なんちゃって、ベジタリアン。

「これね、フムスっていうんだって。」

そう言ってリオ太がお皿にこんもりもった茶色いものを置いた。

「すげーめずらしい料理だろ?」

茶色いもののてっぺんにはパセリが乗っていていた。わたしがパセリとにらめっこしてると、

「ひよこ豆を潰してできでるんだ。パンと一緒に食べると美味しいんだって。ほら。」

と言って、リオ太は嬉しそうに台所からピタパンを持ってきた。

ピタパンが入っているブレッドバスケットは、昨日までこの家にはなかったが、一体どこからきたんだろう。

リオ太はわたしの隣に腰をおろして、嬉しそうにピタパンをちぎりだした。粘土でもこねるみたいに。

「こうやって中にいれてさ。昨日試しに食べてみたんだけど、やべーうまいの。」

はい、と言って差し出されたピタパンからは、フムスがはみ出していた。

一口頬張ると、ひよこ豆の香ばしいにおいが口の中に広がった。

「うまい?マヨネーズも入れてみたんだ。なんか、材料がなくてさ。」

私はおいひい、といいながらにっこりうなずいた。リオ太に言いたくなった言葉も、一緒にしっかり飲み込んだ。

「リオ太。」

「フムスにマヨネーズは入ってないんだよ。」

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