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『玉と石の神話30』 まだ言葉も話せぬ御子を前に、一歩踏み出したトパーズが跪拝した。間を置かずに琥珀が、他の者が追従する。 「見ての通り、この子らはどこか普通と違う。このような時にこの子らが産まれた事は、何かしら意味があるのではなかろうか…?」 王は二重の意味での懸念を吐露した。

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『玉と石の神話31』 謁見を終えて部屋に戻る途中、トパーズが何かを考え込んでいる事に琥珀は気づいた。 「どうした、トパーズ。何か気になることでも?」 声を掛けようとした時、同じく気づいていた金剛が琥珀より先に訊ねた。 「いや…私の勘違いだと思う」 トパーズは珍しく躊躇っていた。

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『玉と石の神話21』 「近く、御子たちに御目文字する機会があろう。さすれば、恐らくお前とトパーズならわかる。私が感じたことが…」 琥珀が片眉を顰めた。金剛の言葉に不吉な含みを感じたのだ。 「…なれば、その時を待つとしよう」 それでも、金剛を問い詰める事なく、更けゆく夜を見つめた。

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『玉と石の神話17』 金剛が視線を下げた。 「時間が足りぬのだ。だが出来る限りの事はしたい」 「お前は変わらぬな。いつも大切な事を言おうとせぬ。それではトパーズが納得するはずなかろう」 琥珀が呆れたように溜息を洩らす。 「取り溢したくない気持ち…理解してくれたはこの国の王だけぞ」

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『玉と石の神話19』 真っ直ぐに琥珀を見つめ、金剛は黙ったままだった。 「隠しても無駄だ。お前が主を持ったと聞き、トパーズは即座に気づいたぞ。お前があまりに秘密主義故、さっきはキレそうになっておったがな」 「……私は確かに都合の良い事を考えておる」 金剛がようやく重い口を開いた。

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『玉と石の神話20』 琥珀は急かしはしなかった。無言の間を経て、金剛が自ら口を開くまで。 「…始めは、この国に腰を据えるつもりなどなかった」 「一体、何がお前の気持ちを変えさせた?」 「我ら一族の進化…いや、退化、やも知れぬが、その片鱗を垣間見た気がしたのだ」 琥珀は首を傾げた。

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『玉と石の神話18』 琥珀にはその理由が理解出来た。そもそも、災禍を信じない者の方が多いとわかっていたからだ。 「王は何と仰せに?」 「危険さえ回避出来るなら、可能な限り受け入れる、と…」 一呼吸置いて答えた金剛に、琥珀は何かを感じ取った。 「つまり、お前と引き換えと言う訳だな」

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『玉と石の神話16』 張り詰めた空気が満ちた。 「どこで聞いた?」 「それを聞きたくば、先に私の質問に答えろ」 抑えた声で問うも、眉一つ動かさずに返され、金剛は息を詰めた。 「このままでは、間違いなく大半の国が滅びる」 その口ぶりに琥珀が首を傾げる。 「免れる方法があるとでも?」

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『玉と石の神話14』 他の者たちを解散させ、金剛は琥珀を伴ってバルコニーに移動した。月明かりの下で向き合う。 「トパーズを置いて来て良かったのか?あやつは……」 「本心を訊きたかったのでな」 金剛の片眉が僅かに反応を見せる。 「何の事だ?」 「とぼけるな。お前、己を囮にしたな?」

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『玉と石の神話13』 「やめよ、トパーズ」 琥珀は、今にも噛みつきそうな勢いのトパーズを制した。止められたことに不満の色を示したトパーズだが、さすがに諍いはまずい思ったのか素直に引く。 「金剛。少し差しで話したいのだが」 静かな琥珀の口調。 「……わかった」 金剛も静かに頷いた。

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『玉と石の神話12』 険しい顔の琥珀と金剛が、一触即発の体で睨み合った。 「……知っている」 だが、金剛が絞り出した一言に、一同は息を飲み、琥珀は唇を噛んだ。 「金剛……!」 その中に、柳眉を逆立て深い黄色の瞳を燃え立たせる者がいた。 影の如く、琥珀に従っていたトパーズである。

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