見出し画像

試行の授業デザイン①|中3社会科公民編

勤務校でのとある事情により、2学期から授業を受け持つことになりました。
中3社会科公民の授業です。
私はこれまでずっと小学校教員でして、主免許はもちろん小学校。
副免許は中学・高校の理科です。

免許外申請という手続きを教育委員会に行うことで、専門外の私でも社会科を教えることができます。

あくまで、手続き上、可能になったというだけで、専門外には違いありませんが、素人なりに、社会科の授業について、考えてみました。

今回の記事は、授業デザインについて、頭の中で描いていることを書き出してみました。

1コマ50分の授業を次の流れで組み立てます。

1.ガイダンスタイム(5分)

授業の幕開けは、方向づけから

①単元の中での現在地を確認する

この記事では詳しく書きませんが、単元ごとに計画表を事前に準備しておきます。

といっても、教科書に探求課題が書かれているので、それをそのまま利用し、この単元を何時間で学習するのか?1単位時間の目標は何なのか?
といったことを一覧表にしてあらかじめ子どもたちと共有しておくということです。

例えば、東京書籍「新しい社会 公民」
第1章 現代社会と私たち
であれば、

探究課題:持続可能な社会の実現に向けて、私たちには何ができるのでしょうか。

ということを13時間で学習します。

授業の開始時に、単元計画表のどの部分を学習するのかという、現在地を確認しておきます。

②授業の見通しを持たせる(課題の設定/確認)

このパートでは、「この時間にこんなこと学ぶよ」「この1時間でこんな力がつくよ」というような1時間の見通しをもたせることを大事にします。

使用している教科書を見てみると、1時間あたりの課題がきちんと明示されています。
それをそのまま使います。

たとえば、1節 現代社会の特色と私たち
であれば、1時間目の学習課題として

学習課題:「持続可能な社会」とはどのような考えに基づいているでしょうか?

とあります。これをそのまま使ってしまうのです。

この時間の内容についての目標も、実は教科書にちゃんと書いてあります。

トライ:持続可能な社会の実現に必要な態度について、「社会参画」という語句を使って、説明できる

これも子どもたちときちんと確認しておきます。
ゴールを示しておくことで、授業の見通しがはっきりとします。

小学校教員時代に社会を教えている時には、前振りに少し時間をかけて、課題を子どもたちと一緒に作り出していくことを意識していましたが、今回は、ここは、ズバッと最初に出してしまおうかと。
先生のファシリがなくっても、自分一人で学習できるようになってほしいというねらいがあります。

③態度目標の確認

内容目標とは別に、態度目標もあらかじめ示しておきます。
ここは、基本的には毎時間同じものになり、授業での学び方について目指すべき姿を示すことになります。

・しゃべる
・質問する
・説明する
・動く
・チームで協力する
・チームに貢献する

これらの態度目標は、小林昭文授業改善ゼミで学んだものです。主体的・対話的な学びを目指すためのプロセスとして重要な目標となります。

④ファーストインプレッション/最初の考え

学習課題:「持続可能な社会」とはどのような考えに基づいているか?
に対する、自分の考えをまずは、書いてみます。

まだ学習前なのだから、当然「・・・・。」という子がいるでしょう。
実生活につながる公民という教科の特質から、ニュースやSNSから関心をもっていた生徒は、なんとなくこう思うと考えられる生徒もいるでしょう。
ほんのちょっとでも思ったこと程度でいいので、書き留めておきます。
まわりの人と紹介し合って、「○○さんって、こんなこと考えてたのか_。」と、この1時間のモチベーションにつながれば、なおオッケー。

2.インプットタイム|知識の伝授(15分)

脳のスポンジに染み込ませる

課題に対する自分の考えを整理していく、深めていくために必要な知識を先生の方から伝授する時間です。

まずは、教科書をざっと読ませます。
教科書を読めるようになれば、あらかたのことが分かるんだ、ということを分かってほしいのです。
教科書を読み慣れることで、このことはここに書いてあったなぁと、頭の中にタグづけし、忘れても、教科書にもどれば大丈夫という学びの安心感にもなります。

その後、私の方で、生徒たちに質問しながら、キーポイントについてまとめ、記憶の強化を図ります。

この時間でしたら、
・「持続可能性」の定義
・持続可能な社会のために解決すべき課題あれこれ
・「社会参画」とは?
これらを長くても10分以内に収めれるよう、あらかじめスライドを用意しておきます。このスライドは、データか紙で配付できるようにしておきます。

3.アウトプットタイム|知識の活用(25分)

対話を通して学びを促進

インプットされたものを使って、学習課題:「持続可能な社会」とはどのような考えに基づいているか?についての考えを深めるパートとなります。
このパートでは、次のような思考が起こっていると思われます。

①知識の再構成
・持続可能な社会とは、現在の世代と将来の世代の幸福を両立させることで、
・そのための課題には、環境・エネルギー問題、人権・平和問題、伝統・文化問題、防災・安全問題、情報・技術問題などがあって、
・清掃活動や伝統文化の継承、ボランティア、平和大使、アプリ制作などの社会参画をおこなっている中学生もいるんだぁ。

②グループでの対話による多様な価値観の存在を知ることによる再考
・じゃあ、私たちにはどんなことができそうか、考えてみると・・・・・
・へぇ、○○さんは、そんなことを考えているんだぁ。
・じゃぁ、私ならこういうことができそうかなぁ。

③目標達成に向かうための思考
・考えたことを「社会参画」使ってまとめると・・・・
・○○さんは、私の考えてにてるから、参考にしてみたいな・・・・
・△△さんは、私とは少し違うけど、まとめ方は、とっても参考になるな・・・・
・説明してみたけど、こここはもっとこうした方が伝わるんだなぁ。

こうした思考を引き出すためのツールとしてICTを活用します。
例えば、この時間は、Googleのジャムボードを使って、グループでウェビングをさせてみます。

⑴中央に「持続可能な社会」と書かれたシートを準備
⑵グループで協働して、まわりに上記①のキーワードを付箋に書いて配置
⑶さらにそのまわりに上記②で考えたキーワードを付箋に書いて配置
⑷別のシートに上記③で考えたことを付箋に書く。(他の人の考えも常に見られる)
⑸⑷に書いたことについて補足も加えながら(書いていることをそのまま読むのではない)グループメンバーに話す。⑶までのボードを使いながら話せるとグッド。

このボードは、下校までに印刷して配付し、家でノートに貼って復習できるようにします。

4.リフレクションタイム|学びの振り返りを(5分)

学びを振り返って見て!

このパートでは、学習内容の理解度確認、内容目標と態度目標についての振り返りを行います。

①学習内容の理解度確認

この時間のこれだけは押さえておきたい内容について、理解度を測るための確認テストをします。
Google formを使えば、解答から答え合わせまで短時間で行うことができます。

②内容目標と態度目標についての振り返り

デジタルポートフォリ化したいので、スプレッドシートを準備し、共有しておきます。

内容目標(C):持続可能な社会の実現に必要な態度について、「社会参画」という語句を使って、説明できる
態度目標(P):しゃべる/質問する/説明する/動く/チームで協力する/チームに貢献する

ContentとProcessそれぞれに点数(10点満点)と記述による自己評価をします。

Cの記述は、学習内容について、どんなことがわかって、どんなことがよくわからなかったか、疑問点はないか、どんなことをさらに追究してみたいかなど内容についての振り返りが書かれることになります。

ここで出た疑問点の解決や、さらなる追究については、家庭学習で行うように勧めておくことで、授業とリンクした家庭学習へと向かわせることができそうです。

Pの記述は、どういうことを意識できたか、できなかったか、次回に活かしたいことはないか、など学習姿勢における振り返りが書かれることになります。

これが単元ごとにシートを作成し、記述していくことで、学びの蓄積が可視化されるという仕組みにしておきます。

さらに、このスプレッドシートを共有して、他者からのコメントをもらうことで、他者評価にもつながるなぁと考えていますが、時間的に余裕が・・・・。

最後の最後に、私からもContentとProcessについての振り返りを簡単にして、授業を終えます。

まとめ|ContentよりもProcessを

この授業デザインはまだまだ試行段階

ひょんなことから中3公民を授業することになったため、これまで学んできたことを自分の授業に反映させようと、考えてみたことを書いてみました。

学習内容(コンテンツ)と出会わせ、教科の本質(現代社会の見方・考え方を働かせること)を根底にした学びの質を保障することはもちろんのこととして、それよりも重視したかったのは、学び方(プロセス)

今回の記事では、例として学習内容にも触れていますが、どの単元、学習内容でも共通の学び方として、子どもたちに示せるように考えてみたことを書いています。

もちろん、専門外の教科、まだ試していない授業デザイン。やってみないとわからないところがたくさん。
でも、授業の全体像を俯瞰して見られる設計図がなければ、振り返りも改良もできません。

だから、「試行の授業デザイン」としています。
②の段階で大幅に変わっていたりして・・・・(^^;

ここから、こう変化したのがコチラ↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?