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インスタInstagramアイコンに使用中の歌川国貞の浮世絵美人を解説!

■はじめに

こんにちは!日ざしの明るさに春の気配を感じるようになりましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、メインで発信しているインスタ@hataettiのアイコンに使用しているこちらの写真↓

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赤枠を拡大します

図1

この浮世絵をご紹介したいと思います!

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歌川国貞(三代豊国)《新吉原京町壱丁目 角海老屋内 八千代》天保4年(1388)頃

■歌川国貞(三代豊国)の出発点は役者絵ではなく美人画だった!

歌川国貞(三代豊国、以下国貞)は、美人画研究会でも数多く取り上げていますが、江戸後期の浮世絵界を代表する存在の浮世絵師です。

浮世絵二大ジャンルの美人絵と役者絵を中心に、戯作の挿絵や源氏絵も手掛け、生涯に万を越える膨大な量の作品を制作しました。

幼い頃から絵を好み、十代半ばで歌川派隆盛の総師・歌川豊国に入門し、天保15年(1844)には師「豊国」の名を襲名しました。

私がかつて執筆した論文

畑江麻里「ボストン美術館蔵ビゲローコレクションにおける歌川国貞(三代豊国)の浮世絵 : 役者絵の数量的分析および歌舞伎番付との符合調査から浮かび上がるウィリアム・スタージス・ビゲローの蒐集動機」『Lotus 日本フェノロサ学会機関誌 』37号 pp69-88 2017年

でも取り上げたように、国貞は役者絵の大御所として、第一線で活躍しましたが、彼の画業の変遷を辿ってみると、その出発点は、美人画(当時は、美人画と書いて「びじんゑ」、以下美人画)にあります。

画業のはじめとなる文化4年(1807)頃から美人画を描き、天保期(1830~44)には国貞がその人気を独占します。

今回取り上げるのは、この天保期に国貞が描いた美人画のうちの一作です。


着物の美しさが国貞美人の見どころ!《新吉原京町壱丁目 角海老屋内 八千代》

 この作品は、国貞の改印(発行許可の印)の形状と署名の形により、国貞が天保4年(1833)頃に制作したものであることがわかります。

桜の木の下、二人の禿(かむろ 遊女見習いで、遊女の身の回りのお世話などする幼女)を従えて歩いているのは、吉原の花魁です。

多くの髪飾りをつけ、絢爛豪華な衣装をまとった華やかな姿が捉えられています。その衣装の模様は桜や牡丹、水仙などといった季節の花々があしらわれ、帯には龍や雷雲などの模様が緻密に描きこまれている上、10色以上の豪勢な色で表現されています。

吉原の花魁たちのファッションは、当時流行の最先端としてとらえられ、常に江戸の庶民から注目されていました。

 国貞が取り上げたこの花魁は、誰かというと・・画面右上に記されたタイトルを見ると、

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通称「角海老(かどえび)」と呼ばれた妓楼(遊女を置いて、客を遊ばせる店)の「海老屋」に所属する「八千代」であり、八千代に従う禿(かむろ)は、「ふみの」と「たより」という名前であることがわかります。

この浮世絵を最初に見た時、花魁の八千代だけが描かれた一枚絵かな・・と思っていたのですが、ボストン美術館所蔵の作品では、この浮世絵と同様の構図で、同じ角海老の「鴨緑(あいなれ)」と「大井(おおい)」が描かれたものが一続きのシリーズとして紹介されています。

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そのため、花魁・八千代が描かれた浮世絵は、妓楼・角海老の主要な花魁を扱った三枚続、あるいは連作であったことが伺えます。

■「八千代」はどこに記されているか!?

この中の一作として描かれた「八千代」は、天保5年(1834)春に刊行された吉原の案内書『吉原細見』(早稲田大学図書館蔵)でも大きく記されています。

どこに「八千代」が書かれているかわかりますか?

天保5 角えび 

こちらをご覧いただき、

図3

拡大すると、

図4

こちらに記されています!!

順位は、「鴨緑」「大井」には劣るものの、(No1が鴨緑、No2が大井)「八千代」は、妓楼・角海老の著名な花魁17名のうちの一人であったことがわかります。

※花魁の両下あたりに小さく文字が書かれていますが、これは花魁に従う、前述の禿(かむろ)の名前です

■おわりに

 国貞が描く美人は、江戸後期の彫りと摺りの高度な技法が使われているのも特徴です。まさに、この浮世絵には、彫り・摺りにおける当時の最高峰の技術が駆使されていて、極彩色の着物には目を見張る美しさがあります。

今回は、国貞の浮世絵を紹介しましたが、他にも当時の文化風俗や着物の美しさを楽しめる作品は数多くあるので、私が主催する美人画研究会をはじめインスタ@hataettiを中心に、徐々に発信していきたいと思います。

お気軽に、フォローして頂ければ幸いです。

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◆2022年夏頃
フランスのテレビ局"ARTE"出演

シリーズで放映している
"Invitation au Voyage" (邦題 : 旅への誘い)
歌川広重特集

I will appear on the French TV Arte this summer.

※こちらの番組は、フランス語のみで日本では放映されませんが、
取材された浮世絵を
「第3回 畑江麻里の初心者でも楽しめる浮世絵講座」
でも紹介したいと考えています。

4月29日か5月下旬頃を検討中です!

お問合せなどありましたらお気軽にコメントなど下さい〜

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