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博物館学芸員レポート課題【博物館資料論第一分冊】2021年度提出

略題「博物館資料の情報と展示」
課題「学芸員は、資料に内包された情報をどのように展示に活かしているか、具体例を示しながら述べよ。」

範囲:指定文献 佐々木利和、湯山賢一『改訂新版 博物館資料論』、一般財団法人 放送大学教育復興会、2012年 第1冊
様式:横書き 2,000~2,500字程度

序論(第一段落)までを無料で公開しております。
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 博物館には、歴史博物館、民俗博物館や考古博物館など様々な区分がある。博物館資料にもその博物館の特色や理念、展示テーマに合わせて資料が収集されていて、またその資料の特徴を活かせるように展示がされている。一つの資料をとっても、その資料に内包された情報をどのように見せ、伝えるかによって、その資料を見た来館者が資料に抱く感想や感じる価値が大きく変わるだろう。今回、このレポートを作成するにあたって、2021年9月25日に東京都新宿区にある、新宿区立新宿歴史博物館を訪れた。この博物館では、旧石器時代から江戸時代までの土器や銅鐸などをはじめとする資料や、残された文書資料や写真、また当時の人々が使用した民俗資料などから、新宿区の「まちの記憶」いわゆる歴史を紹介している博物館である。常設展の他に、年に数回企画展を行っている。今回は、「四谷塩町からみる江戸のまち―近世考古学の世界―」というタイトルのもと、特別企画展が行われていた。この展示では、2014年に行われた四ツ谷駅前の再開発に伴い行われた大規模な発掘調査の成果をもとに、町の変遷を整理しこの地域に暮らした人々の生活を具体的に解明した展示となっている。この発掘調査は(名称:四谷一丁目遺跡6次調査)、約2年間江戸時代の「四谷塩町一丁目」「麹町十一丁目」「麹町十二丁目」にまたがる地域で行われた。特に、「四谷塩町一丁目」については、道も含め町全体を発掘したかつてない大規模な調査となった。この調査では、総計164万点、総重量87.1トンの江戸遺物が発掘された。この発掘された考古資料と、これまで残されてきたこの地域に関する古文書類を組み合わせることで、江戸時代を生きた人々の具体的な姿を現した展示となっていた。

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