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黙々と、耐える

山に登っていると、どうにもこうにも体が言うことを聞かなくなる時がある。

下山するのが一番いいのだけど、エスケープルートがないときは進むしかない。

道迷いしていないとき、初めての道ではないとき、登山道が整備されているときは、わたしは進む。

でも登りになると、立ち止まりたくなるほど足が上がらず、息はあがる。

そういうときは足の長さ分でいいから少しずつ進む。半歩分でもいい。

たとえば、タン、タン、タンと一秒に20cm進めば、十秒で2m 。1分で12m進める。10分で120m。一秒に10cm でも20分で120mに届く。

進めさえすれば、30分でだいたいの登りは越えられる。

動き続けなければゼロ。体も冷えていく。

わたしは生きるためにと言い聞かせ、足が動くならば歩き続ける。

カメでもカタツムリでもいい。

でも、転倒が多くなったりと、歩き続けることに命の危険を感じたならば、迷わずビバークします。

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