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歯的物語#5

入院当日
病室へと案内された。

手首には名前,生年月日,性別,ID,バーコード
病院の管理下に入った。

担当は3人と1人の看護師(1)が教えてくれた。
看護師1村仲さん
看護師2小林さん
看護師3河野さん
(全て仮名)

村仲さんは、
名前まで覚えなくても大丈夫ですけどね
と言ってくれた。

人の名前を覚えれないオーラが出ていたか?
一度の自己紹介ではニックネームでもない限り絶対に覚えられない自信がある自分とっては助かる一言だった。

村仲さんは続けて抜歯後の説明をしてくれる
「友達が1人来たと思ってください」
と言われた。
これは抜歯時から次の日朝まで点滴します。という意味だ。

なんだか楽しげな村仲さんに
創作意欲が掻き立てられた。

部屋にはベッドが4つ
僕を合わせて3人。(抜歯後に4人なってた)
カーテンで基本的に顔を合わす事はないが同部屋の人がいる。
看護師さんとの会話、シーツが擦れる音、咳払い(痰が絡んだ感じ)
まあこれだけで、
向かいはお爺さんである事が分かった。
お隣も歳上だろう。
20後半から30前半くらいだろうか?
(顔は見ていない)
斜め向かいも20後半から30前半っぽい。
(顔は見ていない)

抜歯まではまだ2時間程時間がある。

持ってきた本とスケッチブックを取り出す。
入院と言う微かな非日常を楽しむ為に
スマホを使わずに生活したかった。

お向かいさんのいびきを聞きながら、
この歯的物語の為に
スケッチブックに汚い字で記録を残す。

12時過ぎ
お隣さんとお向かいさんは昼食の時間
部屋には何かの香りと微かな咀嚼音(あまり得意でないからキツかった)
食事の内容は分からないが、リンゴがあるのは間違いない。
シャキッ!

看護師2小林さんに呼ばれた。
小林さんもまたフレンドリーで感じの良い人だった。
「私も親知らずまだなんですよ。横に生えてるから砕かないといけないから迷ってるんですよ」
奇遇にも同じ親知らず状況だった。
「終わったら感想教えてください」
と言われた。
もう1人付いてくれていた看護師さんが
「私はもう抜いたけど、痛かった」
これから抜歯する人間に対して痛かったと宣告してきた。
この2人友達だっけ?ってなるくらいフレンドリーで術前とは思えない会話が広がった。

術中、術後のお話は#6へ続く。

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