えていくことが必要になっているでしょう。そのためにも、1対1の面談の場を設け、状況を報告してもらうミーティングの場は重要と言えるでしょう。

4. チャットでの齟齬を防ぐため、指示は出来る限り具体的に

最後に、普段だったら気軽な声かけや顔色を見ることで回避することができる細かな認識の違いですが、それができないオンラインではさらに明確な指示を心がけることが大切でしょう。すでに普段から意識されている方も多いかもしれませんが、オンラインのコミュニケーションでは具体的に指示を伝える意識がいっそう重要になってきます。

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例えば、このようなコミュニケーションですが、資料を修正してほしいという意図が相手に伝わりづらい場合があります。

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このような形で、これまで以上に明確かつ具体的な指示を心がけることが、招かれざる部下との関係性の悪化を防ぐことに繋がるでしょう。

おわりに

お互いに予期しないすれ違いによる関係性の悪化は、避けたいものです。短時間のミーティングや、指示の仕方など、ちょっとしたポイントで防げるすれ違いがあります。ぜひこうした小さな部分を意識して、顔を合わせることが難しいコロナ禍でも最適なコミュニケーションが取れるようにしましょう。

監修者
武田 英彦(タケダ ヒデヒコ) 
ピースマインド株式会社 
EAPコンサルタント

飲食業にて店舗運営スーパーバイザー、番組企画制作会社にてテレビ番組の企画制作を担当。 その後、退職し心理系大学院に進学、臨床心理士の資格を取得。国立精神・神経医療研究 センターでの臨床検査、東京都知事部局において、職員のメンタルヘルスケアに従事。 その後、ピースマインド株式会社に入社。現在、EAPコンサルタントとして社員と企業向けのコンサ ルティング業務を担当。

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