エンニュイコント「卒業」公演台本

エンニュイコント「卒業」

高木…教師
児玉…生徒の母親
足立…不登校の生徒

※椅子３脚
足立、児玉　椅子に座っている
高木外を眺めている
卒業式後の学校の教室

■Ｍ：仰げば尊し
■L:明転　夕焼け
■Ｍ：ＦＯ

高木　　　　　で、結局そいつ僕にめちゃくちゃ感謝してて泣いちゃって、不良が泣いてんじゃねーよって！　あ、うるせーな。あいつらまだ帰ってないのか。

高木立ち上がり、窓を開けるマイム

■ＳＥ：窓を開ける音

高木　　　　　おまえら卒業式終わったんだから早く帰れよ！　え？　まだこの学校にいたい？　ばーか！　お前たちには次のステージがあるだろ！　まったく。（窓を閉めるマイム）

■ＳＥ：窓を閉める音

気まずい雰囲気を咳でごまかす

高木　　　　　お母さん…すみません…僕の力不足で…。
児玉　　　　　…。
高木　　　　　結局、靖明君を登校させることができなかった…（涙ぐむ）こいつの青春を俺は…。
児玉　　　　　…。
高木　　　　　…（足立に）ごめん！　先生結局、おまえには何もしてあげられなかったな。毎日おまえの家に行って、毎日お前と色々な話して、話してくれなかった日の方が多いけど、結果こうやって学校に来てくれた。卒業式の日だけだって凄いことだよ！　俺のお前に届けた気持ちは全て伝わったってことだよな！　俺とお前はもう教師と生徒じゃないぞ！　明日からは友達だ！　友達だと思ってガツンとぶつかってきていいんだぞー！　なんてな！（鼻の下をこする）　今のが、俺からお前に送る卒業証書だと思ってくれ。お母さんお願いがあります。
児玉　　　　　…。
高木　　　　　僕とこいつで今から卒業式していいですか？
児玉　　　　　…。
高木　　　　　と、いうことで、二人きりの卒業式始めます。それでは、三年A組足立靖明！…足立！　返事くらいしろよ～。先生が忙しい中せっかく卒業式してやってるんだからさ。ねえ、おかあさん。
児玉　　　　　…なんだろなぁ…。
高木　　　　　え？
児玉　　　　　…いや、嬉しいんですよ。色々してくださって。でも…なんだろなー…恩着せがましい。
高木　　　　　恩着せがましい？