銀座九兵衛の大将に握ってもらった際、醬油皿に鳥が二羽飛んでいた。その折は「あゝ、鳥だ」と感嘆しただけであったけれども、今その一葉を見返すと、なぜ人はこれを鳥と視るのかとおもってしまう。否、おそらく十中八九は鳥として認知されるだろうが、実際は筆でさっと書いただけのものなのだから。