【取材報告】ウソから出た、まこと ―地域を超えていま生まれ出るアート

【取材報告】カテゴリでは、アートプロジェクトラボのメンバーが取材・参加したアートプロジェクト・イベントの様子をクラウドファンディングや本の制作とは直接関係がないものも含めて、ご紹介していきます。

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美術館前に北澤潤の作品が並ぶ


十和田市現代美術館が昨年から取り組んでいる〈「地域アート」はどこにある?〉プロジェクトの一環として行われた企画展「ウソから出た、まこと ―地域を超えていま生まれ出るアート」と関連イベントに参加してきました。

ウソから出た、まこと ―地域を超えていま生まれ出るアート

会期:2019年4月13日(土)〜9月1日(日)
会場:十和田市現代美術館 企画展示室

参加アーティストは、各地のアートプロジェクトで活躍している3組。北澤潤、Nadegata Instant Party(中崎透+山城大督+野田智子)、藤浩志です。

北澤潤は、自身が拠点を置くインドネシアの路上を行き交う3輪車などの乗り物20台を美術館前に置き、「発着場―ターミナル」として市民や訪れた人がまちの中で乗ったり、活用したりできる状況を生み出すプロジェクト《ロスト・ターミナル》を展開。乗り物に広告を掲出する、乗り手としてのライセンスを取得してまちなかに持ち出して活用する、ターミナルに集ってイベントを行うなど、会期を通して様々なかたちで市民が関わりをもったことをうかがい知ることができました。

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自ら三輪車への乗り方ライセンスの講習を行う北澤

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ライセンス講習会に参加するとパスポートがもらえる

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まちなかで活用されている乗り物

訪れたのが最終週ということで、「LOST TERMINAL GOOD BYE PICNIC」というイベントも開催。プロジェクトに関わってきた方、始めて訪れた方が入り混じる、持ち寄りのナイトピクニックが行われていました。

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Nadegata Instant Partyは、展示そのものを市民参加型で制作。十和田はかつて馬の産地だったことから、《Local Mixed Media Museum》と題して、集まったプロジェクトメンバーが役者、道具制作など様々なかたちで参加する展示空間をつくりあげていました。「VR」(バーチャルリアリティ)技術をうたっていましたが、かなり手づくりの跡が見える力技のVR作品も並ぶ様に、そのプロセスを感じることができました。

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藤浩志は、美術館の学芸統括である金澤韻と共に小説を執筆。その内容は、藤が学生時代から、アーティストとしてアートプロジェクトに目覚めていく様を感じさせるノンフィクション風のもので、展示はそのエッセンスが様々な資料とともに展示されるというものでした。

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小説はウェブページで公開されており、展覧会ページの作家メッセージ部分にあるリンクから読むことができます。

クロストーク「コミュニティと共に企てる」「地域アートはどこにある?」にも参加してきました。

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クロストーク 第3回 「コミュニティと共に企てる」
日時:2019年8月31日(土)14:00〜16:00
登壇者:山崎亮(studio-L 代表/コミュニティデザイナー/社会福祉士)、北澤潤(美術家/本展覧会作家)、ミヤタユキ(十和田市現代美術館 普及事業マネージャー)

北澤さんの活動プレゼンに続き、山崎さんからはコミュニティデザイナーとして活動しながら、最近増してきたというアートプロジェクトへの興味が語られ、ミヤタユキさんは、自身がアーティストや地域おこし協力隊など様々な立場で「アートプロジェクト」にこだわらず関わってきた活動の意義を紹介。

社会現象としてのアートプロジェクトの広がりについて事例を共有すると共に、その中で活動する建築家・デザイナー、アーティスト、それらの媒介者の職能と経済的な評価などに話が及びました。

 

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クロストーク 第4回 「地域アートはどこにある?」
日時:2019年9月1日(日)14:00〜16:00
登壇者:星野太(美学/表象文化論)、金澤韻(十和田市現代美術館 学芸統括)

星野さんが、「地域アート」という言葉の一定の役割を評価しながらも、その言葉を使い続けることについての疑問を問いかけ、「地域とアート」という概念で状況をわかりやすく整理。客席からは藤浩志さんや、Nadegata Instant Partyの中崎透さんも発言し、アートプロジェクトをめぐる言葉の難しさや、歴史的な位置づけについて議論する時間となっていました。

展覧会やトークの内容は、書籍として刊行される予定とのことです。

EDIT LOCAL LABORATORY 橋本誠

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