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平日帰宅時の『電車ラジオ』

「さぁ、始まりました。私の気分次第で始まる不定期の『電車ラジオ』の時間です。自宅の最寄り駅までお付き合いくださいね!」

「このラジオは、勝手にゲストをお迎えしてトークを繰り広げるラジオです。さて、今日のゲストは誰かな?…決めました!この方です!」
「はい、こんにちは!突然ゲストにされたおじさんです。」
「こんにちは。今回は、仕事に疲れて眠っているおじさんをゲストに進行してまいります。では、よろしくお願いしますね。」


「おじさんは、なにか特技はあるんですか?」
「実は、高校時代にバンドを組んで文化祭に出たことがあるんですよ。そこで、ギターを担当していたこともあってギターが弾けます!」
「えぇ!すごいですね。例えば、どんな曲を弾くんですか?」
「私は最近の曲をよく聴くもので、アレンジしながら引くことが多いですね。」
「なるほど。では、そんなおじさんにも聴いていただきたい1曲があるので聴いていただきましょう!」
イヤホンを装着した後に、私は1番好きな歌を流す。ガチ最高!


「それでは、お便りのコーナーに参りましょう。ペンネーム、おじさんに肩を貸している人からのお便りです。おじさん、何か言うことあるんじゃないですか?」
「ぐっすりと眠っている私を、何も言わず受け止めてくださってありがとうございます。」
「はい、では読みますね。」

『電車ラジオを聴き始めて少し温和になりました。いつも癒されております。早速質問なのですが、いつもゲストを勝手に決めておりますが、どういった基準で選ばれているのでしょうか。わたしは、4回ほど同じ車両にいるのですが、1回も呼ばれたことがありません。』

「とのことです。ちなみに、おじさんはなぜ呼ばれたんだと思います?」
「やはり、目を合わせないで会話が勝手にできる人が呼ばれやすいんだと思います。だから私を選んだのではないでしょうか?」
「ん~。少し違うかな。電車って窓の風景を楽しんでいる風な感じを出さないと気恥ずかしいですよ。会話が出来やすいとか関係はなくて、少し目をそらせば風景が見える感じであれば誰でもOKなんです。おじさんの場合は、眠っているという点とニヤニヤと楽しそうに寝ているので、今回お呼びしました。」
「恥ずかしいですけど、幸せそうと思われるのは悪くないですね。」
「でしょ?なので、おじさんに肩を貸している人さんも、立ってドアからの風景を眺めていると選ばれるかもしれませんね。」


「というわけで、おじさんはもうそろそろお時間なのではないのでしょうか?」
次は、○○駅。○○駅。
アナウンスにハッ!となったおじさんは、隣の人に謝りながら右側前のドアへ駆けていった。
「急いでいったしまったので、お別れの挨拶ができませんでした。おじさん、今日はありがとうございました。ここから、一人で進行させていただきます。あと10分ほどですが、最後までお付き合いください。」


「・・・はい。というわけで、降りる駅まで1分ほどになってしまいました。ここまで聴いてくださった方ありがとうございます!また、平日の帰宅時にお会いしましょう!お相手は、私でした!ばいばーい!」

さて、今度はどんな放送をしようかな。
え?内容が分からないって?そりゃそうだよ。私がお送りする私のためのラジオだもん。

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