文藝春秋2020年11月号

スターは楽し 三國連太郎|芝山幹郎

スターは楽し 三國連太郎|芝山幹郎

三國連太郎 写真:共同通信社 快楽の記憶を上書きする人 1960年代の後半、私が青二才だったころ、三國連太郎は「狂気と妖怪」の代名詞で、「悪徳」や「猛毒」の権化だった。野性や謎や色気という言葉を口にするたび、彼の名はいつも引合いに出された。『飢餓海峡』、『にっぽん泥棒物語』(ともに1965)、『神々の深き欲望』(1968)といった濃密な作品が立て続けに公開された時期のことだ。 三國連太郎は、若者のあこがれだった。畏怖の対象でもあり、少し離れた場所から見ていたい年長者

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英エコノミスト誌記者「イラン幽囚記」(3)

英エコノミスト誌記者「イラン幽囚記」(3)

2019年7月、ニコラス・ペルハムは、記者としては珍しくイランへの入国ビザを取得することに成功した。ところが出張を終え帰国しようとしていた当日、当局に拘束された。本稿は、拘束時の貴重な記録である。第3回では、タンカー拿捕で英国との緊張が高まるなかで、「人質」として活用される不安に襲われた時の様子を回顧する。/文・ニコラス・ペルハム(英エコノミスト誌中東特派員) ペルハム氏 海洋タンカーや国際外交を巻き込んだ政治ゲーム 拘束されて10日目の晩、ドクターが笑顔でホテルへやっ

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ヨークベニマル会長 「セブンプレミアム」を生んだ価値創造型スーパーマーケット経営

ヨークベニマル会長 「セブンプレミアム」を生んだ価値創造型スーパーマーケット経営

地方からこの国を変える——そんな想いを抱く地方の企業経営者に“経営の秘訣”を聞く新連載「ニッポンの社長」。今回登場するのは、福島県に本社を置くスーパーマーケット・ヨークベニマルの会長、大髙善興さんです。/文・樽谷哲也(ノンフィクション作家) <この記事のポイント> ●スーパー業界で全国屈指の規模を誇るヨークベニマルの強さの秘密は「福島産の生鮮品」と「こだわりの総菜」にある ●2006年、7&iホールディングス傘下に入り、PB商品「セブンプレミアム」の開発を牽引した ●大髙は

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コロナに感染した“エボラの父”世界的ウイルス学者の悔恨

コロナに感染した“エボラの父”世界的ウイルス学者の悔恨

「慢心した私はウイルスに復讐された」。エボラウイルスを発見し、HIV研究の世界的権威でもある感染症学者が明かすCOVID-19と向き合い闘った日々。/文・ピーター・ピオット(ウイルス学者) <この記事のポイント> ●われわれはCOVID-19の長期的な影響、すなわち後遺症についてもっと理解する必要がある ●ウイルス研究は、理論よりも感染した人々が何を感じたのかが最も重要であると自らが患者になって気がついた ●感染症研究を続けてきて得た教訓は「Act early(早く行動を起

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“イチローズモルトを作った男”肥土伊知郎とジャパニーズウイスキーの未来

“イチローズモルトを作った男”肥土伊知郎とジャパニーズウイスキーの未来

秩父から世界一のウイスキーを——。「イチローズモルト」を作ったベンチャーウイスキー社長・肥土伊知郎氏が描く夢とは?/文・増田晶文(作家) <この記事のポイント> ●今やジャパニーズウイスキーの代名詞ともいえる「イチローズモルト」が誕生するまでの歴史は、苦難の連続だった ●スーパーやディスカウントストアで売る気はゼロ。最初から酒の味で評価してくれるバーテンダーを狙った展開が当たった ●ウイスキーづくりに関しては素人同然だった肥土が短期間で飛躍的に質を向上させた秘密は、義絶寸前

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保阪正康『日本の地下水脈』|「反体制運動の源流」

保阪正康『日本の地下水脈』|「反体制運動の源流」

昭和史研究家の保阪正康が、日本の近現代が歩んだ150年を再検証。歴史のあらゆる場面で顔を出す「地下水脈」を辿ることで、何が見えてくるのか。今回のテーマは「反体制運動の源流」。対露強硬派が支持を集める一方、社会主義運動は弾圧され、地下水脈化してゆく——。/構成・栗原俊雄(毎日新聞記者) 保阪氏 三国干渉の衝撃 前回まで見たように、維新で誕生した明治政府は当初から西欧のような帝国主義国家としての道を主体的に目指していたわけではなかった。列強の侵略から日本を守るために場当たり

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【現場ルポ】コロナ死「さよなら」なき別れ|柳田邦男

【現場ルポ】コロナ死「さよなら」なき別れ|柳田邦男

「看取り」のない死に苦悶する家族。医療には何ができるのか――。/文・柳田邦男(ノンフィクション作家) <この記事のポイント> ●コロナ死では、別れへの心の準備をするという機会が与えられない。故人の家族は「あいまいな喪失」のトラウマに苦しんでいる ●コロナ期間、ともに80代、緩和ケア病棟に入院する末期がんの妻と夫がLINEビデオ通話で「最後の別れ」をした。これには大きな意味があった ●4月から5月にかけて医療崩壊寸前の状態を食い止めたのは、医療者たちの使命感の強さと治療への献

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“無敗の男”中村喜四郎「小沢一郎と共に菅政権を倒す」

“無敗の男”中村喜四郎「小沢一郎と共に菅政権を倒す」

野党が結束して政権交代を成し遂げるにはどうすればいいのか。「無敗の男」が語った秘策とは。/文・中村喜四郎(衆議院議員) <この記事のポイント> ●今の日本は民主国家といえるのか。安倍政権、菅政権は「心を縛り、国民に諦めさせる政治」に他ならない ●小沢一郎氏との因縁は過去のこと。「四野党がまとまって選挙で勝とう」という意識は共有できる ●次の選挙で野党は有権者に「もう一度だけ選挙に行ってくれ」と本気で訴えなければならない 中村氏 自民党に大人のふるまいは期待できない 9

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百万戸が被災“最凶”台風が「東京」に上陸したらどうなる?

百万戸が被災“最凶”台風が「東京」に上陸したらどうなる?

いまや台風は西日本だけのものではない─全国民、備えよ!/文・筆保弘徳(横浜国立大学教育学部教授) <この記事のポイント> ●台風にとって、海面からの水蒸気は“ガソリン”。海面の水温が高ければ蒸発しやすくなるため台風の勢力は増すことになる ●他の自然災害と比べ台風は、人命は取らないけど、金は奪うぞ、という災害である ●台風には「風台風」と「雨台風」があり、身を守るために取るべき行動も予想される被害も変わる 筆保氏 台風が強くなる条件 9月初頭、台風10号が発生し、「特別

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やり過ぎだらけの感染対策「5つの新常識」

やり過ぎだらけの感染対策「5つの新常識」

盛りすぎた対策は減らしていい。感染症対策のプロが「正しい感染症対策」を教えます。/文・堀成美(感染症対策コンサルタント) <この記事のポイント> ●現在の混乱の多くは古くなった情報や不要なルールに振り回されることで生じている ●感染症対策が行き過ぎており、「やる必要がない」ことも多くある ●その一つが「屋外でのマスク着用」 堀氏 新しい情報を元に感染症対策を検討 私はフリーの感染症対策コンサルタントとして活動する看護師です。国立感染症研究所実地疫学専門家養成コースを修

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