文藝春秋2020年7月号

スターは楽し 吉永小百合|芝山幹郎

吉永小百合 「ふん」に託された陰翳 吉永小百合のことを書くとは思っていなかった。この人の魅力はよくわからない、嫌いだと思ったことはないが、結局は縁のない人だ。そんな気持を、私はずっと抱きつづけていた。 そんなわけだから、世間が騒いでも、気分は醒めたままだ。サユリストという流行語…

世界経済の革命児 張一鳴|大西康之

ジャーナリストの大西康之さんが、世界で活躍する“破格の経営者たち”を描く人物評伝シリーズ。今月紹介するのは、張一鳴(Zhang Yiming、バイトダンス創業者CEO)です。 張一鳴 世界最大のユニコーンを率いる中国経済のニュースター 物心ついた時からインターネットが身近にあるミレニアル世代。…

数字の科学 曽呂利新左衛門が10日目にもらう米粒の数

サイエンスライターの佐藤健太郎氏が世の中に存在する様々な「数字」のヒミツを分析します。 今回の数字:曽呂利新左衛門が10日目にもらう米粒の数 「曽呂利新左衛門の米」という逸話がある。彼は、豊臣秀吉から褒美を与えられることになり、「米を1日目に1粒、2日目に2粒、3日目には4粒と毎日倍々に…

飯間浩明の日本語探偵【し】「恣意的」ということば どう理解すればいいのか

国語辞典編纂者の飯間浩明さんが“日本語のフシギ”を解き明かしていくコラムです。 【し】「恣意的」ということば どう理解すればいいのか 検察庁法の改正案が議論されていた2020年5月、ネット上で「恣意的」ということばの検索頻度が急上昇しました。法案では、検察幹部の定年を、政府が認めた場…

映画館は社会のインフラだ|浅井隆

文・浅井隆(アップリンク代表) アップリンクは、映画を劇場に届ける映画配給事業と、映画を上映する映画館を運営する映画興行事業を主におこなっている会社だ。 武漢での新型コロナ感染が報じられ、3月末には小池都知事が都民に週末の外出自粛を呼びかけたので、まず3月28、29日の週末を休館した。…

民主主義と透明感|多和田葉子

文・多和田葉子(作家) 3月の第1週までは毎週旅に出る生活を送っていた。3月8日にニューヨークからベルリンの自宅に戻った時トランプ大統領はまだ、「アメリカにはコロナ危機は訪れない」と断言していた。ベルリンではそのあと2週間くらいの間にどんどん規制が決まって、あっという間にシャットダウ…

学者にできることはまだあるかい|與那覇潤

文・與那覇潤(元・公立大学准教授) コロナ禍にすっかり埋もれてしまったが、5月にDVDが発売された『天気の子』というアニメがある。昨年の一番の話題作で、実際に大ヒットしたから、ご覧になった方も多いだろう。2016年の『君の名は。』に続く、新海誠監督の劇場映画である。 『君の名は。』は、誰…

ガラケー派のオンライン|柳家喬太郎

文・柳家喬太郎(落語家) PCはおろかスマホも使いこなせない、僕は今どき恥ずかしいくらいのアナログ派で、だから電車の中などで、今だにガラケーを使っている人を見かけると、同志に出会えたようで嬉しくなる。 そんな自分が今はオンラインで落語を喋っているのだから、なんとも皮肉なものである。…

静かな生活|原田マハ

文・原田マハ(作家) 5月11日、フランス全土に発出されていた「外出禁止令」が解除された。 3月、新型コロナウィルスの感染拡大の嵐が世界中に吹き荒れた結果、フランスのみならず、各国が都市封鎖=ロックダウンに踏み切ってからほぼ2ヶ月。フランスに先立って、ヨーロッパで最も深刻なコロナ禍に…

ゲーム・チェンジャー|鈴木沓子

文・鈴木沓子(ライター・翻訳者) ストリートアーティストなのに、ストリートに出られない――。 新型コロナウイルスの影響で多くの事業が深刻な打撃を受けているが、覆面アーティストのバンクシーも例外ではない。バスキアやキース・ヘリングのようにストリート発のアーティストは多いが、バンクシ…