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【働き方】農業は、つぶしがきかない仕事なのか?


「農業、家業の手伝いなんていつでもできる。年取ってからでもできるんだから、やらないほうがいい。」

結婚を機に大好きだった会社を辞め、家族と別れ、見知らぬ土地に飛び込んでまで、これからは農業で頑張るぞー!と鼻息の荒かった当時、他の農家のおじさんに言われてびっくりしたことがこれだ。(かなりショックだった…)その時の自分にとって、農家になる=転職だったし、手伝いという意識ではなかった。しっかりと仕事として責任をもってやっていこうと決意していたのだけれど…。

実際に経験してみていま言えることは、
農業には人を育てる仕組みが無く、ステップアップしている実感が持ちづらいこと。つまり、「キャリアを積む」という意識が持ちにくいということ。だから冒頭の言葉を言われたのかなと感じるのです。

キャリアにならない(と思いがちな)理由3つ。

なぜ農業ってつぶしがきかない職種だと思われるのでしょうか?間違いなく言える理由はこちらです。

■人を育てる仕組みが無い
基本的に家族経営の場合、家族以外の人が入ってくることが少ない(居てもパートさんだけ)。そうなると、いつまでも同じ仕事を同じ人がやることになる。結果として、新しい仕事が生まれないし、家族以外の人に仕事を教える機会もない。

■単調な作業の繰り返しで、何のためにやっているかわからなくなる。
もちろん栽培はとても頭を使うし、試行錯誤が必要なのですが、作業単位で分解していくとすべて単純作業の積み重ね。お客様の顔や業績などの数字が見えないと、それぞれの作業の目的が見えにくい。どうしても慣れてくると単純作業の繰り返しに思えてくるし、スキルが身についている実感がわかない。

■仕事が分化されておらず、ぐちゃぐちゃ
仕事なのか、仕事じゃないのか不明な業務が多い。また、どんな経験・知識が身についたのかが一見わかりにくい。特に、家業の場合、家の仕事(家事、家族行事、地域行事など)と仕事がぐちゃぐちゃなので、ちゃんとお金をもらってやっている仕事なのか、無償労働なのかの境目が曖昧。農家の嫁あるあるだけど、農業=家事 のような意識で、ほぼ無償に近い形で働いていることも多い。そういう女性は、自分が一人の人間としてキャリアを積んでいるという意識を持つことは難しい。

例えば、パートさんにお茶を出す、となったとき、たいていやるのはお嫁さん。もしこれが一般企業で来客にお茶を出すなら「仕事」だと見なされると思うけれど、農家だったら…?こんな感じで、いまいち自分のやっていることを「仕事」として自信を持つことが難しいなあと痛感しています。

前進している感覚を持つために必要なこと3つ

そんな中でも、モチベーションを維持していくには、やっぱり少しでも前進している感覚が必要ですよね。私はなかなかそれが体感できず苦しかった経験があるので、これからはなるべくそういう思いを人にさせたくない。だから、自分も、一緒に働く人も、常に前進している感覚を持って、楽しく農業を続けていけたらと願って、いま意識していることは下記の3つです。

■人を育てるための仕組みづくり
・仕事のマニュアル作成と共有:長年やっていると、自分が仕事を覚え始めたときのことを忘れてしまうもの。ついつい教えようと思っても、できることが当たり前になってしまうとうまく伝えることができなくなります。なので、いつでも誰でも再現可能なように、出来る限り仕事を覚えたらすぐマニュアルを作成してきました。「最初はできないのが当たり前」という当たり前のことを忘れずに、新しい人にもていねいに伝えることを意識しています。
・業務の棚卸:仕事を現場・現場以外ですべて書き出し、どんな仕事があるのかを把握する。その上で、どんな順番で覚えてもらうかを考え、研修のステップを明確化していく。
・目標設定:その人の得意なことや興味のあることに寄り添いつつ、いつまでにどうなっていたいか、何をするか?という目標を設定。確実に前進している感覚を持ってもらう。

■「何のためにやるのか」が見えるようにする。
・例えば、一見単純作業に見える草取りも、その先に何があるのかを考える。お客さんの顔を意識することで、単純作業に思える選果・箱詰め・袋詰めなども、どうやったら手に取ってもらえるか?を考えるきっかけにしていく。また、数字を共有していくことで、それぞれの作業が結果に繋がっていることを理解してもらう。
⇒ただの単純作業ではなく、抽象化していくこと&結果を見えるようにすることが大切。それができれば、どんな仕事にも応用可能なスキルになるはずです。

■現場作業以外の仕事で、それぞれが専門性を持つ(農業×◎◎)
基本的な現場の仕事を覚えることはもちろんですが、農業は現場以外にも色々な仕事がいくらでも創造できます。例えば広報や営業、販売、経営分析などなど。そういういろいろな仕事において、それぞれが専門性を磨き、事業にも貢献できる体制をつくっていけると可能性も広がります。

※ちなみに私はいま、写真やwebマーケティングを勉強しています。農園の魅力を伝えるスキルをもっと高めたいと思っています。


まとめ:めざせ、農業がなりたい職業No.1の未来

以上のことは、「当たり前でしょ?」と思われるかもしれませんが、まだまだできていないと思っています。農業も地域も、いかに人を受け入れ、育てていくか?がとても大切だと感じます。
もちろん、天候などどうしようもないこともありますが、少なくとも自分たちで変えられることもたくさんあります。
誰もが自分の仕事に自信をもって働ける農場を目指して、、、!

※冒頭の画像は、うちの蓮根の田んぼの蓮の花。いま、一番蓮の花が美しい季節です。instagramで日々蓮の花の写真を更新していますので、よかったらご覧くださいまし!


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静岡生まれ、横浜育ち。東京の有機食材会社にて働いた後、2018年に結婚を機に愛知県愛西市で蓮根農家になりました。   実際に農業を経験してみたからこそ感じたリアルな思いや日々のしごとについて更新します。◆田島蓮園⇒https://tajimahasuen.com/

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