試行の授業デザイン②|中3社会科公民編
勤務校でのとある事情により、2学期から中3社会科公民の授業を受け持つことになりました。
なにしろ専門外ですから、いろいろ策を練って挑まねばと、夏休みの間に考えた授業デザインがこちら。
2学期がスタートして10日あまり。授業も5時間ほど進みました。
授業してみると、考えていた授業デザインがうまくいったところと、うまくいかなかったところ、そうした違和感から修正が必要になってきました。
そこで、試行の授業デザイン②について考えてみることにします。
1.ガイダンスタイム(5分)
①単元の中での現在地を確認する
②授業の見通しを持たせる(課題の設定/確認)
現在地を確認するとは、10数時間ある単元の中での、今日のこの1時間はどこにあるのか?前後のつながりはどうなっているのか?ということを毎時間授業の開始時に確認しておくということです。
簡単なスライドでそれを示してきました。
「今、みんなは、第1章を学習していて、この章の探究課題はこれだったね。そして、その2節目・・・・」と簡単に確認するだけです。
これだと、学習する順番はわかるけど、現在地を俯瞰(ふかん)するようには見えていません。
もっと前後も現在地もいっぺんに見通せるようなもの、まさに地図的な・・・・、そうだ!
これで、いいじゃん。
実は、この学びの地図は、単元の一番最初に配付して、「この単元はこんなふうに進むよ」とみんなで確認していたものです。
これを、授業の最初に確認すればいいじゃん・・・・。
せっかく作っていた学びの地図をぜんぜん活かせてなかった・・・・。
③態度目標の確認
授業での学び方について示した態度目標は、次の6つ。
・しゃべる
・質問する
・説明する
・動く
・チームで協力する
・チームに貢献する
これらの態度目標は、小林昭文授業改善ゼミで学んだものです。主体的・対話的な学びを目指すためのプロセスとして重要な目標となります。
今年、勤務校では、「学びの共同体」という理念をもとに、学校づくりを行なっているところです。
その中で大切にされている学び方の中に、意図的に構成された3〜4人のグループ学習が設定されています。
基本的には、この小グループでの課題解決が推奨されています。
上記の態度目標の中の「動く」というのは、グループの壁を超えて「動く」ことを推奨していますから、ここのところが少し合わないのです。
とはいえ、子どもたちには、「グループ内でどうしてもわからないことがあれば、お隣に情報収集に行って、グループで共有してもいいよ。」と勧めています。
④ファーストインプレッション/最初の考え
課題を確認した後に、学習前の最初の考えをノートにメモしておきます。
すぐに、グループ内で対話をします。
公民の授業の課題は、
・少子高齢化の進行で、私たちの生活や社会はどのように変化してきているのでしょうか。
・日本の伝統文化は、私たちの生活やものの見方、考え方にどのような影響を与えているのでしょうか。
・私たちの社会生活において、なぜ決まりが必要なのでしょうか。
というような、これまでの経験の中でもなんとなく頭に思い描きやすいようなものが多く、ファーストインプレッションでも、まったく思いもしないというようなことや大きく的を外すようなことはありません。
短い対話のあと、「どんな話が出ましたか?」など拾ってやりたいなぁと思う気持ちをおさえて、アウトプットに時間を取るために、先に進めます。
2.インプットタイム|知識の伝授(15分)
まずは、教科書をざっと読ませます。
教科書を読めば、大体のことがわかるんだということがわかります。
特に、公民の場合は、社会とはいえども、覚えなければならない事項は、他の分野と比べてずいぶんと少ない(社会科の先生に行ったら怒られるかも(^^;?)ので、スラスラっと読めてしまいます。ちょっとした新書を読む感じです。
そういったことを子どもたちにも感じてもらいたいと思っています。
これから、高校・大学へ進学、社会へ出た後の勉強の中心となるのは、専門書を読みこなす力だと思います。
読書となれば、マーカーを入れたり、メモったり、付せんをつけたり・・・・自分に合ったいろんな方法で、読みこなそうとするはずです。
こういったことを子どもたちにも身につけてもらいたいとも思っています。
「分からなくなった」「あれ?どうだったけ?」は教科書に戻ってくることが課題解決の第一歩となればいいなぁ。
これまで、子どもたちは、懇切丁寧に教師から解説してもらいながら教科書を読み進めてきたと思われます。
それを今は、教科書を自力で読むことを任せられています。
生徒からすれば、不親切に感じ、不安を感じることがあるかもしれません。
だからといって、また教師が解説しながら・・・だといつまでたっても主体的に教科書を使いこなせるようにはならないということも考えられます。
コンテンツ(内容)よりもプロセス(過程)を大事にしたい。
そこで、教科書を読んだ後に、ミニ対話を入れるようにします。
教科書に書いてあるキーワードを確認したり、読んでも分からなかったことを尋ねたりというような対話をペアで行うようにします。
一人での学びを、ペアでの対話によって、広げたり深めたりできるということを実践を通して学んでもらえるのでは?と考えています。
この後、私の方で、上のようなスライドを使って、キーポイントについて短く解説していきます。
このスライドはプリントアウトして、あらかじめ配っておくので、ノートにはって、そこにメモを書き込むことを推奨しています。
ここでもやっぱり、
時間にして5〜7分くらいだと思っていますが(本当はもっと長くなってるのかな(^^;?)、教科書に書いてあった、キーワードを3つにまとめて、解説し、学び残し、学び逃しのないようにしています。
が、あくびをこらえながら眠たそうに聞いている人がいます。
そう、この時間は子どもたちにとって、とっても受身な時間になってしまっています。
そこで、スライド1枚ずつに、やっぱりペアでのミニ対話を取り入れてみることにします。わかったこと、疑問点について。
しゃべらなければならないように仕組むことで、より主体的に聞くのではないかと考えます。
ここでもやっぱり、コンテンツ(内容)にささっていくというよりは、プロセス(過程)に注目していくようにします。
3.アウトプットタイム|知識の活用(25分)
試行のデザイン①では、ここのパートでは、こんなことを考えていました。
①知識の再構成
→インプットしたことを使って
②グループでの対話による多様な価値観の存在を知ることによる再考
→しゃべりながら、友達の考えを知って、自分の考えを広めたり
③目標達成に向かうための思考
→学習課題を解決するための考えを作り出す。
実際には、下のようなスライドを一人ずつ作成します。
グループで「あーだ」「こーだ」しゃべりながら作成してくれればいいなぁと思いましたが、そうはなりませんでした・・・。
自分のスライド作りに没頭している感じ。
それはそれで、悪いわけではないのですが、私が意図している対話を通しての学びの広がりだったり、深まりだったりが得られていないのです。
グループ学習の終わりに、グループ内でのプレゼンが行われますが、そこでは、言いっぱなしで終わってしまうこともあります(あんまり時間をとってあげられていないから・・・)。
一方、課題によっては、ジャムボードを使った協働学習を仕組むこともあります。
こちらは、それぞれが役割分担されたことを調べたり入力したりする時間はもちろん個人作業になりますが、貼られた付せんを並べ替えたり、関連性を可視化したりといった作業は、どうしても対話をともないます。
私の意図しようとしている、対話によっての学びの広がりや深まりを引き起こしていくには、やっぱりツールの選択は大切だなぁということに今更ながら気付かされます。
4.リフレクションタイム|学びの振り返りを(5分)
このパートでは、学習内容の理解度確認、内容目標と態度目標についての振り返りを行います。
①学習内容の理解度確認
この時間のこれだけは押さえておきたい内容について、理解度を測るための確認テストをします。
Google formを使って回答から答え合わせまで短時間に効率的に行います。
回答し、送信し、スコア表示をすると、正解か不正解かがわかり、あらかじめ作っておいた解説を読むことで、問題のポイントを読み取ることもできます。
しかし、実際にそのような学びが、子どもたちの中に起こっているのか?それは残念ながら確認できていません。
Googleフォームにせず、プリントでやってみたらどうだろう?
私が解答・解説をするのではなく、グループに任せてみたらどうだろう?
間違っていたら、対話によって学びがうまれるのではないだろうか?
なんてことを考えてはいるのですが、フォームよりも時間がかかってしまう・・・。
②内容目標と態度目標についての振り返り
デジタルポートフォリ化したいので、スプレッドシートを準備し、共有しておきます。
こんなふうに、毎時間ふりかえり、記録していきます。
ここまで書いてきたように、やることがもりだくさん。
リフレクションタイムを5分設定しているものの、場合によっては、この5分ですら確保することが難しいこともあって、点数評価だけに終わってしまうことも。
記述欄もいっぺん通りのことだになってしまうことも。
これは明らかに私の授業設計がうまくいっていないということです。
まとめ|違和感にきちんと向き合う
試行のデザイン①を実践してみて、数回の授業を終え、ここまでで感じたいくつかの違和感について、ふりかえってみました。
これまで経験したことのなかった中学校の社会の授業。
専門外の社会の授業。
とはいえ、大切な子どもたち、受験を控えた子どもたちに、失礼な授業をするわけにはいけません。
だからこそ、今の自分がこれまで学んだこと、経験したことをめいっぱい生かして考え抜いた授業デザインで挑んだわけです。
でも、やっぱり、やってみなけりゃ分からない。
やってみたら分かった!をふりかえることで、より良い授業へと進化させていきます。
違和感にしっかり向き合い、改善した試行のデザイン②をまたしばらく実践してみます。
きっとまた新しい違和感にであうことでしょう。
そうしたら、また試行のデザイン③を考えてみます。
了
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