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まだフェミニストじゃない私のはなし

はじめてのジェンダー論

『はじめてのジェンダー論』加藤秀一著を買った。私はamazonで購入したが、メルカリをみたら出品された端から買われていた。社会的にジェンダーやフェミニズムへの関心が高まってる証拠だろうか。

この本は、私にとって正真正銘「はじめての」ジェンダーやフェミニズムについての本になる。一冊読んだところで、劇的に価値観が変わったり、世界が開けるわけはないが、勉学としての視点を持つ前の、私が今、フェミニズム的な話題が盛り上がるたびに考えることを、このタイミングで一度整理したいと思って筆をとった。

私はリベラリスト

関心を持った最初の入り口は、大学で政治学、その中のリベラリズムを勉強したことだった。リベラリズムとフェミニズムに直接的なつながりが歴史的にあるのかどうかは、わからないのだが、個人的には親和性が高いと思っている。(ご存知とは思うが、リベラリストは左派とは全く違う。)

リベラリズム的な社会というのは、簡単に言うと、個人が自身に対する決定権を持つ(=人権がある)状態と私は理解している。

なんだ、そんなことか!と思うだろうか。日本もリベラルな国じゃないか!と。しかし、実際にはリベラルな国づくりは難しいのだ。「普通の人」には自己決定権が保証されている、というだけでは到底足りない。マジョリティ・マイノリティ/弱者・強者に関係なく、全員に対して自己決定権が保証されていることが、最低限の基準だ。

「あいつは自分の意志で傭兵になったんだ」

自己決定権を保証する、と、一口に言っても、これも実現は難しい。たとえば法律で、「各々勝手にやっていいよ」と定めたとしても、「実際に各々勝手にできている」とは限らない。経済的に貧しく、教育が受けられなかったせいで、大人になってもどこにも就職できなかったとする。そこで声をかけらる。「命を晒す覚悟があるなら、飯も金も保障しよう」そして、その人は「傭兵」になった。紛争地域で要請があれば、駆けつけていって武力行使する。金ももらえたし、飯も食べられる。その人は、今は幸福かもしれない。でも、戦場へ出た兵士のPTSDは珍しくない。自殺率も高いし、戦場で命を落とすこともあるだろう。彼を傭兵に誘った人間はこう言うだろう、「あいつは自分の意志で傭兵になったんだ」

しかし、考えてほしい。彼が事務職と、傭兵を、選べた状況で傭兵を選択することと、傭兵だけを目の前に差し出されて、それに飛びついたことは、全く違うものだ。

「彼女は望んで専業主婦になったんだ」

「貧困だから職業が狭まる」ケースの極端な例を出した(世界で実際に起こっていることだ)が、「女性だから選択肢が狭まった」、というケースも、いくつもある。読んでいるあなたにも、パッと思いつくはずだ。「女性だと総合職では昇進できないと聞いた。一般職にした」「女性が育休を取るべきと言われた。育児と仕事を両立できず、最終的に仕事を辞めた」「やりたい仕事があったが、セクハラが酷いと聞き別の職種にした」彼女たちは、「自分の意志で一般職に・専業主婦になった」「自分の意志で職種を変えた」と言うかもしれない。そう見えて、「女性用の選択肢を選ばされてきた」だけではないだろうか。そこに、本当に自己決定権はあるのだろうか。

この話に納得行かない人は、「悩みのない人なんかいない。僕/私だって長時間労働や接待や、上司からのパワハラやセクハラに悩まされてる」と言うかもしれない。その辛さを軽いものとは思わない。でも、こういうことで社員が悩まされる職場では、大体女性も長時間労働や、接待や、パワハラや、セクハラに悩まされていて、+aで先に述べたような悩みもあるのだ。わかってほしいのは、私達は敵ではないということ。敵は「差別」(と、社員をただの駒のように扱う会社)だ。

終わりに

長くなったが、リベラリズムとフェミニズムの相性のよさはわかったと思う。私はリベラリストなので、現時点では、ジェンダー差をなくすには、やはり政府のアプローチが有効と思っている。今は、男女の天秤が大きく傾いている状態だと思う。男性の腕がずっと上にあり、女性の腕が下にある。女性の側の皿から、彼女らの重荷になっている重りをピンセットでいとも簡単に取り除くことができるのは、政府だけだ。もちろん私としては、男性の皿からも、同じように重荷を降ろしてほしいと思っている。

最後に、フェミニズムについて今疑問に思っていることを羅列する。勉強する中で、少しづつ結論を出したい。

・身体を人前に晒したいという意志へのジェンダー論的捉え方

・女性以外のジェンダー当事者が、フェミニズムを語るにあたって取るべき態度

・「女性らしさ」「男性らしさ」の追求の是非

・フェミニズムは弱者一般を支援するリベラリズム的運動とどう違うのか?

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