表紙の言葉

「文藝春秋」表紙の言葉|松村公嗣

「文藝春秋」表紙の言葉|松村公嗣

「すいか」 輸入され、改良の末に今のすいかがあります。自然界では究極の造形に近いこの球体が日本人には馴染み深く、摩訶不思議な模様は二つと同じ物がありません。張りのある皮からは想像できぬ反対色の果肉は瑞々しく、格別の味わいの中に涙形の種を隠しています。しかし、カットする前の姿を一度絵にしてみたかったのです。暑い日にはキンキンに冷やされた旬を取り込み、免疫力をつけたいです。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「# みんなの文藝春秋」で、文藝春秋

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「文藝春秋」表紙の言葉|松村公嗣

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「薔薇」 少し暑い日が増え出すと、いよいよ咲き始めます。薔薇園をあちらこちら見て歩けば、あっという間に一日が過ぎます。この香りに魅せられて、精油を抽出する技術が生まれました。一滴を作るためには数十本の花が必要だそうです。この芳しさには人それぞれ記憶が詰まっており、刺のある美しい花の姿を思い浮かべることでしょう。今年はどう咲くのかを想像して楽しむことにしました。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「# みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載され

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「文藝春秋」表紙の言葉|松村公嗣

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「菜の花」 「菜の花畠に入日薄れ、見渡す山の端、霞ふかし」唱歌、「朧月夜」の美しい歌詞ですが、幼い頃は意味をよく理解できませんでした。流れていった季節の中で思い出す景色が色濃くなりました。この曲の素晴らしさを噛み締めながら、年をとったと感じます。 小さな花弁の描写には気合いが必要です。途中、バランスが崩れましたが、初めのイメージに立ち返ることで、ようやく仕上がりました。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「# みんなの文藝春秋」で、文藝春

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「文藝春秋」表紙の言葉|松村公嗣

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「白川郷」  これまで何度も訪れましたが、今では随分観光地化されました。しかし、自然と調和し続けている姿がそこにはあります。高速道路も開通して文明的な環境にはなれど、山村で暮らす人々にとって大切なことは、不変の知恵と生きることです。本来我々は自然の中にある物を利用して生活していました。文明に憧れ故郷を離れても、雪の庵から立ちのぼる煙に強く引き戻されるものがあります。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載

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「文藝春秋」表紙の言葉――松村公嗣【全文公開】

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「雪椿」  かれこれ20年近く前のスケッチから描きおこしました。月日が経てど季節毎に思い出すことは変わらないものです。金沢の旅館で見た椿で、雪深いこの地域でも耐える強靭な枝と花が魅力的です。早咲きは秋頃から咲き始め、たくさんの蕾で春まで長く楽しませてくれます。その生命力から邪気を払う縁起の良い花とされています。越冬する姿は忍耐力そのもので、自然体の小気味良い造形です。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲

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「雪の大仏殿」  私にとって東大寺は幼少期から何度も訪れていた、とても身近な場所です。お堂の中にはいつも「だいぶっさん」が休んでおられます。当時、この巨大な構造物に鍍金するためには大量の金と水銀が必要とされました。大陸から伝わる技術を最大に活かした輝きは今でも保たれています。  新春、視界をまだらに遮るほどの雪が降りました。近くて遠い場所であることをより色濃くさせました。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春

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「文藝春秋」の表紙画を手掛ける日本画家の松村公嗣さんが絵に込めた想いを明かします。 「赤富士」 高校の夏休み、山中湖近くに住んでいた叔父の家に遊びに行きました。午前4時「早く起きて見に来なさい!」という声で目を覚まし、朝日で真っ赤に染まった富士山を初めて見ました。その景色に、美しさへの感動よりも畏怖の念を抱きました。まるで自分がどれだけちっぽけな存在なのかを問われ、叱咤されている気持ちでした。その時の印象が強く、何度描いてもあの大きな力が押し寄せます。 【編集部よりお知

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「文藝春秋」の表紙画を手掛ける日本画家の松村公嗣さんが絵に込めた想いを明かします。 「トウモロコシ」  髭のように長く伸びた細い繊維と乾いた葉にくるまれた、甘く美味しい野菜です。こうして直接食べる品種は極一部で、ほとんどが姿を変えて普段の生活に溶け込んでいる面白い植物です。日本全国に普及したのは明治時代だそうです。コロンブスが新大陸から持ち帰り、後に南蛮船で運ばれなければ今の生活は全く違ったことでしょう。歴史とは出会いの積み重ねです。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は

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「飛翔」  釧路湿原には毎年取材で通っていた時期があります。耳がちぎれそうな極寒の地で、丹頂鶴は毎年越冬の準備のために釧路地域に集まります。白と黒の単純な色調の大きな翼を羽ばたかせ、丹色(にいろ)の頭を器用に動かしていました。一度夫婦になると子育ては2羽で懸命に行い、一生添い遂げると言われております。その環境を守る活動が継続されており、今でも存在する絶滅危惧種です。 【編集部よりお知らせ】 文藝春秋は、皆さんの投稿を募集しています。「#みんなの文藝春秋」で、文藝春秋に掲載

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