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生活を豊かにするセルフメディケーションとは?

困ったときの相談先を確保することも含めて、薬を上手に活用することではないでしょうか。

「その病気、市販薬で治せます」という本が発売されるという告知が、Twitterのタイムラインに流れてきました。

これ、ちょっと嬉しかったんですね。
市販薬が題材であること。市販薬の販売を専門に活躍している薬剤師が一般向けに書いた書籍であること。医師が一般向けに執筆した書籍は多数ありますが、薬剤師が執筆した書籍はまだまだ少ない印象です。そして、誰もが手に取りやすい文庫本であること。すごいチャレンジだと思います。

本のタイトルも、わかりやすくインパクトがあります。

そう、市販薬はもっと上手に使われて欲しい。市販薬だろうが、医療用医薬品だろうが、薬には適切な使い方があって、それは専門家から助言を得て使うものということに変わりはないのです。

本書のテーマは「実は市販薬はすごい!」です。(中略)市販薬は上手に活用すれば日々の生活が快適なものに変わります。(4ページ)

私は、学生時代に都心の小さな薬局でアルバイトをした経験がきっかけで、市販薬を扱う大手ドラックストアに就職し、その後に病院、保険薬局にフィールドを移しました。市販薬の仕事が嫌いだった訳ではないんです。むしろ大好きで、それは今の保険薬局の仕事に生かされています。アルバイトをしていたときも、今も変わらず思うのは、薬局は生活の匂いが届く場所にあるということ。

都心の薬局ではサラリーマンの仕事終わりの時間帯に混雑があり、ドリンク剤を買い求めたり、寒い時期なら風邪薬を求める人が来局していました。現在、私が勤務する中山間地の薬局では、農作業の合間に処方箋を持ちこんだり、夕方子供さんが怪我をしてどうしたらいい?という駆け込み相談があったり、その土地土地の生活の中に薬局があるんだなあと実感しています。

薬を上手に使って日々の生活を快適なものにしてほしいという思いは、薬局に勤務する薬剤師なら誰もが感じてることではないでしょうか。

本書は、OTC(市販薬、大衆薬)業界に勤務する薬剤師である作者が、広い視点で読者の役に立つ話題をチョイスしています。薬剤師目線で注目したのは、第6章「最強の薬箱」作りの罠と注意点の項ですが、ゆるい話題が好きな一個人としては、第8章市販薬2・0「セルフメディケーション」の未来の項がグッときました。ドラックストア発のPB品について書かれていましたが、これを販売する側にいたときは、メーカー品より安っぽい気がして勧めにくいなあと思っていました。若気の至りですね。今では、PB品は質の良いものを求めやすい値段で販売していると理解した上で購入できるようになりました。メーカーがTwitterやゆるキャラをどれだけ活用しているか、ということも掘り下げていました。そうきたか!視野が広いなあ!と感心しながら読み進めました。昔、昼のワイドショーが放送されると、午後から特定の商品が売れ続けることがあったなぁ、○○のCMのお薬ください、と相談されることもあったなぁと記憶が次々と蘇りました。

今、泌尿器科の患者さんと多く関わっていますが、CMで流れているあの漢方薬はどうなのか?という相談が一時多かったです。地方ならではの、配置薬業者から勧められたビタミン剤や栄養剤を買ったから飲んでいるけど大丈夫か?という相談もあります。CM、広告のわかりやすさを上回る説明をするにはどうしたらいいのかと自問する日々です。

他にも、「バファリン」と「イブ」は何が違うのか?人には聞けない「あの薬」毎日を元気に乗り切るためになど、ドラックストアでお客さんの相談に乗っていたころを思い出すようなタイトルばかりで構成されています。

専門家に物事を相談すると、たくさんのアドバイスをもらうことができます。作者のようなスーパーな薬剤師ばかりではないかもしれませんが、読者が暮らす街の薬局にいる薬剤師に相談すると、こんな感じで丁寧に教えてもらえるかもしれませんよ!という本でした。ぜひ、ご一読を。



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