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古井由吉とゼーバルト
前も書いたが、ある時期からの古井の空襲の描き方は、ゼ―バルト『空襲と文学』以降のドイツの空襲論争に影響を受けたのではないかと私は考えるようになった。無論思いつきである。しかしツイッターでそのようなツイートをしたところ、賛同してくれた方もいたから、同じようなことを思っていた人はやはりそれなりにいたのだと思う。
一方で、「古井はゼ―バルトが侵略と植民地主義、収容所を問題にしたように、暴力を行使する
ローベルト・ヴァルザーのある詩について
本はいつ読んだっていいものだが、やはり季節というものはある。ヴァルザーは秋である。空が高くなってくると、ヴァルザーが読みたくなる。本人が散歩の人だったことも関係あるのかもしれない。ヴァルザーは生涯歩き続けた。ベルリンからスイスに帰るときには、歩いて国境を越えもした。しかしヴァルザーは秋ばかり散歩していたわけではないだろう。ヴァルザーは窓辺の人でもあった。彼のよき理解者のひとりであるカフカと同じよ
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