SIerを脱出したエンジニアが考えるSIer, webベンチャー, スタートアップの違いと得られるキャリアの違いとは?
はじめに
こんにちは!エンジニアの波多野(@hatamasa1988)です!
SIerオワコン説ってなんでなんだっけ?
2chから産まれた小説が一気にバズった2008年「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」の主人公は受託系(おそらく二次受け以降の)システム開発会社のプログラマ。
2012年 SIerオワコン説がささやかれ始め、事業会社の事情シスの言いなりになるプライムSIer。技術力がある二次受けSIerはプライムSierの寝首を搔け!と刺激的な発言もありいろいろと現在も論争があるSI界隈。
2019年 ついに世界に誇る日本の自動車企業も終身雇用制度崩壊について言及。当然、大企業含めSIerからの人材離れも加速するとの見解の加速。
一方、国内の大手SIerは遅かれ早かれ着々と土台を整え、ついには高度情報技術者には新卒で1000万を出すとの意気込みも大々的に発表するようになりました。
ツイッターでもたくさんの「SIなんてやめちまえ」「 有望な技術者は早くwebに転職するべき 」みたいに意見が現在も散見しているのも事実です。 (行間は読んでいませんw)
SIer(企業/業種)はオワコンかもしれないが、SEはオワコンとは誰も言っていない
ここで、
エンジニアとして「SIerはオワコンだからこれからはwebベンチャーっしょ!」とwebベンチャーを短絡的に選択してしまっていいのか?
本記事ではよくある、SIerよりもwebベンチャーに転職するべきという極端な意見を主張するのはなく、大手SIerに5年半、webベンチャー、スタートアップに3年程いる私的には両者ともいっぱいいいところはあると思っているのでキャリア開発という視点で比較した上で、読者の皆さんの検討材料になればと思っています。
エンジニアのキャリアは実に多種多様
私が考えつくだけでもめちゃめちゃあります。
(思いつくままに羅列したので分類や命名はあまり気にせずに)
などなど。
更にはここの中から複数のスタックをもっていたり、画像、動画などのドメイン知識が加わります。
マネジメント、対人交渉、設計、実装、テスト、運用などの他ビジネス方面のスタックも重ねれば、意味不明に広がっていきますね。
そもそもキャリア開発とは
キャリア開発とは。。。。webloより引用
スキルを伸ばし、仕事の幅を広げる
引用文の言っていることは大体はこういうことかと思います。
エンジニアのみなさんはこれらのスキルを上手く伸ばしてキャリア開発していると思います。
そしてスキルを伸ばすのはそこにスキルを伸ばす環境があれば、社内(転職の有無)、社外を問わないです。
ということはできることの大小有無はありますが、SIer、webベンチャー問わないです。
言い方を変えれば、目指すキャリアによってSIer、webベンチャーの選択をするべきというのが私の意見です。
つまり、目的次第です。
例えば「ガチガチのウォーターフォール開発は今風じゃない!アジャイルだ!」みたいな話があるとします。(実際ありそうな話だと思います)
web企業の案件によってはウォーターフォールを選択していることもあるので、それぞれの開発手法の良し悪しを捉えて選択していくのと、キャリア開発も一緒ですね。
SIerとwebベンチャーそれぞれの良し悪しを把握した上でしっかりと自分にあったキャリアを築いていきましょう。
SIerで得られるもの
・段階的に身に付く開発工程ごとのスキル
私の新人時代がベースになりますが、web開発の部署に配属されての理想的なSEの教育ってこんな感じです。 よくあるSIerのSEのざっくり理想キャリアって上手く行けばこんなんじゃないかなと。
大手SIerやプライムのSIerだとこれを一気に経験できたりしますが、
二次受け以降のSIerだと、途中でキャリアアップのためにプライムのSIerに転職してキャリア開発していくようなこともあると思います。
案件によってかなり差が出たりしますが、そこらへんの要素抜きにすると、得られることは
・PM、PLで得られるマネジメントスキル
・要件定義などの上流工程で得られる対人交渉スキル
・設計スキル、実装スキル
が段階的に身につきます。
大切なのは段階的にというところ。
ベースとなる技術があって徐々に上流工程の能力も身につけているSEは話に具体性があって説得力が増したり、見積もりが正確であったりして、実装から離れたとしても技術者としての伸びしろが出てきます。
実際に前の会社では活躍している先輩にも転職で段階的にキャリアアップして来た人たちが大勢いました。
転職を経験していないSEは少数派なのか!?どこに行ったのか!?
コンサルに引き抜かれるか、事業の先進性や自由さ、面白さに惹かれて、今のメガベンチャー(サイバーやGREE、DeNA)に行くSEが多かったようです。。。。ちょうど今のメガベンチャーが採用拡大していた時期が重なったからかもしれません。
・業務知識
などのことから必然的に業務知識を身に着ける必要があります。
業界がハマったりすればその知識を生かしてコンサル業界にも入れる訳ですね。
・組織開発スキル
開発案件が発足したらまずは必要なスキルセットを持った人を集める必要があります。
前からやっているお馴染みの人たちがすぐに集まれば問題ないですが、
大体は集まらないので新規にベンダーに声をかけたり、フリーのエンジニアを面談などをして集めます。
PM、PLは新しい人たちを組織として束ねないとならないので、組織開発スキルやマネジメントスキルが必要になります。
新規開発案件を多く担当しているSEはこれに長けている人たちが多かったです。
SIer総括
SIerのSEも非常に多くのスキルが必要とされます。
しかし、顧客からの受注案件をメインで開発するため、ブラック会社の主人公のように恵まれない仕事になったりすることが稀にあります。
そして、一時期の劣悪な環境が問題になったこともあって福利厚生や労働環境改善への意識が強い会社が多いのも事実です。
退職金もあるでしょう。いいとこだと家賃補助が10万近く出る会社も聞いたことがあります。
高額な研修も望めば行かせてもらえます。
年々給与テーブルも上昇していきます。大手なら40代1000万も見えてきます。
しかし、SIのビジネスの性質上、SIerのエンジニアキャリア開発は非常にアンコントローラブルと言わざるを得ませんが、それでも意識と工夫によって色々なスキルを身に付けることが可能です。
しかし、よく聞くのが二次受け以降のSEなどで「設計書通りのコーダーは設計スキルもなくプログラマじゃない」とか、 いろいろマイナス意見はありますが、
その会社でキャリア開発できなければ今の時代、転職の選択肢があります。 スキルが不足していても、エンジニアは意識と学習で一定のスキルアップはできて企業も評価してくれるので転職の選択肢も取れるでしょう。
webベンチャーで得られるもの
ベンチャーと言えども様々な企業がありますが、ここでは先行投資を行い事業の拡大を目指すweb事業を行なっているベンチャー企業という程で話します。
その中でも、未上場でエクイティファイナンスを行なっているスタートアップであればより特徴は激しくなりますし、上場していればある程度落ち着いていたりと、会社のフェーズによって様々なので転職される方は企業研究を良くやるようにしてください。
・フルスタックなスキル
webベンチャーは基本的に少数精鋭です。
即戦力採用でもポテンシャル採用でもwebベンチャーに入ってしまえば、仕事はたくさんあります。
というのも、一般的には常に事業の急拡大を目指しているため人数に対して仕事量が多いためと言われているからです。
つまり、仕事を任せてもらえばスキルの幅を広げていけるということです。
エンジニアなので基本はフロントエンド、サーバーサイド、インフラなどの技術領域ですが、場合によっては営業だったりマーケティング的なことも望めばやれるチャンスはいくらでもあると思います。
そして、よりアーリーなwebベンチャーになるほど、業務が細分化されていないため幅広く業務が経験できます。
自分が経験した会社でも
などなど、、、数え切れないほどの幅広い業務をエンジニアが日々行なっています。
フロントエンドエンジニアで入社して、そろそろSwiftとか触ってみたいなーなんて全然アリ寄りのアリですw
・事業目線
これも、よりアーリーなwebベンチャーになるほど、エンジニアでも事業へのインパクトを考えて業務に取り組む必要があります。
というか事業会社で有る限り当たり前ですね。
例えば、事業の拡大に合わせて都度フェーズに必要になる機能を最小でリリースします。
初めから全て盛り込んで作り込むと期間がかかり過ぎて、他に作りたい機能があるのにリソースが不足して作れないようなことになるからですね。
そのため、会社の状況や様々なリソースを考えて日々の仕事をしていく必要があります。
強いこだわりがあっても状況によって柔軟に対応していく必要があり、
良く言う完璧主義な人はベンチャーには向かないということも、このためかもしれませんね。
・エンジニアに留まらない自発的なキャリア開発
ベンチャーのエンジニアから経営者やビズデブになる人は以外にも多いです。
極端ですが、ビルゲイツさん、マークザッカーバーグさんはエンジニアでしたが今は経営者です。
日本で有名なのは、岩田聡さん(任天堂)、中島聡さん(windowsの人)、ホリエモンさん(ご存知の通り)、、、まだまだ有名な人はたくさんいますが、起業家、経営者の人も多いですね。
今のスタートアップではエンジニア社長は普通になりましたね。
非エンジニアが企業するときに優秀なエンジニアを共同創設者に選ぶことも多いですが、
共同創設者はエンジニアであると同時に経営者なので、もはやエンジニアの枠に留まっていませんね。
しかしベンチャーでも普通に勤めているだけではこうはなりませんので、「自発的な」と書かせてもらいました。。。。
ベンチャー界隈は色々な面白い話で溢れて非常に刺激的です。
(すみません、完全にベンチャー界隈の回し者ですww)
SIer、webベンチャー比較まとめ
双方から得られることから、フワッとしていますがキャリアを考えると
こんな感じですが、webベンチャーはまだ業界的に進化の途中なので目指せるキャリアはバシって決まっていないのが実情かと思います。
なので、そんな不確定要素にハラハラドキドキすることも含め、向上心を持ちながらカオスを楽しめるエンジニアはベンチャーに向いている人かと個人的には思っています。
自分自身SIerで5年半、ベンチャー界隈で3年くらいですが、正反対の違う世界なので当然向き不向きがあると感じてます。
なので自分の性格や趣向、キャリアの方向性をしっかりと分析した上で判断をすることをオススメします。
近年のプログラミングブームに乗っかってベンチャーでエンジニアになる人は多いですが、果たしてどれくらいの人が数年後にベンチャーにとって価値のある人になっているかは謎です。
さいごに
web転した人のブログなどの「webベンチャーに入って本当によかったー!」のような内容は非常に魅力的に映り、流行りますが、一方で「webベンチャーじゃなくて前のSIの方が自分に向いてたなー」のような話も必ずあります。
基本的にwebベンチャーは少数精鋭なのでoutputする場です。inputする環境は揃っていないことが多いので、スキルを伸ばしたい人でも、今持っているスキルで会社に貢献しつつ、バランス良くスキルを伸ばしていけるように考える必要があります。(普通の企業でも当たり前だと思いますが、それ以上に必要かと思っています)
世の中に転がっている情報には一定値のバイアスが必ずかかっているので、自分の性格や趣向性、目指す方向性の様々な視点から双方を比較して、良いキャリア開発をしていきましょう。
「ナレッジ経営クラウドQast」を作っているany株式会社で取締役CTOやってます。 会社の成長過程やCTO目線のいろんな投稿を続けようと思います!誰かの役に立てればと思いますので、良かったらフォローお願いします!