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短編小説「蟹鍋」

短編小説「蟹鍋」

部屋の中央には無印良品の小さな折り畳みテーブルがある。卓上にはカセットコンロが置いてあり鍋を温めている。ぐつぐつと沸騰しだしたので弱火にした。
鍋の中には、大きな蟹が丸ごと入っている。鍋から足がはみ出し、道楽的な見た目になっていた。
テーブルを挟んで対面に座っている彼女は呆然としていた。今日は鶏肉でちゃんこ鍋を作るはずだった。しかし、目の前の鍋には大きな蟹が入浴中だ。呆然になるのは仕方がない。

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